北大大学院1年の大沢楽汰 カナダ独立Lで本塁打デビュー 札6時代にベストナイン
カナダ独立リーグで活躍する大沢=本人提供
初打席で先頭打者アーチ
昨季、札幌6大学野球1部の北海道大で主将を務めた、同大大学院1年の大沢楽汰(23)が、現地時間6月19日にカナダ独立リーグ(IBL)のキッチナー・パンサーズに入団。同日に代走で途中出場すると、翌20日の初打席では先頭打者アーチを放つ鮮烈デビューを飾った。
カナダで合掌ポーズ披露
修士の卵の大沢が、先月20日のハミルトン・カージナルス戦に「1番・中堅」でスタメン出場。第1打席、カウント2-2からの変化球を振り抜くと、打球は左中間フェンスを越える先頭打者本塁打となった。大歓声とともに、ダイヤモンドを一周。三塁を回るときには、コーチャーと〝合掌ポーズ〟し、生還するとベンチ前でチームメートにハイタッチで迎えられた。「日本と全然、雰囲気が違って、観客も大きく盛り上がってる感じ。初打席で初ホームランを打てたのは、すごいインパクトを残せて良かった」と振り返った。
自分にも通用する力はある
10試合(5日現在)を終えて、37打数13安打の打率.351、5打点3本塁打をマーク。「最初にホームランを打てたことで自分にも通用する力はあるんだと感じたのと同時に、速い球の対応にはまだ課題があるので、そこをなんとか克服していきたい」。持ち味の打撃でアピールを続ける。
札幌南のスピリッツ発動
北大では、二塁手として3年春にベストナインのタイトルを獲得。同年に春秋通算打率.361で首位打者となった。昨秋のリーグ戦終了後、母校である札幌南の田畑広樹監督(42)から「もうちょいやってみたら面白いんじゃない? メジャーのトライアウトを受けてみたら?」とたき付けられ、札幌南の伝統に息づくチャンレンジスピリッツが発動した。
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「せっかくの機会。応募したくてもできないとか、誰でも行けるようなチャンスではないと思って。チャンスが目の前にあったので、野球でもう少しやってみたい気持ちもあった。野球でうまくいってくれれば、もちろんいいですし、もしそうじゃなくても、人生ですごく良い経験になります。こういう時に、やらないのはないみたいな」と、最終的にパンサーズとの契約にこぎ着けた。
内外野のポジション変更も大丈夫 「難しい打球もありますけど…」
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本来は内野手だが、パンサーズ加入序盤は中堅手としても出場。「高校の時はいろいろやっていたので外野手もやってたけど、公式戦に出たのはほんの少ししかなかった。大学も外野では一回も出ていない。今のところ、めちゃくちゃ難しい打球もありますけど、思ってたよりは大丈夫かな」。持ち前の野球センスで慣れないポジションも器用にこなしている。
北海道と似ている気候
キッチナーはカナダ・オンタリオ州南西部の町。日本との時差は13時間。緯度は北緯43度27分で札幌とほぼ同じ。「結構、暮らしやすい。北海道と気候も似ていて、おだやかな地域。のんびりというか、過ごしやすいなと。他の遠いところから来ているチームメートと、6人で同じ家に住み、一緒に練習に行ったり買い物に行ったりしています」。
英語でのコミュニケーションに関しては「伝えたいことは割と伝わる。聞くのは結構、苦戦してますけど。同じ家に住んでいるチームメートに1人、両親が日本人で、こちらで育った方がいて、日本語も話すことができるので、だいぶ助かってます。チームにはスペイン語を話す方も半分くらいいて、スペイン語と英語が両方飛び交っている感じ」と、異文化が交わる環境で暮らしている。
来年までは野球と研究を並行して
シーズンは8月まで。大学院に籍を残したまま海を渡った。北大では「応用マテリアルというコースに行って。僕がやっていたのはメタネーション。空気中のCO2をメタンとか天然ガスの原料に変える、というのがあるんですけど、うちは光とかを利用して、常温常圧でそれができる強みがある研究室。院でも同じ研究をたぶん続ける予定なんですけど、今はいったんカナダに行くこともあって、そちらはちょっとお休みしてます」。大卒2年目が終わるまでは野球と研究を並行して続けるつもりだ。
まずはシーズンに集中
5日の試合を終えて、チームは9チーム中8位。「どんどん点を取って勝ちたいチームだと思うので、自分もその攻撃の波をつくっていけるような、勢いをチームにもたらすバッティングをしたい」。結果次第では、次のステージへの挑戦も見えてくるが「まずは、このシーズンをしっかりやりきることに集中して、その先のことは、シーズンをやりきってから考えたい」。実力さえあれば、どんどんのし上がることができる世界で、道産子スラッガーが大きな夢に向かって打ちまくる。