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2023/06/05 06:00

エスコンの壁画を手掛けた「OVER ALLs」の赤澤社長 北広島高にもアートを 「『WOW!』という心に触れるものを浴びて頂きたい」

エスコンフィールドHOKKAIDOの壁画制作を手掛けたOVER ALLsの赤澤岳人代表取締役社長(撮影・十島功)

 北海道日本ハムファイターズの新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」内にある「TOWER 11」の壁面にはダルビッシュ有投手(36、パドレス)と大谷翔平投手(28、エンゼルス)が描かれており、人気の撮影スポットになっている。制作したのは壁画アートカンパニーの「OVER ALLs」。多くの壁画アートを制作してきた彼らが、絵に込める思いとは―。

ダルビッシュは経営者、大谷は起業家

 ダルビッシュは経営者、大谷は起業家。そう話すのはOVER ALLsの代表取締役社長を務める赤澤岳人氏(41)だ。「ダルビッシュ選手は長年アメリカでやっていて、残りの時間が限られている中で自分の実力を最大価値化するためにどうするかをすごく研究していると思います。今回のWBCでも若手から吸収するものがあるはずだっていう目線だった」。いい経営者ほど勉強意欲も高く、ダルビッシュにも通じるところがあると確信する。

 一方の大谷は「今でこそ二刀流も成功だと思われているかもしれませんけど、当時は誰もそれは思わなかった。その中で自分で成功を定義して、そこに向かっていくのはまさしく起業家なんです」と訴えた。周囲の価値基準にとらわれることなく、自らの信じた道を歩いている姿に〝起業家魂〟を感じた。

青い炎のダルビッシュと真っ赤に燃えている大谷

 「自分の道を追い求めている2人ではあるけど、その道が青と赤みたいな。青い炎のダルビッシュ選手と真っ赤に燃えている大谷選手を表現したかった」。2人の全身を描く案もあったが「職業人としてっていうのを表現した方がかっこいいとなったときに、顔(のアップ)なのかなと、両者を描きました」。2人の表情からにじみ出る〝矜持〟が、多くの人のハートを揺さぶっている。

 日頃から壁画アートを通じて、頭で考える「HOW」よりも心から感じる「WOW!」を訴求しようとしている。「エスコン―」の壁画も同様だ。「この壁画から伝わってくる『WOW!』みたいなところ。心に触れるもの、感じるものを大いに浴びて頂きたい」。さらに、子供たちには「こういう壁画を描いて仕事をしている集団もいる。職業選択の幅が広がってほしい」との願いを込める。

北広島高には「授業をサボっても大志は芽生える」

 「エスコン―」の隣に位置する北広島高の壁画にもアートを残した。「BE AMBITIOUS」の文字の上に学生が横になっているところを描いている。「授業をサボったりしても大志は芽生えていくもの。間違えたって、止まったっていいんだよってメッセージを出したかった」と赤澤氏。さらに、この壁画を制作する際には同高の生徒たちにも手伝ってもらい、アートの仕事を体験してもらった。

 「日本社会は『HOW』の正解を出すことの教育ばかり行われています。正解、不正解ばかりで判断する。それから解き放つのは、やっぱりアートだと思う。単純に絵を見て『WOW!』って思うような気持ちを持つことができれば、もう少し豊かな国になっていくんじゃないかな。働く大人の矜持みたいなものを描き続けています」。感情を表現することが、コロナ禍で内省的になった世の中に今一番必要なことかもしれない。多くの「WOW!」を生み出すため、一つ一つのアートを壁画に〝発散〟する。


■プロフィール 株式会社OVER ALLs(おーばー・おーるず) 2016年設立、「楽しい国、日本」の実現を目指す壁画アートカンパニー。オフィスアートを通じて日本企業に対して頭で考えるHOWだけではなく心で感じるWOW!の大切さを訴え続ける。「情熱大陸」や「news zero」「サンデージャポン」等多数メディアにも出演。

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