大勝した立命館慶祥 左利き二塁手・影近陸が全4打席出塁 全道の目標は「ノーエラー」【秋季札幌支部】
2安打2四球と全4打席出塁で勝利に貢献した立命館慶祥の影近(中央)=撮影・十島功
■秋季全道高校野球札幌支部(9月30日、札幌円山)
▽Dブロック代表決定戦 札幌南0-19立命館慶祥
※五回コールドゲーム
二塁手は新チームになってから
ステージが上がれば上がるほど、お目にかかれない存在がいた。立命館慶祥の影近陸内野手(2年)は左利きの二塁手。入学後は投手と外野手を主に務めていたが、新チームになり、二塁手が負傷したことで抜てきされた。
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部員が少ない台所事情などで務める選手もまれにいるが、立命館慶祥は選手40人の強豪校。それでも滝本圭史監督(44)は太鼓判を押す。「彼はただ左利きっていうだけで、セカンドの動きとかゴロの入り方も上手。すごく向いているなと思って、信頼して出してます」。影近の持つ野球センスが、難易度の高いことを可能にしているようだ。
4打席で22球投げさせた
その野球観は、この日の打撃に表れた。2本の適時打を放つなど、2安打2四球2打点で全打席出塁。自分の役割を考えたカウントでスイングを仕掛けることを意識していました」。4打席で相手投手に22球投げさせるなど、9番として上位につなぐにはこれ以上ない働きぶりを見せた。しかし、守備には不満が残ったようだ。三回、先頭打者のゴロを処理したが、送球が乱れて内野安打に。「自分的には送球エラーだと思っています」。
三回、右前適時打を放った立命館慶祥の影近
「最初はやりづらさしかなかったんですけど…」
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少年野球で遊撃と二塁の経験はあるが、本格的な取り組みは初めて。グラブも硬式の左の内野手用を見つけるのは難しい。そこで影近は中学1年時に着用していたオールラウンダー用のものを愛用し、朝練や居残り練習で守備漬けの日々を送ってきた。「最初はやりづらさしかなかったんですけど、指導者の方とかショートの道佛とか、いろんな人が教えてくれたので、今は違和感なくできています」。
左利きの二塁手として奮闘する立命館慶祥の影近(右)
併殺はそのまま右回転し送球
そういった周りのサポートもあって、自分なりの形を見つけつつある。ゲッツーの入り方も、捕球後に体を無理に左へと反転させるのではなく、そのまま右回転し送球する。「新鮮で今までにないような目線で見られていて、新しい気づきがある」。影近もプレーヤーとしての幅が広がっていることを実感している。
指導する方も未知の領域だ。滝本監督は「こちらも初めてなので、こういうプレーが起こるんだ、というのも一緒にコミュニケーションを取って考えて。彼は本当に練習するので、ゲッツーの入り方とか。自分も新しい発見があって、楽しんでやってます」。影近の異例な挑戦に寄り添いながら、新境地を切り開いていく。

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3年ぶりの秋季全道に向けて影近は「ノーエラーを目指して守備練習をもっと頑張りたい」。強豪の集う舞台で「セカンド・影近」を違和感ないものとする。