山崎福也 脳腫瘍手術を受けた北大病院で長期入院中の子どもに熱いメッセージ 先発争い言及の一問一答も
北大病院を訪問し、子どもたちにプレゼントを渡す山崎=撮影・桜田史宏
18年前にこの病院で 「野球できるよ」
日本ハムの山崎福也投手(33)が1日、北大病院を訪問し、小児がんなどで長期入院している0歳から高校1年生までの18人と対面した。自身も小児脳腫瘍の手術を受けた特別な病院で、病と闘う子どもたちにエールを送った。
【ファイターズの最新記事はコチラ】
18年前、小児脳腫瘍を発症した。北大病院にたどり着き、長時間に及ぶ開頭手術を経験。「延髄という場所に腫瘍があって、それをしっかり取り切らないと生き残れないと言われて。手術は8時間の予定でしたけど、うまくいったらしく、6時間ぐらいで終わりました。(執刀医の)沢村先生から、全部取ったよ、野球できるよと言われた」と当時を振り返った。

心に寄り添った左腕 「たくさん甘えてください」
キャッチボールを実演し、クイズを出題するなど触れ合いの時間を過ごした。質問コーナーでは、野球をやっていなかったら何をしていましたか、と聞かれ「カフェとかを経営したい気持ちが昔からありまして、ご飯屋さんとかやっていたのかな」と回答。交流戦でみんなのためにホームランをーとお願いされると「毎年、ホームランを打ちたい気持ちで打席に入っているんですけど、プロのピッチャーって球が速い。セ・リーグもDH制になり、(投手が打席に立つのは)来年が最後なので、なんとか打てるように頑張ります」と力強く返した。
一人一人にグッズなどをプレゼントすると、メッセージが書き込まれたボール型の首飾りを贈られた。記念撮影の後に「僕自身もみんなのように18年前、全身に管を付けて、大丈夫かなという不安があったんですけど、当時の先生と家族のサポートがあって、乗り越えて今、野球選手になることができました。みんなもつらい時があると思うんですけど、周りの人、家族にたくさん甘えてください。わがままをいっぱい言って、現状を乗り越えてまたお会いできる日を楽しみにして過ごします」と熱く呼びかけた。
イベント終了後には報道陣の取材に対応。一問一答は以下の通り。
ー北大病院は特別な場所。どんな思いで来訪したか
「苦しんでいるお子さんもいると思うので、少しでも元気や勇気を与えられたらいいなと思って来ました」
ー実際に対面してどう感じたか
「苦しんでいるんだろうなと感じましたし、なんとか良くなってほしいな、という気持ちがあります」
ー手術した当時を思い出すことも
「管を付けているお子さんもたくさんいて。僕も18年ぐらい前ですね。全く一緒で、着ている服も。なんとか良くなってほしいなと」
ー大きな病気を経て今がある。大事にしていることは
「あのような経験をして良かった、というのはおかしいですけど、何事にも前向き、ポジティブになれる、というのはありますね」
子どもたちにキャッチボールを披露する山崎(中央)
ー子どもたちに伝えたいことは
「まずはしっかり治すために、強い気持ちで立ち向かってほしい。常に上を向いて日々、生活してほしいと思っています。周りでわれわれがしっかりサポートできるように、という気持ちです」
ー来年、どんなプレーを見せたいか
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
「チームが来年、優勝しないといけないので、そこだけを目指して頑張りたい。本業のピッチャーの方でいい成績を残せるように、という意識でやっていきます」
ーできればホームランも
「来年でバッティングは終わりなので、打てるようにしっかり練習していきます」
ー入院中の子どもは外部の人となかなか接触できない。こうした催しを通じて何を感じてほしいか
「オフならではのイベントですし、こいうことをたくさんやって、少しでも明るい気持ちになってもらえたらと思います」
子どもたちからメッセージ入りの首飾りをプレゼントされる山崎(中央)
ー自身は手術後の入院生活で何が大変だったか
「頭を切って、筋肉も裂けて、骨も外していたので、高熱が出るパターンが多かったです。なかなか傷口も閉じずに痛かったのもあります。寝返りをうつのもしんどかったですし、普通の生活に戻るまでがつらかったです」
ーホームランのリクエストが多かった
「ピッチャーなんですけどね。でもうれしいですよ。個人的にバッティングが好きなので」
ー打撃が得意だと認知されている
「少しずつ、皆さんに知ってもらっていますね。うれしいです」
ー子どもたちから期待されるのもプロ選手ならでは。励みになるか
「僕も入院している時、なかなか人に会えなかったですし、家族が来てくれるだけでモチベーションが上がったので。僕でいいのか分からないですけど、少しでも明るい気持ちになってくれたらなと思いました。皆さんがいいと思ってくれるのなら、もっともっとやっていきたい」

ー北大病院には思い入れがある
「ファイターズに入ってからずっと、北大で何かしたいなと思っていたので、やっと実現できたかなと」
ー本業のピッチングで目指すのは
「先発でしっかりと2桁を勝てるように、イニングをたくさん投げられるようにという気持ちでいます」
プレゼントされた首飾りを見て笑顔になる山崎
ー今年、2桁勝てなかったことが悔しかったか
「自分自身の力でもあるので。反省して、いかにレベルアップできるか」
ーオフはバッティングの練習をするか
「しないです(笑)。今年の春のキャンプはバッティングがあったんですけど、来年はないと思うのでしっかりとピッチングに専念します」
ー新庄監督がファンフェスで開幕カードの先発3人を発表。どう感じたか
「その3人と…ほかにもたくさんいいピッチャーがいるので、僕自身も負けてはいられない。しっかりと争いに勝っていかないといけない。プロ野球の世界はそうなので。10年以上やっているので、そういう争いは慣れている。負けないように」
ー本拠地開幕戦の先発は決まっていない。相手はロッテ
「可能性はありますね、相性はいいので(笑)。そこで投げたい気持ちはありますけど、しっかりと年間通して投げないといけないので、そのための準備とトレーニングを今はやりたいです」
ハイタッチで子どもたちを見送る山崎(中央)