プロゴルフ
2023/08/27 21:00

菊地絵理香が地元でツアー6勝目 鬼門のプレーオフ初制覇し年間ランク急浮上【女子ゴルフ・ニトリレディス】

ウイニングパットを決めた直後、17番グリーン上で同伴者から祝福される菊地(撮影・西川薫)

■ニトリレディス(8月27日、小樽カントリー俱楽部、6695ヤード、パー72)
▽決勝ラウンド最終日

生涯獲得賞金7億円の大台を突破

 苫小牧市出身の菊地絵理香(35、ミネベアミツミ)が、5度目のプレーオフを初めて制し今季初勝利と通算6勝目を手にした。同大会を道産子が優勝するのは初。菊地は昨年に続き2年連続で地元Vを達成し、史上17人目となる生涯獲得賞金7億円の大台を突破した。メルセデスランキングでも13位に急浮上した。次週のゴルフ5レディス(美唄)をスキップし、万全の体勢で9月7日開幕の日本女子プロ選手権(長崎)で初のメジャー獲りに挑む。

中止になった最終ラウンドは9番途中2打差5位タイ

 最終ラウンドは激しい雷雨の影響で2時間以上の中断を経て中止が決定。26日の第3ラウンド終了時点で首位タイの岩井明愛(21、Honda)、申ジエ(35、韓国)との三つ巴のプレーオフとなった。正規のラウンドでは、前半の9番途中で申ジエが12アンダー、岩井が11アンダー、菊地が10アンダーだった。

プレーオフ第1打がグリーンに届かず

 最初の中断から5時間後、関係者に見守られながら行われた17番パー3のプレーオフ1ホール目。過去プレーオフ4戦全敗の菊地は「マジで嫌だ」と緊張から第1打がグリーンに届かなかったが、アプローチでピン側2メートルにつけた。一方、申ジエは1オン3パットでボギー、岩井がパーパットを外し、菊地にチャンスが巡ってきた。「不思議とパーパットはしっかり手が動いてくれたので、入った瞬間は全然勝ったのかなんかよくわかんない感じでしたね」。ウイニングパットを決め、一瞬びっくりしたような表情を浮かべた後、珍しくガッツポーズ。「ここまで天候が荒れるとは思ってなかった。こうしてプレーオフで勝てたのも、私にとっては天気に恵まれたのかな」と静かに喜びをかみしめた。

昨年の地元初勝利で「プレッシャーがなくなった」

 国内屈指の難コースで2年連続の地元Vを達成。道産子の道内ツアー複数回優勝は菊地が初だ。13年から10季連続シード権獲得の実力者だが、21年までは地元優勝とは縁がなかった。昨年の大東建託・いい部屋ネットレディス(札幌・滝のカントリークラブ)で初の地元優勝を達成し呪縛から解き放たれた。「地元っていうプレッシャーが正直なくなった。いい意味で気楽に臨める。今年もミネベアミツミの時に成績が良かった。また北海道の大会でしっかり上位争いできるように頑張りたい」と、来季も北海道シリーズでの活躍を約束した。

次は国内メジャー初制覇だ

 シーズン終盤戦へ大きな1勝だ。次のターゲットは自身初の国内メジャーと複数回優勝だ。「勝って自信とかつくタイプではないんですけど、ほっとする部分は自分の中で毎回あるので年間2勝とか3勝できないのかなと。でも今回、まさかって思ってたところで勝てたので、もう1試合勝ちたいではなく、勝ちにいく。前向きな形で選手権に臨める」。賞金も高額、年間ランクも上位が視野に入ってくるだけに、なんとしても実現したい。

引退後はラウンドリポーターに興味

 今年で35歳。「若い世代の選手もたくさん出てきて、すぐ活躍される時代。正直、自分も何歳までできるかわからないですし、できるところまで全力で臨もうと思います」。最近、引退後のセカンドキャリアとして、トーナメントのラウンドリポーターに興味が湧いてきたという。「自分には絶対向いてないなって思うんですけど、意外とやってみなきゃわかんない」。とはいえ、今売り出し中の同ランク3位の岩井明愛ら若手を抑え堂々の優勝。クラブをマイクに握り替える日はもう少し先になりそうだ。

 

プレーオフ1ホール目の17番パー3でティーショットを打つ菊地

 

菊地は約1年ぶりとなるツアー通算6勝目を達成。副賞のベンツ

 

菊地(右)は約1年ぶりとなるツアー通算6勝目を達成。似鳥会長から賞金1800万円のボードを受け取る

 

菊地は約1年ぶりとなるツアー通算6勝目を達成。ニトリレディスでは初めて道産子が優勝した

 

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