プロスポーツ
2023/03/20 19:00

伊達公子さんが札幌でテニス女子プロツアーを開催 第2の大坂なおみを発掘

札幌でITFの大会を開催する、JWT50の伊達公子(左)と小畑沙織(右)らが札幌市長を表敬訪問した(撮影・西川薫)

賞金総額1万5000ドル、7月24日から平岸庭球場で

 札幌から世界へ羽ばたけ! 7月24日から札幌・平岸庭球場を舞台に、国際テニス協会(ITF)ワールドテニスツアー「W15札幌 アスアスラボ国際チャレンジカップ」が、国内初の同一会場3週連続で開催される。賞金総額は1万5000ドル。主催は女子シングルス元世界4位の伊達公子さん(52)や札幌出身の小畑沙織さん(44)ら世界50位以内を経験した元選手9人で組織する「Japan Women's Tennis Top50 Club(JWT50)」が中心となった大会実行委員会。ジュニアや若手プロの国際大会出場に必要なポイント獲得を主な目的に掲げ、シングルスとダブルスを行う。

ワールドツアーの登竜門、国内初の同一会場3週連続開催

 全英オープンなどの世界4大大会を頂点に、賞金総額によってピラミッドが形成されるプロテニス界。W15はWTA(女子テニス協会)ワールドツアーの登竜門となる、ITFワールドテニスツアーの一番下のクラス。大会のゼネラルプロデューサーを務める伊達さんによると、1カテゴリ上のクラスは国内で複数開催されているそう。「ジュニア育成に携わるようになったのが4年ほど前になるけど、気がついたらカレンダーから(W15が)0になっていた。国内でポイントを取れる環境をつくってあげる方が世界の近道になる。次世代のジュニアたちがもう一度、日本の女子が強くなることを願う中で、大会を作ることが必要だった」。JWT50は2022年6月に創設され、23年4月に2大会、6月にも国内でW15クラスの大会を開催。同一会場の3週連続開催により、体力的、経済的負担を減らすことで、出場へのハードルを下げることを実現した。

14歳以上21歳未満対象にワイルドカード予選も実施

 開催の背景には競技人口減などへの危機感がある。「私たち90年代っていうのは、トップ100の中に(日本選手が)10人ぐらいいた時代があったんです。いまは大坂なおみ選手も妊娠して競技から離れる時間になっていて、トップ100の中に日本人は誰もいない現実が起きている。4、5年ぐらい前に大坂なおみ選手に続く選手が育ってなかったのも、私が育成プロジェクトに取りかかった一つの理由。来年のオリンピックで、日本の女子テニスからオリンピック選手がいなくなってしまう可能性も今の段階では十分考えられる」。今大会では14歳以上21歳未満の選手を対象に、本戦と予選の主催者推薦権をかけたワイルドカード予選も実施し、若手にチャンスを広げる。

札幌出身・小畑沙織さんがトーナメントディレクター

 トーナメントディレクターを務める小畑さんは、18歳でプロ転向。04年アテネ五輪日本代表で、世界ランキング最高は39位。札幌手稲前田中3年の時に、札幌で行われた賞金総額10万ドルのトーナメントの予選にワイルドカードで出場した。「そのトーナメントに出たことが、プロを目指すきっかけの一つとなった」と人生の転機を振りかえる。

 2006年に現役を引退し、現在は関東在住。JWT50の一員として「夢はグランドスラムへ行けるような選手が育ってくれる大会作り。ここで試合をやりたい、ここで勝って上へ行きたいって思ってもらえるような環境作りをこの大会を通してしていければ」と故郷へ恩返しする。

元コンサドーレ・曽田雄志さんが橋渡し役

 大会実現のきっかけとなったのが、元コンサドーレ札幌の選手だった曽田雄志さん(44)。昨年8月、曽田さんらがゲストアスリートを招き、子供たちに指導する「アスアスラボ」プロジェクトに、伊達さんが参加。その際に伊達さんから「女性のジュニアの選手育成になるような大会をぜひ作りたい。しかも、3週連続は今まで国内にはないので、かなり注目度も高い」と相談を受け、スポンサーとの架け橋となった。

 会場となる平岸庭球場は2018年に国際基準のハードコート「デコターフ」に改修。センターコートなど20面あり、男子ツアーのUchiyama cupでも使用されている。伊達さんは昨年の同ツアーを視察。「非常に面数も整ってますし、北海道という気候の良さも含めて最高の環境。理想の形ができあがった」と高く評価する。

入場無料、テニスクリニックも開催

 大会は、一人でも多くの人に見てほしいとの理由で入場無料。競技未体験の子供たちにテニスに触れあう機会をつくり、クリニックなどイベントも開催予定。伊達さんは「フェスみたいな感じに、盛り上がるような形になればいい」。近い将来、真夏の札幌から第2、第3の大坂なおみが生まれるかもしれない。

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