ファイターズ
2021/10/03 15:15

《岩本勉のガン流F論》 杉浦本気で完全無欠の「しんがり」目指せ

 杉浦が光った。1点リードで挑んだ九回、今季、抑え役を託された男が、ようやく“守護神”としての姿になってきた。
 先頭の川越にいきなり3ボール。「またか」。最悪な状況を思い浮かべたファンは少なくはなかっただろう。しかし、杉浦は開き直った。そこから抑えならではのギアチェンジで一気にまくり、三振を奪っていった。
 続く源田に四球を与えると、さらに開き直りに拍車がかかった。森、中村という左右の強打者に力で勝った。コースはほぼ真ん中より。相手の鋭いスイングを上回る球威とキレで圧倒した。
 シーズンも佳境。1年掛かったが、立派に守護神のツラ構えになってきた。杉浦自身、苦しんだ。これまでの投手人生、主には先発を務めてきたが今季は「しんがり」だ。しんがりとは軍列の最後尾に位置し、敵の猛追を防ぐ役どころ。杉浦はその任務を遂行する開き直りを見事に習得した。
 本人の意思は分からないが、1年で苦労しながら積み上げてきたもの、この日につかんだ手応えは絶対に次につながる。来季30セーブは十分に見込める。杉浦には本気で完全無欠の「しんがり」を目指してほしい。(本紙評論家)

あわせて読みたい