高校野球
2024/03/16 05:30

21日から全国高校女子硬式選抜大会 昨夏4強の駒大苫小牧が新体制で日本一狙う

昨夏全国3位のの駒大苫小牧が、3月開幕の全国高校女子硬式選抜大会で初の日本一を目指す=撮影・西川薫

3月21日から春の女王決める選抜大会開催

 全国高校女子硬式野球選抜大会が3月21日から埼玉県ほかで開幕する。北海道からは駒大苫小牧、栗山、旭川明成の3校が出場。札幌新陽は部員数が足りず、現部員5人が連合丹羽の一員として出場する。昨夏(全国高校女子硬式野球選手権)初めて4強入りし、主力が5人残る駒大苫小牧は2日目の第3試合で神戸国際大付と対戦する。昨年10月に前監督が退職し、元女子プロ野球選手で創部から部長を務めてきた佐藤千尋教諭(34)が新監督を兼任。まずは新体制での公式戦初勝利を目指す。

夏の甲子園優勝から20年、次は女子部が

 2004年夏の甲子園(全国高校野球選手権)で道勢初優勝してから20年。今度は女子野球部が優勝旗の津軽海峡越えを実現させる。昨夏はバッテリー含め2年生が5人スタメンに名を連ねた。主に9番右翼で出場した篠崎芹主将(2年)は「冬期間、雪上ノックや雪の中で走ったり、自分たちにはすごいプライドがある。対戦相手どうこうじゃなくて、しっかり自分たちの野球をして一戦必勝で頑張りたい。目標は日本一です」と言い切った。

突然の監督交代、佐藤新監督「やるしかない」

 昨年10月、創部から監督を務めてきた茶木圭介監督(46)が一身上の都合で退職。思いも寄らない監督就任に「私、ちょっと監督タイプでは正直なくて。けど、そうなった以上は子供たちがかわいいので、なんとかいい思いをさせてあげたい。やるしかない」と、覚悟を決めた。直後に愛媛で開催された全日本女子硬式野球選手権で監督デビュー。紅白戦や練習試合でサインを出したことはあったが「さすがに緊張しました。投手交代を伝えに行くとか、選手をどう使おうかとか、なかなか難しかった」。クラブチームに1-4で敗戦し、監督初勝利を逃した。

 突然の監督交代で部員にも少なからず動揺は広がった。篠崎主将は「やっぱり周りがすごい落ち込んでしまったりしたんですけど、自分がブレてしまうとチームも崩れていってしまう。自分がやってきたことは変わらない気持ちで」チームをまとめた。指揮官は「突然のことでもあって、生徒たちの心の部分で野球にどうやって集中して向き合えるようにもっていくか、なかなか難しかった。でも元々野球が好きな子たちなので、ちゃんと自分で奮い立たせて前を向くことを忘れずにやってきてくれて今がある。強い軸がないのは私も不安だし子供たちも多分不安だろうな。私もそういう軸にならないといけない。子供たちと一緒に成長していくしかない」。同校男子野球部OBのコーチとトレーナーに支えられながら、試行錯誤の日々を送っている。

駒苫女子野球部の佐藤新監督(中央)

 

指揮官が頼りにする若林マネジャー

 選手21人に加え、指揮官が頼りにしているのがチーム唯一の若林雛子マネジャー(2年)だ。佐藤監督は「最初はほわ~んとしていた。ずっとスピードって言ってきたんですよね。そうしたら自分で目を配ったり、今ここでこれが必要だとか、彼女なりに考えて行動してくれることがどんどん増えてきた。この2年間でだいぶ成長した。チームにとってなくてはならない存在」と高く評価している。

進学決定後に野球の猛勉強

 若林マネジャーの兄は、同校OBでプロ野球・西武の若林楽人外野手(25)。自身は中学まではバドミントン部だったが「お兄ちゃんがお世話になった監督さんが呼んでくれたので」と、女子野球部のマネジャーとして進学を決意。野球経験がないため、進学が決まってからスコアブックの書き方を猛勉強した。「とにかく周りを見て、汚れているとこがあったら片付けたり、補食のおにぎり作ったり。自主練や課題練習の時に手伝いが欲しそうな選手がいたら声かけて手伝っています。試合中とかもちゃんと水分補給取らせてあげたり、ちゃんとスコアを書いてデータを取って周りに知らせてあげたり、少しでも貢献できるようにしたい」と、サポートに徹している。

チームただ1人のマネジャー若林さん(左)

 

昨春は兄の西武・若林外野手から差し入れも

 8学年先輩の兄の存在は「尊敬できる。優しくて、野球にいつでも真剣に向き合っている。大会の様子とかもあっちでちゃんと把握してて、『おめでとう』とか『悔しかったね』とか家族ラインで言ってくれました。去年の春はお兄ちゃんがけがしてキャンプにもまだ参加できてなかったので、大会中の埼玉の宿舎にお土産を持ってきてくれました」。今度は日本一になって恩返しをする。

昨夏は甲子園出場まであと一歩

 チームは3月16日に北海道を発ち、関東入り後には大学やクラブチームと3試合を予定している。昨夏は、甲子園で行われる決勝まであと一歩だった。同校といえば、ブラスバンドが全国的にも有名。佐藤監督は「夏、勝ち進んで甲子園でできるってことであれば、応援しに来てもらいたい希望は子供たちもあるし、私もある。吹奏楽の子たちも『女子野球の応援行きたい』って言ってくれる。あの応援の中でプレーするのは絶対に一生の思い出になるし、力強い。応援してもらえる場所に行けるように頑張りたい」。この春、全国の頂点を目指す戦いの中でさらに経験値を積み、灼熱の甲子園を目指す。

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