ファイターズ
2021/11/09 15:01

新庄監督 始まった!ビッグボス流練習改革「楽しい、もうめちゃくちゃ」

練習前、選手たちとスマホで集合写真を撮った新庄監督(撮影・松本奈央)

 早くも新庄改革が始まった。日本ハムのビッグボスこと新庄剛志監督(49)が8日、沖縄・国頭で行われている秋季キャンプの視察に訪れた。約6時間に渡って、選手の動きをじっくりと観察。さらに、練習メニューで自らのアイデアを取り入れるなど、ビッグボスの色をのぞかせた。久しぶりに沖縄キャンプの空気にふれ、「楽しい、もうめちゃくちゃ。基本は野球が好きな少年なので」と目を輝かせた。

 午前8時48分。真っ赤なジャージー姿の新庄監督が球場入りした。練習前には選手やスタッフを左翼付近に座らせて初の訓示を行い、その後、選手たちと記念撮影。皆でアロハポーズを取りながら、笑顔で写真におさまった。
 この日の最大の目的は、選手の身体能力を把握すること。しかし、ただ計測するだけではないのが、ビッグボス流だ。
 走力チェックのベースランニングでは、2チームに分けてリレー形式で競わせた。チームワークの重要性や、楽しみながら体力強化を意識させることが狙い。現に今川がバトンを落とし、敗戦に直結するミスを犯した。
 「ああいうのって意外とショックなんですよ。次に立て直そうという気持ちにもなる。野球にもつながってますよ」と話し、勝ったチームにはその日のうちに小型マッサージ器を一人ずつ購入して届けた。選手は競争意識がより芽生えたはずだ。当然、走塁技術もしっかりと観察。「細かいところをチェックして、教えたいポイントはインプットできました」
 続いて行われたのはスローイングチェックだったが、ただの遠投ではなかった。三塁と本塁の間に白いワゴン車を置き、その上に自ら登って高さを設定。本番は球団スタッフを立たせ、細い棒を持たせた。本塁から左翼方向に向かって投げる遠投だったが、その高さよりも低い送球を求めた。「試合のボールの低さ。あれ以上、上に投げて強いボールを投げたって意味がない」と、実戦を意識させた。
 さらにボールの回転も見定めた。「強いボールを投げようと言ったときは、フォームの意識がなくなって、本当の自分の投げ方になる。シュート回転する投げ方自体が間違っている。3人ぐらい、いましたね。(シュート回転は)一番弱いボール。できたら、スライダーを投げるつもりのボールで投げて、真っすぐ(いく)」と、10度ゴールデングラブに輝いた名手の理論を少しだけ披露した。
 犠打練習では、打撃マシンの球速を大幅に上げた。「(球が)速いから、形をこだわらずにボールに集中してバントをしようとする。意味があるんですよ」。実際にやった渡辺も「実戦の方が球は速いし、キレもある。そういった中で速いマシンをバントしていくのは大事。これからも継続していく」とうなずいた。
 視察を終えると「選手の動きがかわいく見える。まだ素早くないんでしょうね」との感想を述べ、まだまだ鍛える余地のある選手たちに目を光らせた。改革は始まったばかりだ。

自ら率先しグラウンド整備

 ビッグボスが率先してグラウンド整備をする姿が目立った。新庄監督は「次の種目にいくまでに早く休憩させたいから。そしたら次のプレーがまた集中力を持ってできる」と説明した。コーチ陣にも「選手がノックを受けた後は、選手にはグラウンド整備をさせないでくれと。僕たちがやればいい」と求めた。
 それは自身が阪神時代、コーチだった島野育夫さんがやっていたことだという。「人間性がものすごく素晴らしい人。そういう良い部分は、今もやっていきたい」と“島野イズム”を継承する。
 故・星野仙一さんの名参謀であった島野さんは、選手を思い、熱くなりすぎる場面もあったというが「気持ちの面では、それくらいの気持ちで僕が時代を変えていこうという思いがある。良い部分を持っていたい」と、新たな監督像を築いていく。

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