田宮裕涼 攻守で躍動 巨人戦に秘めていたある思いとは-
九回1死、巨人・大城にソロ本塁打を浴びた北山(左)の元に歩み寄る田宮(中央)=撮影・桜田史宏
■セ・パ交流戦3回戦 日本ハム4-1巨人(6月19日、東京ドーム)
1軍復帰後初のスタメンマスク
日本ハムの田宮裕涼捕手(25)が「5番・捕手」で1軍再昇格後初のスタメン出場。三回に貴重な追加点となる中犠飛を放ち、守っては先発の北山亘基投手(26)を好リードした。
大記録目前の快投をアシスト
久々の先発マスクで仕事を全うした。
「北山さんがいいボール投げていたので、僕はただサポートしていただけ。北山さんとノーヒットノーランできなくて、僕も悔しいです」。九回1死から大城にソロ本塁打を被弾。快挙達成とはならなかったが、先輩右腕の好投アシストした。

「勝っているのにドキドキドキドキって感じ」
無安打と気付いたのは試合の中盤だった。「六回くらいに、そういえば打たれてなくね? って」。七回2死から四球を出して、完全試合は逃したが、ノーヒットは継続。そこから緊張が一気に高まった。
「八回終わった後は、やばいどうしようって。(九回は)何か、いつもとはちょっと違う緊張感でしたね。勝っているのにドキドキドキドキって感じでした」。冷静を装いつつ、心臓バクバクだった。
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憧れの人物が率いる球界の盟主
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東京ドームでの巨人との3連戦。17、18日は出番がなかったが、ある思いを胸に秘めていた。田宮にとって、同じ左打ちで打てる捕手として名をはせた巨人・阿部監督は憧れの存在だ。「プロ野球を知らなかった初期(の憧れは)はイチローさん。その次は阿部慎之助さんが好きでしたね」と目標の選手に掲げてきた。
幼少期には、千葉の自宅から東京ドームへ観戦に訪れることもあった。「何回か見に来てはいましたよ。下敷き、クリアファイル、消しゴムとか、いろいろ使っていました」。球場で購入した阿部慎之助グッズを愛用していた。
三回無死満塁、田宮が中犠飛を放つ
プロ1年目にコーチとして指導を受けた実松氏
もう1人、勇姿を届けたい人がいた。前日18日の練習前、グラウンドに出てきて、真っ先にあいさつに向かったのが巨人の実松バッテリーコーチだった。プロ1年目の2019年。育成コーチ兼捕手だった19歳上の大先輩と、2軍でともに汗を流した。
一緒にプレーした期間は1年だけだったが、「同じキャッチャーで一緒にやっていた。サネさんが『ずっと見ているよ』って言ってくれた」。久々の再会で温かい言葉をかけられ、決意を新たにした。
悔しさも成長の糧に
昨季、プロ6年目で自己最多の109試合に出場するなどブレーク。今季は打撃の調子が上がらず、2軍降格も経験したが、誕生日だった今月13日に1軍へ戻ってきた。
思い出の詰まった東京ドームで、チームの勝利に貢献。お世話になったサネさんにも、成長した姿を見せることができた。
