高校野球
2022/04/21 23:40

昨秋辞退の札日大高が新チーム初の公式戦へ  春季全道高校野球2連覇へ挑む

昨秋の分まで! 現チームとして初の公式戦に臨む札日大高ナイン(撮影・西川薫)

札幌支部組み合わせ決定

 春季全道高校野球札幌支部予選(5月7日開幕、札幌円山、札幌麻生)の組み合わせ抽選会が21日、同市内で行われた。昨年の春季全道大会を初制覇した札日大高は、9日のEブロック1回戦(札幌麻生)で恵庭北と対戦する。秋は新型コロナの影響で学校事情により辞退。今大会が新チーム初の公式戦となる。3月上旬までの約2か月間、全体練習ができなかったが、昨夏のエース・前川佳央(日大1年)の弟・周也新主将(3年)を中心に、スローガンの「粘勝」を掲げて戦い抜く。

前川主将 スローガンの「粘勝」誓う

 完全〝粘勝〟だ。4番候補の前川主将は「(新チームの)初めての公式戦。練習試合とは緊張感が違う。連係の部分とか課題は出ると思うけど、一つ一つ改善していきたい」とラストイヤーに懸ける思いは強い。

 前川主将は昨夏の南大会に背番号15でベンチ入り。決勝の北海戦は六回に逆転するも八回に再び勝ち越された。試合では伝令役を務め、エースだった兄が最後まで投げ抜いた勇姿と、試合後に流した涙を目に焼き付けた。「絶対に自分たちの代で甲子園に行ってやるという思いは強くなった」と固く誓った。

 ところが昨年9月。最上級生として迎えた秋の大会を辞退。当時の2年生にとってはセンバツ甲子園出場を狙うラストチャンス。ショックは大きかったはずだが、チームにネガティブなムードは一切無かった。森本卓朗監督(41)は「逆境だった。確かにショックは受けたと思いますが、長い人生の中で、たかが大会。へこたれていたらいけないと自分は思いますし、選手には、起きた事実は変わらないけど、意味は変えようと常に言ってきた。この経験があったからこそ、来年の夏、いい思い出ができたと。意味を変えるのは、これからの行動」。指導者として選手たちにミーティングを何度も繰り返し、新チームの士気を高めた。

 それは選手も一緒だった。強いリーダーシップを持ち、新主将に指名された前川。「甲子園を目指す大会の2つのうちの1つがなくなって、今の3年生には虚無感はあった。それでも森本先生のミーティングが小まめにあって、前向きになれた。悔しさをバネに自分たちはそこから成長できた」。夏を見据え、厳しい練習にも耐えてきた。
 前川主将はオフ期間、3食のほかに、捕食とプロテイン摂取で1日計11食。体重は7㌔増の87㌔と、ひと回り大きくなった。今月17日の東海大札幌高との練習試合でも本塁打を放った。「去年は全く伸びなかった逆方向への打球も伸びるようになった。思い切り振らなくても柵越えができるようになった」と胸を張った。

 春の全道大会2連覇がかかる。「勝ったのは先輩方。自分たちは、どれだけ一つの試合に全力で戦えるのかが大事」と前川主将。ディフェンディングチャンピオンとしてのプライドは一切無い。むしろ一戦必勝で全力を尽くす。
 そして今年こそ、壁を乗り越える。夏の南大会では2012年、16年、21年と3度の準優勝。その全てで指揮を執ってきた森本監督は「自信とイメージを夏に向けてつくりたい。壁を扉にするタイミングかな。その可能性を持っている」と期待を込める。コロナ禍を乗り越えた札日大高ナインが現チーム初陣を勝利で飾る。そして勢いに乗って、夏の甲子園ロードへと向かう。
 

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