細野晴希がプロ初勝利 大学時代は〝エゴサ〟依存 今はデジタルデトックス「すごく気持ちが良い」
プロ初勝利を飾り、新庄監督(左)と記念撮影する細野=撮影・岩崎勝
■セ・パ交流戦2回戦 広島0-5日本ハム(6月14日、エスコンフィールド北海道)
待ちに待った初白星!
日本ハムの2年目左腕・細野晴希投手(23)が今季4度目の先発で6回2安打無失点と好投し、プロ初勝利を挙げた。
何事にも夢中になる性格
幼少期から、好きなことにはとことん打ち込む性格だった。
「親から怒られることもなく、自由にやっていました。基本、ずっと一緒の遊びをしていましたね」。遊びに夢中になりすぎて、けがをすることも多かったという。「周りが見えないタイプです。父さんのトラックの荷台にクレーンが付いていて、そこで遊んでいたんですけど、クレーンに頭をぶつけて血が出て、病院に行って(医療用)ホチキスで止めたこともありましたね。父さんには、大けがをしてもいつも『気のせいだよ、大丈夫だよ』って言われてました(笑)」と懐かしそうに振り返った。
三回を無失点に抑えた細野=撮影・小田岳史
とにかく負けず嫌い
負けず嫌いも人一倍だ。
「なんでも勝って終わりたかった。なので、兄弟とはいつもけんかになっていました。友だちも、とりあえず自分が勝つまで付き合わせて、勝ったら終わる。勝ち逃げ。一番、嫌なやつです(笑)」。大人気ゲームの大乱闘スマッシュブラザーズにハマった際も、ノートに攻略法をまとめるなど勝ちにこだわり、友だちを圧倒するほどやりこんだ。

出会ってからは野球一筋
野球に出会ってからは、家で一人、黙々とボールを投げ続けた。「壁当てをしたり、上に向かってボールを投げたり。ずーっとやっていました。2、3時間は平気で。頭の中でバッターを想像して、よく一人で、九回まで試合をしていましたね。今のは打たれたなーとか思いながら。それは、小4、5ぐらいからずっとやっていました。中二病みたいなことをしていましたね(笑)。野球はずっと楽しかったです。もともとはバッティングが好きで、カラーボールでずっと打っていました。サッカーとかもやったんですけど、打つ方が楽しかったですね。両親にずっと好きなことをやらせてもらったおかげで、一人でコツコツやることが好きになりました」
仲の良い後輩右腕の言葉で開眼
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
高校、大学と成長を続け、ドラフト1位でプロ入りした。アマチュア時代から、試合前の準備を大事にしてきた左腕だったが、プロに入って出会った2学年下の後輩に、考え方を変えられた。
「学生時代、僕はどっちかというと、練習ではなく試合の日にがっつり準備をやっていたんです。そしたら、達に言われたんですよ。『なんで、練習も試合と同じ熱量で(準備を)やらんの? なんで、試合だけそんな良い状態でいこうとするの? 練習の日も同じようにやったら良くない?』と。確かにそうだなと思いましたね。今は毎朝、5時半ぐらいには起きて、練習前の準備をしています。体をほぐして、きょうの動きはどうかなと確認して。早かったら7時ぐらいにはジムにいますね」。年下からの言葉も素直に受け入れ、毎日の〝朝活〟に力を注いでいる。
五回2死三塁、広島・矢野から三振を奪い、ほえる細野
電子機器に触れない一日で「すっきり」
半年ほど前からは、早朝から集中して体を動かすため、スマホやタブレットなどの電子機器に触れない日をつくる「デジタルデトックス」を取り入れた。
「気付いたんです。デジタルデトックスをしたら、めちゃくちゃ(体の状態が)良い。携帯を触らないので、朝、だらだらベッドにいることもなくなって、起きる以外なくなるんですよ。朝って、一回、携帯を見たら終わりじゃないですか(笑)。全然、ベッドから起きられなくなって、いろいろ見てたらどんどん時間が過ぎちゃう。デジタルデトックスをやってみたら、すごい気持ちいい。毎日ではないんですけど、定期的にやっています。すっきりしますね」
エゴサーチからも脱却 「良い言葉だけを吸収」
大学時代は自身に対するネット上の声が気になり、つい自分の名前を検索するエゴサーチを繰り返すこともあった。「(エゴサーチを)結構していました。見て、嫌なことが書かれているって分かるのに止まらなくて、依存みたいになってしまって」
デジタルデトックスを取り入れたことで、自然と〝エゴサ〟からも離れられた。
「携帯を見ていると、変なネガティブなことばっかり目に入ってくるんですけど、そういうのもなくなりました。周りの声が気にならなくなりましたね。どうしても調べたい時は、フルネームで調べると、あんまり悪いこと書かれていないです(笑)。悪口を言う人って、だいたい細野って、名字だけで言うんですよ。フルネームで、細野晴希で調べたら、みんなちゃんと的確な意見を書いてくれている人が多いですね。あと、(投球内容が)悪かった日は絶対に見ないです。良かった時に、ちょっと見ます。こういうこと思われてんのかって〝気にしい〟なので、良い言葉だけを吸収できるようにしています」

いつも胸にある両親への感謝
いつも胸に秘めているのは、不自由なく野球をやらせてくれた両親への感謝の気持ちだ。登場曲には「母ちゃんに礼を言う 『ありがとう』」という歌詞があるRADWIMPSの「ヒキコモリロリン」を選んでいる。
「あんまりちゃんと伝えたことがなかったので、曲で伝えさせてもらいました。基本、怒ることはなくて、いつも楽しんでね、と言ってくれる。中学校から私立で、野球の道具も高いし、お金もかかったと思うんですけど、好きなことをやらせてくれて感謝しています」
まだまだ届ける勝ち星という名の贈り物
プロ入り直後には、プレゼントを贈った。
「結構、良いマットレスを、2人に作ってあげました。いつも、ほぼ床みたいなところで寝ていて、絶対、体痛くなるなと思ったので。ちゃんと睡眠を取った方がいいよ、と」。優しい孝行息子はこれから、両親にたくさんの白星を届けるつもりだ。

【道スポが全部読める! お得な年払いプラン】