《岩本勉のガン流F論》ブーマーになり得るレイエス ハイタッチはソフトに!
■パ・リーグ10回戦 ロッテ0-1日本ハム(6月1日、エスコンフィールド北海道)
サヨナラ勝利を引き寄せたディフェンス力
決めたのはレイエス。ヒーローを語る前に、劇的勝利を導いたディフェンス力について触れたい。センターを守った矢沢の再三にわたる好プレー&好送球。九回には二塁を守る上川畑が先頭・寺地の一、二塁間を抜けそうな当たりを好捕し、アウトにした。守備力でもぎ取った勝利とも言える。
投手陣はリレー完封
その強力なバックを味方に投手陣も皆が好投してくれた。北山はピンチをしのぎ、7回無失点。ラスト九回に登板した河野は3者凡退と付け入る隙を与えなかった。2番手で八回のマウンドに上がった孫易磊が素晴らしかった。そろそろ他球団は対策を立ててくる。事実、今カード1戦目では山本に一発を食らった。この日も先頭の岡(二塁を狙いタッチアウト)、続く藤原にもヒットを許した。それでも、だ。後続を打ち取って事なきを得た。
孫易磊のすごさとは…
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何がすごい。一番は度胸。走者を背負ってもオン・ザ・ベースで勝負できる。ボールではチェンジアップ。古林のカーブのように、変化球がストレートを最大限に引き立てている。そのチェンジアップのコントロールは抜群。リトルリーグ時代など、よほど昔から投げ込んでいるのだろう。
打つべくして打ったレイエス
お膳立ては整った。さあ、レイエス。打つべくして打った。ゲレーロが3ボールにした後の4球目。高めのストレートを叩いた。あそこは完全に直球一本で打ちにいく場面。もちろん、打ったレイエスが素晴らしいのだが、ロッテバッテリー、特に捕手の寺地にとっては勉強になったはず。四球を出し、いや満塁を描くぐらいの勇気、慎重さが求められるシーンだった。ロッテは九回以降、1点を失えば、即敗戦となるのだから。
レイエスはファイターズを代表する、いやプロ野球界を代表する助っ人になり得る。一昔前で言えば、セ・リーグのバース、パ・リーグのブーマー。すでにチーム内では愛されキャラ。性格も実にナイスガイだ。
ブーマーのサインボールは宝物
ブーマーも実にナイスな男だった。対戦は1度きり(1991年に右飛)だったが、プロ入り前から、憧れの選手の一人だった。入団時、対戦したい打者を問われ、「ブーマーのようなパワーヒッターと勝負したい」とコメントしたほどだ。お互いにユニホームを脱ぎ、解説者として球場で顔を合わせた時、サインボールをいただいた。カタカナで「ブーマー」、そして背番号の「44」と記された白球は今でも実家にある宝物だ。
レイエスよ、ブーマーのようになってや。ただ、ハイタッチはソフトに! 滑り止めのスプレーはほどほどに!やで。
【※】ブーマーが本塁打を放ち、ホームベース付近で待ち構えていたチームメートの門田博光とハイタッチ。ブーマーが打撃時に滑り止めスプレーを大量に振りかけていたため、力強さと滑りづらさが相まってハイタッチの際に門田が肩を脱臼した。