《天皇杯大分戦前日》まずここを一つ勝って、次にJ1に勝つ《岩政Talk》
■6月17日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
練習後、取材に応じた岩政大樹監督(43)の一問一答は以下の通り。
―大分はリーグ開幕戦で敗れた相手。後半戦に勢いをつけるためにはもってこい
「そうと言えばそうなんですけど、あまり僕は相手を気にすることがないので関係ないと思います。シーズンダブルされたくないという思いでモチベーションを駆り立てることもできますが、それは選手であれば誰でも持っているもの。それよりも、自分たちがどういうフットボールを目指し、そこに向かってどう進んでいるのかがより大事。それが進めば勝率は上がるし、勝つことが多くなると捉えている」
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―新加入選手も入り、選手選考に頭を悩ますのでは
「人数という面もありますが、新加入選手が入って、それぞれが適正ポジションでトレーニングできていることが非常に重要。人数がいても、前半戦の時でもセンターバックが全然いなくて、中盤の選手がやったり、あるいはフォワードの選手がやるぐらいの時もありました。そういう中でトレーニングで成長しましょうと言っても、選手にとっては酷だったと思います。今、それぞれが自分のポジションでそれぞれの課題に向き合う時間を多く作れているので、それによって成長してほしいということは常に伝えています」
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―新加入のマリオ・セルジオのチームへのフィット感は
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「シーズン中なので、試合に出しながらフィットさせていくしかないし、今はそこを気にしても仕方がない。フィットしてから出場させるというつもりはないし、うちにそんな時間は残されていない。展開を見ながらになりますが、出場時間を少しずつ持たせて、できるだけ早めにフィットさせていくように、と考えています。一方で、今いる選手たちも同じように競争なので、あした出る選手たちも、自分のパフォーマンスによって今後の出動時間が変わります。それはマリオも他の選手も同じ」
―普段出場時間の少ない選手たちへの期待は
「パフォーマンスが悪ければ出られないだけの話。プロとしてそれぞれがフェアに勝負するだけ。その選手たちが活躍しなければ、僕は悩むことなくスタメンを決められるので、それはそれでありがたいし、僕が決めることではないと思ってます。いつも選手たちに言いますが、出場機会は最終的に僕が決めるかもしれないけど、プロの世界って大体ピッチ上で選手たちが決着をつけているものなので。僕は特にパフォーマンスで全て決めるようにしているので、好き嫌いもないし、誰かをエコひいきすることもない。あしたの試合も今後の試合の出場機会を自分で勝ち取る試合だよ、という話。それをできなければ得られないだけ。そんなに僕は前がかりに考えていることもない。とにかくチームとしては勝ち上がって、ルヴァンで果たせなかったJ1との対戦を今年の中で経験させて、そこでまたレベルアップさせたいという思いが強い」
―今治戦の結果を受けて気持ちを切り替えるためにどのような話をしたのか
「切り替えよう、という時もありますが、感覚的にはもう日常です。当たり前の作業が当たり前に進んでいくだけなので、歯を磨くのと一緒ですよね。もしくはご飯を食べるのと一緒。同じことを繰り返しているので、おいしいものを食べても、まずいもの食べても次の日は来ますんで、ぐらいなもんです。大事なことは、チームの作り直しの作業が、今どういう段階で、何が課題で、自分たちに何ができていて、それを次にどう進めていくのか、という作業を、ちゃんと分析して進めること。勝とうが負けようが関係はない。周りの人は勝ち負けで一喜一憂して、いろいろ言えばいいと思いますけど、僕たちは、勝つ確率を上げていく作業が、毎日のトレーニングだったり、ゲームの繰り返しの中で経験値を積み重ねてやっていくこと。勝った負けたで評価の仕方が変わるところはありますが、勝った試合でも課題はあるし、負けた試合でも良い点はある。それをちゃんとチームで共有して、じゃあこれをやろうね、この次こうしようね、次どうするか決まったら、もう次に向かう、という話、繰り返しを日常的に続けているだけ」
―天皇杯の思い出は
「天皇杯って、僕は子供の時の正月に見るものだった記憶の方が強いかな。現場に入って、そこに子供の時に見ていたあの舞台にいるんだっていう高揚感も、その時の記憶から来るような気がしますね」
―優勝した時は広島相手に元日に決勝だった
「大みそかに東京のホテルに泊まっているわけですね。下でどんちゃん騒ぎしているホテルに、僕らは泊まってるわけですね。正月になって、みんながおせち食べている時に僕らは試合をしてるって感じなんで、不思議ですけど、子供の時に見ていた憧れの舞台に立っているという感覚はやっぱりあったし、そういう思いの方が強かった気がするかな。タイトルを取ったうれしさも当然ありましたし、僕はそれ以降、決勝で負けたことはあまりない。その前年、ルヴァンで僕は決勝を負けましたが、その天皇杯からカップ戦で勝つサイクルに持っていけた記憶があります。天皇杯の一番の思い出、となると、子供の時の正月に見ていたもの、箱根(駅伝)と一緒に3日間ずっと。それにお餅食ってた記憶の方が強いですかね」
―カップ戦を勝ち上がっていく感覚は、選手にも味わわせたい
「当然ありますけど、今の感覚はどちらかというと、ここを勝ち上がってJ1のクラブとやらせてあげたい。今年うちはJ2で戦わなければいけない現状があって、J1との対戦経験がなかなかできなくなっているので、まずここを一つ勝って、次にJ1に勝つという経験をして、それを一個一個積み重ねれば、さらに上に上に、というのが見えてくる。タイトルや、その後のアジアも、J1、J2関係なく、勝ち上がればあるわけですから、そこは目指したいと思いますし、うちの選手層で、そこを目指せないわけではない。あとは若手の奮起だと思います」
■プロフィール 岩政 大樹(いわまさ・だいき) 1982年1月30日生まれ。山口県出身。岩国高、東京学芸大を経て、04年に鹿島へ加入。13年限りで鹿島を退団した後は、タイ1部BECテロ・サーサナFC、岡山、東京ユナイテッドFCでプレーし、18年シーズンをもって現役引退。指導者としては、21年に上武大の監督を務めた後、22年から古巣・鹿島のトップチームコーチに就任。同年8月から監督に昇格し、23年シーズン終了までチームを率いた。24年はベトナム1部ハノイFCで監督を務めた後、9月に母校の東京学芸大のコーチに。25年1月より北海道コンサドーレ札幌の監督に就任した。
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