高校野球
2023/07/23 19:30

元オリックス星野伸之さんが始球式 「北海道から名球会に入れるピッチャーを」と高校球児にエール【北北海道大会】

始球式に登板した星野伸之さん(撮影・小田岳史)

旭川工業出身、プロ通算176勝

 全国高校野球選手権北北海道大会決勝戦の試合前、旭川市出身でプロ通算176勝左腕の星野伸之さん(57)が始球式のマウンドにあがり、球児にエールを送った。代名詞のスローカーブは封印したものの、直球はノーバウンドでミットに収まった。「良かったです。18.44(メートル)は意外に近かったです。練習したかいがありました。両チームのどっちかが甲子園に行くわけですから、悔いのないっていうことは、負けた方にはないんでしょうけど、本当に力を出し切ってほしい」と激励。その後は中継の解説者として戦況を見守った。

「まさか(エスコンの)マウンドに立つなんて」

 星野さんは、旭川工業高1年から公式戦に登板。1984年、星野さんの3年春に旭川スタルヒン球場が開場し、2000年以降は固定開催されてきた。「北北海道大会をこっち(北広島市)でやるっていうのはなかった。僕も高校時代、決勝戦じゃなかったけどスタルヒンで投げさせてもらった。(エスコンには)いつか来てみたいなと思ってたけど、まさか高校野球を通じてここのマウンドに立つなんて。不思議な感じで非常にいい思い出になりました」と目を細めた。
 

始球式に登板した星野伸之さん


スローカーブ武器に奪三振2041、球は遅くても勝てる手本的存在

 甲子園出場は果たせなかったが、1985年にドラフト5位で阪急ブレーブス入り。オリックス、阪神を経て2002年に引退した。速球は120~30キロ台で、当時の投手と比べても遅い方。それでもボールを持った左手が体の影に隠れて、球の出所が見えにくい独特のフォームと90キロ台の超スローカーブを武器に11年連続2桁勝利を達成。積み上げた勝利は歴代37位、奪った三振は2041個で歴代21位。球は遅くても勝てる投手の代表格だ。

「投手はコントロールとキレが大事」

 「今は150キロが当たり前の時代になってきて、140キロ台でもコントロールがすごく大事。特に僕みたいな投手はコントロールとキレが大事。球速は出るに越したことはないけど、しっかりボールを操れることが大事。それに近いものを出してくれたら、自ずと結果は出てくると思って頑張って欲しい。私はもうちょっとで200勝だったけど、北海道から名球会に入れるピッチャーがなかなか出てこないので、そういうピッチャーが出てくれたらいいな」。星野さんの意思を受け継ぐ大投手が北の大地から育つことを期待したい。

 

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