札幌大が2年連続V 〝谷間世代のエース〟宮田文仁が1失点完投勝利【札幌6大学野球】
1試合を残して2年連続の優勝を果たし、喜ぶ札幌大ナイン=撮影・西川薫
■札幌6大学野球秋季リーグ戦(9月24日、札幌・大和ハウスプレミストドーム)
▽第2節4日目 札幌大(8勝1敗)3-1札幌国際大(2勝7敗)

10月12日から明治神宮大会出場権懸け決定戦
首位の札幌大が3-1で札幌国際大を下し、1試合残して2年連続の通算34度目の優勝を決めた。先発の宮田文仁投手(4年、苫小牧中央)が1失点完投で4勝目をマーク。昨秋の明治神宮野球大会後にコーチから昇格した元ヤクルトの佐藤真一監督(60)は、うれしい監督初Vとなった。札幌大は10月12日から札幌円山で行われる北海道6大学優勝の東農大北海道と明治神宮野球大会の切符を懸け、2勝先勝方式の北海道代表決定戦を戦う。
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エースナンバー18を背負う宮田が、八回に利き手の薬指を親指で切りながらも、111球の力投。九回2死から左中間を破る長打を打たれたが、伊藤翼中堅手(4年、白樺)が三塁へ好送球しゲームセット。「最後は本当に気合で出し切ろうと。きょうは最後まで投げ切りたい思いがあって、監督もそれで行かせてくれたので、本当にありがたい。最後のアウトも野手が良いプレーで終われたので、チーム一丸の勝利」。右腕でガッツポーズしながら、マウンドの歓喜の輪に飛び込んだ。
九回2死、左中間に長打を打たれるも、伊藤中堅手が三塁で補殺し、ガッツポーズする札幌大の宮田(左)
昨秋の明治神宮大会に出場したことが転機に
昨年はエース長谷隼兵(23、北海道ガス)がフル回転の活躍で34季ぶりのリーグ制覇を成し遂げ、勢いそのままに明治神宮大会北海道代表決定戦にも勝利。本大会は1-2で2回戦の天理に敗れたが「神宮にまず出場できたことがすごく大きい。今まで優勝とか全然見えなかった中で、一度全国を知ったことで、もう一度行こう、という空気がチームの中に生まれた。それはひとつ、今年の原動力にもなった」。
佐藤監督と強力タッグを組んだ新コーチとは…
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今春、社会人野球の強豪・新日鉄室蘭やNTT北海道で活躍した、札幌大谷高前監督、船尾隆広氏(54)がコーチに就任した。佐藤監督が「半分肩の荷が下りた」と話すほど、頼もしい存在だ。この春は佐藤監督が「うちの顔みたいな2人」と評価する、主将の伊藤翼外野手(4年、白樺)と桑田翔叶外野手(4年、旭川大高)が故障。2季連続Vこそ逃したものの7勝3敗で2位に食い込むなど、着実にチーム力をつけてきた。
スタンドへあいさつする、札幌大の佐藤監督(右)と船尾ヘッドコーチ
1つ上の先輩と1つ下の後輩がプロ野球選手
宮田は、苫小牧中央では、1学年先輩に日本ハム・根本悠楓(22)、1学年後輩には広島の斉藤優汰投手(21)に挟まれる〝谷間世代〟。3年夏は南北海道大会1回戦で敗退したが、2人から学んだ事は大きかった。「エスコンだったらなるべく見に行ってます。上下にプロがいたからこそ、その姿は自分の指標。自分のお手本のひとつ」。2人とも努力家だと言い、自らも練習の虫と化している。
1失点完投勝利した札幌大の宮田
佐藤イズム浸透 チームが「明るくなりました」
北海道6大学との分離前の1977年から10年でリーグ9勝するなど、黄金時代を築いたが、昨秋優勝するまでは2008年秋を最後に長らく低迷していた。宮田が入学した頃はチームの雰囲気も「重苦しかった」。昨春、佐藤監督がコーチに就任。それまでは遅刻などに関してあいまいだったルールが明確に定められ、規律が身に付きプレーにもつながった。指揮官は「少しは改善されてきましたよ。選手によっては昔よりちょっと大変だったと思いますけど、そのぐらいの規律がないとダメ。4年間やったら社会に出られるような選手になってほしいですね」。選手の卒業後も見据えて指導。コーチ就任後、退部する部員もいたが、今年は脱落者ゼロ。宮田も「明るくなりました。今はもっと盛り上がって、という方向なので。とても良い雰囲気になった」。チーム全体にマインドが浸透した。
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忘れ物を取り返しに行く。昨秋の明治神宮大会では天理大に1点ビハインドの六回から2番手で登板。4回無失点の好投を見せたがチームは1-2で敗れた。「自分としてはあの日が、これまでで一番調子良かった日だと思っている。リリーフでしっかり抑えることができた。自分のひとつの形。もう一度自分の代でまた神宮に行けるよう頑張りたい」。東農大北海道との最終関門を突破して、リベンジのマウンドに戻ってみせる。
2年連続の優勝を果たし、喜ぶ札幌大ナイン