高校野球
2023/09/14 17:00

【北海40度目の夏・驚異の粘りを探る】①明豊戦九回裏2死からの2点差逆転劇 突破口を切り開いた1番・片岡誠亮中堅手(2年)

8月10日の甲子園1回戦、七回1死、北海・片岡が左前打を放ち一塁へ疾走する

 2023年夏の甲子園に全国最多40度目の出場を果たした北海は、1回戦の明豊(大分)、2回戦の浜松開誠館(静岡)と2試合連続の劇的サヨナラ勝利で7年ぶりの16強入りを果たした。驚異の粘りはどこから生まれてきたのか。当時の記憶をたどりながら北海高校野球部の伝統と実力に迫る。トップバッターは明豊戦の九回裏2死走者なしから出塁を果たし逆転劇につなげた1番・片岡誠亮中堅手(2年)。
 

九回2死、四球を選んだ片岡(右)

 

秋の全道決勝、最終打者で空振り三振

 まるでデジャビュの様だった。2点ビハインドの九回、2者連続で凡退し後がない状態。「どうにかして自分が出ないと」。打席に向かう片岡の脳裏に昨秋の出来事がよみがえった。秋季全道大会決勝戦、クラークに延長十回表に2点の勝ち越しを許し、その裏の攻撃は2死走者なしで片岡。カウント1-2から空振り三振で終わり、春の選抜甲子園出場の夢はほぼなくなった。「『また最後か』って、弱気になる部分もちょっとあった」。一瞬トラウマに囚われそうになったが、秋とは違う成長した姿を甲子園では見せた。

試合前日の相手投手の特徴分析が生きた

 情報収集が役に立った。七回途中からマウンドに上がった明豊2番手の森山塁投手から、前の打席で左前に安打を放っており、これが2度目の対戦。第2、第3打席で安打をマークしており、この試合チームで一番当たっていた。試合前日、森山投手の特徴を動画などで分析し、「ボールが高めに浮く」と傾向を確認。さらに八回には四死球2個と森山投手は制球に苦しんでいた。

「高めはつぶして絶対に振らない」

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