山本拓実 苦難の1年を成長への糧にポジティブ変換 「ずっとうまくいっても…」
来季、復権を期す山本拓
視線は2026年シーズン
日本ハムの山本拓実投手(25)が復権を懸ける来季に向け、秋季キャンプ終了後もトレーニングを継続中だ。苦しんだ今シーズンも成長への糧と前向きに捉え、思い描く自分の姿に近づくべく、着実に歩みを進めている。
【ファイターズの最新記事はコチラ】
1万人を超える大観衆が見守る中、打ち上げとなった秋季キャンプ最終日から3日。熱い応援の余韻がまだ残るエスコンフィールド北海道で山本拓が連日、トレーニングに励んでいる。「オフシーズンは基本、4勤1休とかで動こうかなと思っていて。その中でいろいろとイベントであったりとか、プライベートの予定とかが入ってくるので、その通りにはいかないんですけど、それ以外の日はなるべく球場に来ようかなと思っています」とオフ期間のトレーニング計画を口にした。
数字では計れない成長も
エスコンで自主練習を行う山本拓=撮影・工藤友揮
日本ハム加入3年目の今季、防御率は3.51だった。移籍1年目の23年、昨季といずれも1点台だっただけに本領発揮にはほど遠かった。9月上旬に登録を抹消されると、1軍復帰を果たせずにシーズンを終えた。
結果としては振るわないシーズンとなったが、自身では「ボールの状態というのはここ数年で一番良かったんですけど、結果が伴わなかったというところで、(原因は)本当に細かい部分だと思うんです。体の面であったりとか、ボールの面、ピッチングの面と、内容の面では年々進化しているので。やっていることは間違いではないなと思うんです。どうしてもリリーフは1回の(登板の)印象で結構、変わってしまうので、そこはあまり気にしすぎずに。良い部分もたくさんあるので、そこに目を向けて、もっと伸ばしていくのが大事かなと思います」。着実に前へ進んでいる。その手応えも感じられている。
リリーバーの難しさ、奥深さを痛感
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
今季、山本拓ら昨季まで主にブルペンを支えていたリリーバーたちが、本来の投球を見せられずに苦しむ場面が見られた。
「なかなか要因はこれ、というのは言えないですけど、リリーフ投手は何度も同じ選手と対戦することが多いので、その中でいろいろ対策されたり。自分というピッチャーを相手に知られる中で、常に上回らないといけないというのがあるんですけど、毎回上回れるわけではないので。そこはお互い対策をし合いながらだと思うので、やっぱりなかなか(難しい)。リリーフで10、20年ぐらいやっている人もいますけど、ずっと続けて成績を残し続けるというのは、やはり難しいことなんだな、というのはすごく今年、思いました」。中継ぎ投手特有の事情を一つの理由に挙げる。
8月3日のオリックス戦、九回のマウンドに向かう山本拓が新庄監督から声をかけられる
レジェンド左腕に最敬礼
そんな1年を過ごしたからこそ、あらためてそのすごさを感じたのが、長年チームを支え続けている宮西の存在だ。
「あれだけの年齢になっても常に毎年、進化をし続けていますし。続けるというのは、言葉では簡単ですけど、ずっと勝負に勝っていかないといけないので。成長し続けながら、1軍の舞台で戦い続けられるというのは、すごいことだなと思います」。今季、900試合登板を達成した〝鉄腕〟が身近にいる環境で、自身の投球術に磨きをかけていきたいところだ。
すべてをプラスに前へ
来季は復活を目指すこととなる。だが、心の中に悲壮感は一切ない。「今年、思っていたのは、ずっとうまくいっても面白くないので。こういう全然、良くない年もあって、もり返すためにどうするのかというのがすごく大事。毎年そうですけど、来年は大事になる。そのあたりに一筋縄でいかない楽しさをちょっと感じているので、またイチからやりたいなと思っています」
逆境をも楽しめるメンタリティーと、力強いストレートに磨きをかけて、来季は強力ブルペン陣の一角に返り咲いてみせる。
