芸能文化
2023/08/07 17:00

【コロナからの夜明け】⑧ ライブハウス・PLANT 「食」「アニメ」「VR」「eスポーツ」多種多様なエンタメ施設を目指す

ライブハウス「PLANT」代表取締役・小野寺司典さん(撮影・桜田史宏)

前身の「COLONY」が新型コロナ禍で2020年にクローズ

 総合型エンターテインメント施設へ―。札幌市営地下鉄北24条駅からほど近いところに位置するライブハウス「PLANT」はコロナ禍の2021年3月にオープンした。前身の「COLONY」は新型コロナの影響もあり20年にクローズしたが心機一転、新たなスタート。PLANTはライブハウスとしてのみならず飲食店としても稼働している。将来的にはeスポーツの運営も思案しており、新業態のエンタメ施設として舵を切ろうとしている。

再オープン目指すも「100件ぐらいは断られました」

 2001年に開業したCOLONYの閉店はコロナ禍によって突如訪れた。2020年、緊急事態宣言が発出されると一気に傾いた。PLANTの代表取締役・小野寺司典さん(48)は「決まっていたライブが全部できなくなりました。みんなどうしていいかわからない感じになっていて、売上もなく家賃が払えなくなりました」とクローズせざるを得ない状況に立たされた。その後物件を探したが、世の中の風潮もあり、ライブをできる場所にはなかなか出合うことができず、「100件ぐらいは断られました」と当時を振り返る。

 それでも、クラウドファンディングを立ち上げるなど、多くの人に助けてもらいながら翌年にPLANTを開業。新たなライブハウスをオープンすることができ、「音楽業界は完全に人のつながり。いろいろみんなに協力してもらいました」としみじみ語った。

音楽業界は一変「コロナ前に戻ることはない」

 コロナ禍を経て音楽業界は一変した。コロナ前からCDなどの売れ行きは減っていたが、衰退具合は一気に加速。「CDショップもあちこちで閉店して、CDも売らなくていいんじゃない? ってなってしまった。コロナ前に戻ることはなくて、新たに始めている感じですね」と時代の移り変わりを実感する。

月額500円で配信事業も展開

 そんな大きな変化の中で誕生したPLANT。時の流れに合わせていくためには手広い事業が必要となる。現にPLANTでは飲食店としてスパイスカレーを提供している。COLONY時代から培ってきた配信技術も持ち合わせており、月額500円の定額制で配信事業「PLANT FC」を行っている。アーカイブされた動画は1000本を超えており、登録者は自由に楽しむことができる。

 「エンターテインメント空間と思って、PLANTを立ち上げたので、その中に『食』もあったっていう感じですね。エンタメの中でやっぱり『食』は重要だよなと思っていました。音楽以外のエンタメも積極的にやっていこうと思っています。アニメやVR、eスポーツも取り入れていこうと思っています」。小野寺さん自身、ゲームは全くやっていなかったが、昨年からゲーミングPCを購入し本格的に取り組んだ。eスポーツに特化したFPSゲーム「VALORANT」をプレーし始めたが、説明書はなく、インターネット上で検索しながら操作法を学んだ。「VRとかeスポーツを始めて、この歳で勉強中。そういう意味ではおもしろいですね」と笑う。

「エンタメ系の発表できる場所を」専門学校と思案

 「今、エンタメ系の専門学校は音楽よりもeスポーツや声優とかの方が圧倒的に生徒も多いです。そういう子たちが発表できる場所をうまくつくれないかなって構想しています」と、専門学校側と話し合いながら思案を続けている。流行に即したエンタメ施設とするため、PLANTは次々と門戸を広げていく。



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