芸能文化
2023/06/11 18:00

【コロナからの夜明け】⑥ 富良野出身シンガーソングライター・瀬川あやか 看護師との両立から卒業 歌を通してエールを送る

道産子シンガーソングライター・瀬川あやかが医療従事者としても経験したコロナ禍を語った(撮影・十島功)

7月にカバーアルバム「AYA covers~YELL~」リリース

 道産子シンガーソングライター・瀬川あやかは、看護師の一面も持っており、医療従事者としてもコロナ禍を経験した。未曾有の状況下で歌手と看護師の両立を進めてきたが、現在は看護師を辞めアーティスト活動に専念している。6月にデビュー7周年を迎え、7月にはカバーアルバム「AYA covers~YELL~」をリリース。9月からは北海道、東京、大阪を回るツアーを予定する。歌手の〝一刀流〟で目標に掲げる10周年へ向かっていく。

コロナ禍の活動制限「(想像との)ギャップ」に悪戦苦闘

 瀬川にとってコロナ禍には二面性があった。ライブが中止になりアーティスト活動は停滞した。2021年に企画していたバースデーライブは配信で開催。「でも配信でやるためのセットリストで組んでなかったので今までやっていたかけ声ができなくて、そのギャップを大きく感じちゃったのもあって、すごい配信は難しいって思いました」と悪戦苦闘しながらもファンに音楽を届けた。

新型株への対応「追うスピードに限界」医療従事者としての苦悩

 その一方で看護師としても働いていた瀬川は、医療従事者の一人として苦境と戦っていた。「何回も(新型コロナの)株が変わるし、ワクチンもすごいいろんなものが出てきた。外来で患者さんとか利用者さんに一番近い場所にいたのでダイレクトに問い合わせが届きました。いろいろ知っておかないといけないけど追うスピードにも限界があるし、マンパワーも限られていたのはありました」と、当事者ならではの苦悩を味わった。

「明日も頑張ろうって少しでも思えるようなものでありたい」

 それでも看護師と両立した経験は大きなものとなった。最初は2つやることに迷いがあったそうだが、「言葉に出すと応援してくれる人がいっぱいいた」と当時後押ししてくれた人たちに感謝した。「音楽を聴いた後にちょっと元気になれたり、明日も頑張ろうって少しでも思えるようなものでありたいので、そういった意味では医療従事者としての自分もそこに反映されているかなと思います」。患者さんなどを勇気づける存在であったからこそ、今の瀬川が存在する。

手嶌葵の「明日への手紙」や中島みゆきの「ファイト!」など全8曲

 そしてこの春、看護師からは身を引き歌手としての進化を目指す。自身初のカバーアルバムでは手嶌葵の「明日への手紙」や中島みゆきの「ファイト!」など全8曲を収録。「めちゃくちゃ難しかった。歌詞やメロディーを変えないのはもちろんだけど、自分らしさも出したいし、どれぐらい表現しようかとか研究時間みたいなのが長くて、レコーディングはオリジナル楽曲をやるよりも時間が掛かりました」。

 そのカバーアルバムを引っ提げたツアーも決定。「本格的なツアーは久しぶりだし、声出しも多分大丈夫でカバーアルバムのツアーなので、セットリストの組み方も今までとガラっと変わるので楽しみですね」と胸を躍らせている。

「来年、再来年とかにオリジナル曲でのアルバムも書きたい」

 世の中が活気づいてきたことで将来の見通しも明るくなった。「まずは10周年までを目標にいろいろ組み立ててやっていきたい。来年、再来年とかにオリジナル曲でのアルバムも書きたい。コロナが明けた自分と30代になった自分とでまた楽曲が違うので、それでアルバムを作れたらいいなと思います」。これからも元気いっぱいの姿で、聴く人の心を満たしていく。


■プロフィール 瀬川 あやか(せがわ・あやか) 看護師の資格を持つ富良野市出身のシンガーソングライター。大学時代にミスキャンパスコンテストで準グランプリを獲得し、2016年6月にメジャーデビュー。19年4月の全国ツアーでは、ファイナルを初めてZepp Sapporoで行い大成功を収めた。多くのバラエティにも出演し、同年公開の映画「ダンスウィズミー」(矢口史靖監督)で女優デビューし、音楽以外にも活動の幅を広げている。また、国立病院機構八雲病院でのライブ、旭川医療センター市民公開講座で講演会を行うなど、人々を元気づける活動にも力を入れている。

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