高校野球
2022/05/11 23:30

定時制編入から1年の出場停止期間経て 札南・大沢が待望デビュー!

札南2年の大沢は、1年間の出場停止期間を経て、高校では初登板初先発。4回を投げてしっかりと勝利に貢献した(撮影・西川薫)

 札幌支部Bブロック2回戦で札南が11―4で札白石に八回コールド勝ちした。先発の大沢天馬投手(2年)は公式戦初登板で4回2失点(自責0)。新チームの初勝利に貢献した。一昨年秋に市内の私立校を自主退学。昨春、札南の定時制に入学し、規定による1年間の公式戦出場停止期間を経て、今大会からベンチ入りした。

▽春季全道高校野球札幌支部Bブロック2回戦(11日)札南11-4札白石

4回2失点自責0 打者19人に対し被安打3

 1週間前に先発を告げられ、札南の大沢は待ちにまったデビュー戦を迎えた。「しっかり準備してきた。緊張よりも楽しみの方が強かった」。打者19人に対し被安打3。三回に2失点したが、「走者がたまり出力を上げた。点を取られたけど、結果として打者を抑えられて良かった」と、自責0の投球に胸を張った。

 高校1年生だった一昨年10月、学校になじめずに自ら退学を決断した。しかし、野球への情熱が冷めることはなかった。当時、札南の3年生だった兄・楽汰さん(北大2年)を通じ、田畑広樹監督(39)に相談。定時制でも野球部に選手登録できることがわかった。

 大沢は出場停止などの規定を覚悟の上、昨春に第二の高校生活をスタートさせた。同校OBでもある田畑監督によると、創部120年の歴史の中で初のケースだという。

 孤独な練習も「野球愛」と仲間の理解で乗り切った。平日は昼間に約4時間、グラウンドのビニールハウスで一人黙々とティー打撃に汗を流し、授業に向かった。土日は全体練習に合流し投内連係。自らの投球練習に費やす時間は限られた。それでも「野球が楽しいから、追い込んでいるというより、うまくなりたい、チームに貢献したい気持ち。苦じゃなかった」

 今春はついに札南のユニホームに袖を通した。練習試合に2度登板しただけで、ほぼぶっつけ本番だった。この日4安打2打点で、同い年の生部漣次郎遊撃手(3年)は「みんな努力する姿を見ている」と、一人で頑張る大沢を部員全員が認めていると明かした。

春は最初で最後「投打で活躍したい」

 春は最初で最後の大会。「投球では直球主体に押していく。投打で活躍したい」。遅れてきたルーキーが、5年ぶりの全道出場をけん引する。

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