知内が3年ぶり8強 エース田澤が熱投151球「(監督の)気持ちに応えようと」【春季全道大会】
延長十一回を投げ切った知内の田澤投手=撮影・十島功
■春季全道高校野球(5月26日、札幌円山)
▽1回戦 北照2-3知内
※延長十一回タイブレーク
中島の犠飛でサヨナラ勝ち
3年ぶり出場の知内が、甲子園出場経験もある北照に、延長十一回タイブレークの末に劇的サヨナラ勝利した。2-2で迎えた延長十一回、先発した知内のエース田澤慶明投手(3年)が2死満塁のピンチを無失点で切り抜けると、その裏に1死満塁からこの試合無安打だった5番・中島琥雅二塁手(3年)がサヨナラの右犠飛。田澤は函館支部から続く、連続無失点イニングは22で途切れたが、2失点完投勝利を挙げた。知内は春の全道10勝目。2回戦では3季通じて道大会30勝目を目指して、北見北斗と対戦する。
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延長十一回タイブレークの末に劇的サヨナラ勝利を飾った知内ナイン
知内のエースが無死一、二塁で始まるタイブレークで2イニング連続無失点。2度のリードを追いつかれる展開だったが、我慢強く投げ続け、北照に一度も勝ち越しを許さず劇的勝利をたぐり寄せた。昨秋に右肘を剥離骨折した影響で、痛み止めの注射と、のみぐすりを服用しての熱投。151球の熱投を終え「中島くんが最後決めてくれて嬉しかった。初回から、どんどん打たれて、六回、七回あたりから、疲れは出てました。支部の決勝でも高草木監督が『田澤に尽きる』と言っていたので、気持ちに応えようと思って」。最後までマウンドを譲らず、昨秋から監督を務める高草木穣監督(57)に、就任後初の全道1勝をプレゼントした。
22年南北海道準Vメンバーの馬躰から…
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福島町出身。22年南北海道大会で準優勝メンバーの馬躰光瑛外野手(20、トヨタ自動車東日本)とは、少年野球で同じチーム。準優勝は地元で動画配信に見入った。馬躰に憧れ、知内に進学した。昨年のお盆に里帰りした馬躰と再会。「エースなんだ、ガンバレよ」と励まされた。当時は投手兼外野手だった馬躰と同じように、円山のマウンド踏んだ。「馬躰さんは、いつどんなピンチだったとしても、笑顔で相手をビビらせるような気持ちでやっていた、と自分では感じているので、自分もマウンドに立った時は、笑顔で相手を怖がらせようって気持ちで投げてました」。丁寧に低めを突き、凡打の山を築いた。27年ぶりの4強入りへ「相手が強くても粘り強くやって、最後には勝てたら」と、痛みと闘いながら、右腕を振り続ける。
タイプレークの延長十回を無失点でしのぎ、ガッツポーズする知内の田澤
茂富監督の哲学「三氣野球」が根底に
恩師にささげる全道1勝だ。指揮官は砂川北高出身。元氣、本氣、一氣の「三氣野球」をモットーに、砂川北と鵡川で計6度甲子園に出場した故・佐藤茂富監督の薫陶を受けた。02年には母校の指揮官として、北北海道大会準優勝。甲子園まであと一歩まで迫った。石狩南を経て、昨春知内に赴任。昨秋から監督に就任した。「三氣とは言ってないけど、そういう野球を目指しています」と、基本に忠実な指導の根底には恩師から受け継ぐ哲学が息づいている。「よく投げて守って、夏に向けて良い経験をした」。今度は道南の知内から、頂点を目指す。
1回戦を突破した知内の高草木監督