山崎福也 今季初白星でプロ通算50勝 後輩の心を震わせた〝感謝のサンダル〟
ヒーローインタビュー後、ガッツポーズを見せる山崎(右から2人目)=撮影・桜田史宏
■パ・リーグ4回戦 日本ハム6-1ソフトバンク(4月30日、みずほペイペイドーム)
4度目の登板で今季初勝利
日本ハムの山崎福也投手(32)が先発し、5回3安打1失点(自責0)の好投で今季初勝利を挙げた。
開幕から6回3失点(自責点2)、8回無失点、六回途中2失点と試合をつくり続け、防御率はこの日の登板前までで1.86だったが、白星に見放されていた。自身4試合目、4月最後の日にようやくつかんだ1勝目。「ちょっと遅かったですけど、きょう(白星が)ついたので良かったです。(4月中に勝ちたいと)そこも意識していましたし、(打線が6点取り)これだけ打ってもらったので、そこは感謝です」と爽やかな笑顔を見せた。
最高の立ち上がり&ピンチを最少失点
いつも通り力感なく、それでいて小気味よく打者を打ち取っていった。一、二回は3者凡退と好発進を決め、三回は2死三塁のピンチを冷静に切り抜けた。
「投げている球は良かった」と手応えも十分。四回に石井の適時失策で1点を失うも、後続を断って最少失点でしのぎ、五回を投げきって勝ち投手の権利を得たところで降板となった。
四回1死一、二塁、ソフトバンク・中村の打球を石井が後逸し、失点した山崎(中央)
五回終了での降板を猛省
反省点は、長いイニングを投げられなかったこと。四回に3点の援護をもらったことで「勝ちを意識しすぎて、守りに入ってしまった自分がいた」と振り返った。
六回から継投策 加藤投手コーチ「流れを切りたいところでもあった」
加藤投手コーチは交代理由について「ちょっとボールが上ずってきたこともありますし、3点取ってもらった四回の先頭と五回2死からの四球があったので、流れを切りたいところでもあった。勝っていなかったので、なんとか勝ちをつけたい気持ちもあり、結果的には良かったです。次からはちゃんといってもらわないとダメですけどね」と説明した。
山崎も「きょうの代え時は僕自身も納得できていたので、全然、良かったです」と首脳陣の判断を尊重した。
節目の勝利は当然、通過点
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記念のプロ50勝目だったが、「あ、50勝だったんですか。全然、気にしてなかったです」と意に介さず。「200勝目指して頑張ります(笑)」と先を見据えた。

19日のオリックス戦 六回1死満塁で降板
32歳のイケメン左腕が、後輩のハートをわしづかみにした出来事がある。19日のオリックス戦で先発した山崎は、 2ー2の同点で迎えた六回に1死満塁のピンチをつくって降板した。
最大5失点で敗戦投手となる危機を救ってくれたのが、2学年下の生田目だった。後続をピシャリと抑え、完璧な火消しに成功した右腕に、試合中は広報を通じて「生田目に感謝です」とコメント。翌日には直接、ありがとうの言葉を伝えた。
エスコンのロッカーに… 生田目「うわーって」
ただ、それだけでは終わらなかった。「足、何センチ?」と直接、サイズをリサーチし、後日、生田目の足にぴったりの高級サンダルをプレゼントした。もらった生田目によると、渡し方が粋だったという。
「いただきましたよ。すごく良い、夏用のサンダルをいただきました。やばくね。うそでしょ(と思った)。エスコンのロッカー、分かりますか? 一人ずつ扉を閉められるようになっていて、もともと閉じていたんですけど、バンって開けたら、そこにあって。うわっ、うわーって。(誰からかなどは)何も書いていなかったですけど、それはさすがに分かる」
六回を無失点に抑え、ガッツポーズを見せる生田目
粋な対応に感動再び
生田目はすぐに、山崎の元へお礼に向かったが、そこでの対応もまた、らしいものだった。
「すみません、ありがとうございますって言ったら、さちさんは(手を横に振って、遠慮がちに気にしなくて良いから、という仕草をする山崎のまねをして)、みたいな感じで。これで次、さちさんの後、(リリーフに)失敗したらどうするの。(プレゼントを)もらったから、もういいやみたいになっちゃっているやつに見えたら嫌じゃん。逆にプレッシャーになりました(笑)。でも、また買ってもらえるように頑張ろう」と、後輩はすっかり虜(とりこ)になっていた。
さあ1勝 ここからさらに本領発揮
決して先輩面をするわけではなく、さりげなく感謝の気持ちを示すことができる。移籍2年目で、すっかりチームになじんだ優しい〝さちさん〟が、これからも投手陣を背中でけん引していく。
