札幌手稲 天敵・札幌西を下し、円山開幕白星 1番・今内が適時三塁打など2安打1四球【春季札幌支部】
二回に適時三塁打を放つ札幌手稲の今内外野手=撮影・十島功
■春季全道高校野球札幌支部予選(5月12日、札幌円山ほか)
▽Aブロック1回戦 札幌西4-6札幌手稲

23年春以来となる公式戦勝利
2年ぶり公式戦勝利! 札幌円山球場の開幕戦は札幌手稲が札幌西に競り勝ち、2023年春以来となる公式戦での白星を挙げた。「1番・右翼」で先発出場した今内(こんうち)雄元外野手(3年)が適時三塁打を含む2安打1四球を記録し、切り込み隊長としての役割を全うした。投げては先発マウンドに上がった川村侑投手(2年)と加藤志汰(しいた)内野手(2年)の両右腕による粘投リレーでリードを守り抜いた。
狙い通りに振り抜き適時三塁打
左のリードオフマンが打線を勢いづけた。1-0の二回2死二塁の初球。今内の捉えた鋭い打球が右翼線を抜くと、一気にギアを上げて三塁まで陥れた。適時三塁打で流れを引き寄せた今内は、ベンチに向かって両拳を突き上げた。「みんなインコースに来てるよって伝えてくれたので、初球のインコースを思い切って振ってみようと振り切った。すごく良かったと思います」とニッコリ。
二回に適時三塁打を放ち、ガッツポーズをする札幌手稲の今内外野手
1番としての役割
そして、試合展開の中で目立たなかったが、適時打以上に自賛したのは五回の第3打席。先頭打者で迎えると、カウント2-2から追い込まれながらも、その後6球粘って四球をもぎ取った。「ちゃんと粘って1番としての役割を果たせた」。長打を放った後に四球を奪う。「追い込まれるまでは長打を狙って、そこからはカットしていくということを実践できた」という言葉通り、追い込まれてから出塁に重きを置いたアプローチを見せた。八回にも左翼線への二塁打を放ち3出塁。得点は記録できなかったが、相手バッテリーに重圧を掛け続けた。
練習試合に全敗してポジティブ思考 今内「弱いことは分かっている」
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源田裕久監督(52)が「練習試合は全敗なんです。コテンパンにやられた」と話すように、札幌手稲にとって札幌西との相性は最悪だった。今年最初の練習試合も札幌西と対戦して5-10の敗戦。そんな苦手な相手との一戦となったが「怖いもんないでしょ」と選手たちに話し、ポジティブな思考に転じた。今内も「弱いことは分かっている状態で挑めるから、チャレンジャーのつもりで」と天敵に臆すことなく伸び伸びとプレーし、好結果につなげた。
選手たちの自主性を尊重
21年春から就任した源田監督は選手たちの自主性を重んじており、練習メニューなども選手に組ませるなど、考える力を養わせている。九回には無死二、三塁とされるなど、終盤はピンチの連続だったが、2番手の加藤、そして先発した川村を再びマウンドへと送って逃げ切った。「一番苦しいところで力が出た。自分たちで考えて声を出してやってくれた。たくましくなった」と源田監督は目を細めた。
試合に勝利し、加藤内野手(左)とタッチを交わす札幌手稲の川村投手
昨夏はサヨナラ負けで涙
公式戦勝利は実に2年ぶり。昨年1年間は勝利できなかっただけに格別の1勝となった。特に昨夏は1回戦で札幌啓北商にサヨナラで敗戦。当時中堅で出場し、サヨナラ犠飛の打球を処理した今内は「最後は自分に(打球が)飛んできて負けて悔しい思いをした。同じ円山球場だったので、すごくうれしいです」と今回の〝雪辱〟を喜んだ。
次は下剋上を狙う
2回戦はプロ注目の窪田洋祐投手(3年)を擁する札幌日大高が相手となる。相手の出鼻をくじくためにも、切り込み隊長の役割は重要なものとなる。「チームがいい流れに乗っているので、気圧されるんじゃなくて下剋上を狙って頑張っていきます」。研ぎ澄まされた刀を手にした切り込み隊長が、強敵から勝機を生み出す。
試合に勝利し、笑顔で整列に向かう札幌手稲の今内外野手