ファイターズ
2022/02/10 15:17

《岩本氏が語る春季キャンプ》選手の目の色変わった これぞ新庄野球!

8日の練習試合で、リクエストをアピールする新庄監督。ビッグボス流に両手でハートマークをつくった

 ビッグボス色、すでに浸透―。日本ハムの春季キャンプはきょう10日から第3クールに突入する。大注目の新庄剛志監督(50)率いるチームはキャンプイン以降、どのような仕上がりを見せているのか。本紙評論家の岩本勉氏(50)が初実戦となった8日の阪神戦(宜野座)を含めて“新生日本ハム”を分析した。

「まずはやってみよう」を合言葉 先入観、固定概念を排除

 初実戦となった8日の阪神戦で新たなファイターズが明確に見えてきた。シートノックから選手たちの目の色が違った。そこに新庄監督が着手し始めた「野球」が集約されている気がする。公言して来たことをずっと貫き、方針がぶれない。それが選手を迷わせていない。

 元気があり、声が出ている。すべての基本だ。長いシーズンを見据えれば、小さな戦いかもしれないが、ここ数年見受けられなかったエネルギッシュで、ほとばしるはつらつさが全面に出ていた。就任以来、さまざまな手法で選手たちにアクションを起こしてきた新庄監督。「まずはやってみようよ」。先入観や固定観念にとらわれない野球勘に選手が躍っている。

 あっと驚くオーダーで臨み、結果として勝利した。たかが初戦、たかが練習試合だが、されど勝負である。道産子の今川、佐藤が奮起し、4番・五十幡が攻守で光り、外野に就いた野村も好プレー。いつの間にか「新庄野球」にどっぷりとつかっている選手たち。動きや表情が変わってきた。

マンネリムードもあっという間に払拭

 非常に芳しい。ここ数年のマンネリムードをあっという間の浄化作業で払拭した。決して黙って見ていない。神出鬼没。球場上部から、カメラマンの高さから、さらにリクエストはハートマーク?! 細かい部分の新庄チェックは至る所で行われていた。全てが真剣かつ選手を鼓舞する業(わざ)なのだ。

 先発オーダー同様に、投手陣へ競争心をあおる策も講じた。先発は3年目・立野。緊張感たっぷりの中、1点は取られたがしっかりとアピール。それを見た同期で同い年の河野が燃えないはずがない。3番手で登板した左腕はキレがあり、投球に角度を付け、スライダーと速球での連続三振を含み、2回を完全投球。チーム内の活性化も順調に進んでいる。

 名護に国頭。沖縄にはファイターズを常勝軍団にするためのオーディション会場が2つある。1軍、2軍という分けではなく、敏腕プロデューサー・BIGBOSSは昼夜、足しげく通い、自らの目で確かめ、話し、プロフェッショナルをつくり上げている。

 新庄野球はまだまだ見えない。きっと、想像以上に日々の発見が多く、うれしい悩みの種になっていることだろう。それらを含め、実戦が多く入ってくるきょうからの第3クールを視察してみたい。チームの大きな伸びしろを感じながら、さらに次の手を打ってくる。(本紙評論家)

ガンちゃん待望「抑え」と「大砲」

 岩本氏は想像以上の効果を、このキャンプを見て感じている。

 「野球をやるのは監督でもコーチでもないんです。プレーをする選手たちが野球そのものを自分で見つけなければ向上はないし、道は開けません」とし、続けて「このキャンプでは生き生きと活気づいている選手たちがいます。もちろん、プロ野球選手は引退するまで『野球がうまくなりたい』と精進していくものですが、それを毎日少しずつ見つけているような気がします」

 キャンプは中盤を迎える。ここから岩本氏が注視していきたいと語るのが、チームに必要な「抑え投手と打点を稼ぐ打者」の出現だ。「環境は整いつつあります。次は個々がドンと突き抜けていく番。特に出てきてほしいのが抑え役と大砲です」。候補たちが実戦の中から自らの席をつかみ取っていく。

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