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2025/09/10 12:00 NEW

【Mリーグ】セガサミーフェニックス・茅森早香はなぜ、選手兼監督に立候補したのか㊤

「あの話は本気ですか?」と聞かれて、「本気です」と

今季から兼任監督としてプレーするセガサミーフェニックスの茅森がファンミーティングで笑顔を見せる=撮影・近藤裕介

道産子雀士の思いに迫る全3回

 麻雀のトッププロがしのぎを削る「Mリーグ」が15日に開幕する。昨季初優勝を遂げたセガサミーフェニックスに所属し、リーグ初年度から活躍してきた茅森早香(最高位戦、43)は北海道・苫小牧出身。今シーズンから監督を兼任し、史上初となる連覇を狙う。道産子雀士の思いに迫った全3回連載の㊤では、昨季のターニングポイントを振り返りつつ、監督就任の経緯を明かす。(取材は7月下旬)

シャーレを手にして初めてうれし涙

 昨季のファイナルシリーズ最終戦。チームメートでレギュラーシーズンMVP・醍醐大の劇的勝利でシャーレを手にし、茅森は「初めて麻雀で泣きました」と、仲間とともにうれし涙を流した。

 「シーズン最初から、チームの調子が良かったです。レギュラー(シーズン)は私と(浅井)堂岐がマイナスだったんですけど、セミファイナルは全員プラス。ファイナルもずっと良い位置にいて、醍醐さんもMVPを獲って、すごく良いシーズンだったなと思いますね」

危険な牌を通せたことが分岐点に

 悲願達成のターニングポイントとなった対局がある。茅森が登板したファイナル第6節の2試合目。親番の東1局が、「天才すぎるオンナ雀士」の異名に恥じない会心の一局となった。

 対局前時点で首位だった赤坂ドリブンズの鈴木たろうが4巡目、ドラの9萬をポンし、場が動いた。その後、茅森は危険な白をツモる。しばし、考えた。「あそこは本当に勝負所でした。あそこで、(赤坂)ドリブンズとの差を詰めないと、優勝が難しいところだった」。ツモ切りを選択し、英断となった。次順、4筒を手に4枚重ね暗カン。新ドラは、4筒だった。

相手のちょっとした仕草を見逃さず

 「勝負手が入っていたのと、たろうさんの仕掛けがあって、(白を)押せました。ちょっと、たろうさんが小考しながら打っていたので、役がないんじゃないかな? というのはありました。役があってもおかしくないですし、あったら白は危ないので、勝負でしたね。そのご褒美で、ドラ(4筒)が乗ったんじゃないか、という気持ちです」

ドラ4が乗って会心の親跳満

 最後は単騎で待った3索をツモって、ツモ、タンヤオ、ドラ4の親跳満を成就させた。直後は「6000オール、ツモって良かった」と安堵しつつも、「このままトップを守りきらないといけない」と気を引き締め、大差のトップでフィニッシュ。156.6点あったドリブンズとの差を26.6点まで縮め、一気に初優勝への機運を高めた。

 「あそこで負けていたら、優勝は厳しかった。ターニングポイントだったと、自分で思っています」

ファンミーティングで近藤前監督(左)とフェニックスポーズを決める茅森

 

スタッフで開催した2次会の場で…

 ファイナル直前の5月2日には、苦楽をともにしてきた近藤誠一監督の退任が発表された。同日、スポンサーとの懇親会後、監督、チームメート、スタッフで開催した2次会の場で、茅森は新監督に立候補した。

 「みんなで、『そういえば、次、監督、誰だろうな』って話をする中で、私が『やりたい』と言いました。最初は周りも、本気なのか分かっていない感じだったんですけど、後日、『あの話は本気ですか?』と聞かれて、『本気です』と。その後、上に言ってくれて、承認を得てという流れでした」

 ノリや勢いではなく、茅森には明確に「自分がやるべきだ」と考える理由があった。

㊥【誹謗中傷どこ吹く風「だからそれも、向いているかな」】に続く

退任した近藤前監督の胴上げに参加する茅森(右端)

  

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