【一問一答】宮西尚生 レジェンド岩瀬に並ぶ快挙達成 新庄監督から言われて響いた言葉とは
六回2死二塁、楽天・宗山から三振を奪い、ほえる宮西=撮影・宮永春希
■パ・リーグ7回戦 楽天7-8日本ハム(5月10日、エスコンフィールド北海道)
日本ハムの最年長左腕・宮西尚生投手(39)が、元中日の岩瀬仁紀がマークした879試合連続リリーフ登板のプロ野球記録に並んだ。六回、1点差に迫られ、なおも2死二塁と一打同点のピンチでマウンドに上がると、楽天のドラ1ルーキー宗山と対戦。伝家の宝刀・スライダーのみで3球三振に仕留め、今季5個目、通算417個目となるホールドをマークし、快挙に自ら花を添えた。ヒーローインタビューと試合後取材の一問一答は以下の通り。
【ヒーローインタビュー】
―試合の感想は
「さいこーでーす!」
―六回、ピンチで登板した心境は
「(ピンチを招いた斎藤)友貴哉、なにしてんねんって感じで行きました(笑)」
―3球三振。自身のボールはどうだったか
「宗山くん、ルーキーですけど本当に良いバッターなので、もう1球もミスが許されないなと、腹をくくってしっかり投げました」
―ピンチをしのいで、斎藤友貴哉に声をかけていた。どんなことを言ったか
「おいっ、としか言っていません」
―ブルペンでどう準備していたか
「いつも通り、電話がかかってくるまでゆっくりしていました」
ヒーローインタビューで〝さいこーでーす〟と叫ぶ宮西(左)=撮影・松本奈央
―879試合連続リリーフ登板。岩瀬に並ぶNPBタイ記録
「いや、先発もやりたかったんですよ?(笑) でも本当にルーキーの頃からリリーフでしっかり育ててもらって、今もこうして投げられることに感謝したいと思います」
―ファンへ
「1試合1試合、目の前の試合をしっかり戦っていきたいと思いますので、この後もよろしくお願いします」
【試合後取材】
―スライダー3球で仕留めた
この記事は有料会員限定です。
登録すると続きをお読みいただけます。
「そうですね。結果的に完璧だった」
―配球は
「もう全部キャッチャーに任せていたので、郡司にいいリードをしてもらいました」
―全球スライダーのサインが出た時の心境は
「まあ、別にそこはいつも通りなので何とも思わないですけど、3球目は、2球とも完璧に追い込めたので、そういうときの3球目は一番不安になるんですけど、そこはしっかりと思い切って(腕を)振って、しっかり投げたらいいところに行ったので、よかったと思います」
―準備は六回からだったか
「友貴哉のバックに入ってくれと元々言われていたので、そこら辺の準備はしっかりできたかなと思います」
六回途中からマウンドに向かう宮西(左)
―気持ち的にも
「だから、おお、やっぱり友貴哉って感じでしたけど(笑)。まあまあね。ああいうところでカバーしてあげられる事によって、次につながるわけやし、心折れずに次の登板を迎えると思うし、先輩としてしっかり抑えられて安心したなと」
―斎藤友貴哉からは
「すみませんって(笑)。でも、アイツは良い意味でも切り替えの上手な子なので、次はしっかりやってくれると思っているので。自分の時も助けてくれると思うし、持ちつ持たれつの関係。そういうのが良いリリーフ陣だと思うので」
六回2死二塁、楽天・宗山から三振を奪い、ベンチに戻る宮西(左)を迎える斎藤(右)
―スライダーで好投できている要因は
「去年はチェンジアップを主体としてガンガンやっていて、スライダーにそこまで気を使っていなかった。今年は両方、両立させたいというところを、キャンプからしっかりやってきていた。開幕してちょっとスライダーの精度が悪かったので、フォーム、足の使い方を変えて、前回のオリックス戦くらいから感じがよくなっていた。それがきょうもしっかりできたことはプラス材料かなと思います」
―体のメンテナンス的には
「メンテナンスはもう本当に、この18年間、トレーナーさんにしっかりやってもらっているので、そういう意味でも、トレーナーさんのおかげです」
―メンテナンスの時間が長くなったりしているか
「やっぱりやることは増えますよね。朝も家でしっかり電気を当てたり、そういうことをしてグラウンドに向かってきている。若い頃とは体が変わっているので、ケアという部分は大変ですけど、どっちかと言ったらトレーニングをしっかりやりたいというところがある。時間はかなりかかっちゃいますよね」
―岩瀬に並んだことについては
「いや、岩瀬さんが偉大すぎて、並んだという感覚が全くないのが正直なところです。ここまで、がむしゃらにこの18年間やってきて、気づいたらここまで来ていたというだけやし、本当に周りにいる監督、コーチ、トレーナーさん、裏方さん、みんなのサポートとか、若い頃は失敗して引きずることが多い選手やったんですけど、先輩方がフォローしてくれてどんどんメンタルが強くなったところもある。本当にこのチームじゃなかったら、記録は達成できていないと思うし、出会いに感謝です」

―節目を本拠地で飾ったことは
「いっぱい節目がありすぎてよく分からんのやけど(笑)。でもやっぱりね、ファイターズのファンのみんなの前でこういう記録に並んだのは良かったなと思いますし、自分のファンの方は、リリーフなのでいつ投げるか分からない、それやのに球場に来てくれている人もいると思いますし、だから立ち会えた人はラッキーやったんじゃないかなと思いますけど(笑)」
―新記録もエスコンで
「まあまあ、記録のためにやっているわけじゃないのでね。本当に、今はどんな登板であろうが、去年から楽しむというところをテーマにモデルチェンジしているんので、楽しくやった結果、登板の記録が更新できたという形であって、良いのかなと思います」
―楽しむという心境になったのはいつからか
「去年ですよ。ここ2、3年前はもう限界かと思ったし、チームも世代交代に入りましたし、やっぱり葛藤とか苦労とか、いろいろ自分の体のメンテナンスもそうですし、苦労はかなりありました。やっぱり去年ボス(新庄監督)が、『頑張るな、楽しめ』と言ってくれたところから、一気に肩の荷が下りたというか。純粋に野球を、目の前の試合を、勝負を楽しんでいるというか。そのためにも準備は大事やし、すごい野球の基本となる部分を再認識させられた。そこからは、勝ちパターンとか記録とか、ホールドとか、そういうところは一切気になっていなくて、投げられたらいい。1軍で投げられることの喜びとか、そういうところを噛みしめながら最後までやりきりたいと思っている」

―高校、大学でも楽しいという感覚は
「全くないですよ。どっちかと言ったら昭和レベルの人間ですから、笑うな、水飲むなとか、そういう時代でしたし、目の前の試合を死ぬ気でやれよという感じやったけど、やっぱり新庄さんと出会って、野球観も変わった。こういう野球もあるという中で、今はしかも若い子が多いから、自分と年の差もかなりあるし、今の野球というところで、すごく新しい野球に出会えていて、それが楽しいかなとは思いますけどね」
―楽しさを実感する瞬間は
「実感は、ないです、実際。やっぱり目の前の勝負に緊張もしますし、プレッシャーも感じるし、だけど打たれても、もういいやっていうぐらいの、死ぬわけでもないし、(新庄)監督がその時に言った、『たかが野球や』っていう言葉もすごい響いていて。若い頃も、高校の監督にそれを言われたんですけど、たかが野球って言われてもな、って、その時は全く理解できなかったし、やっぱりこの年齢になって、これだけプロでやって、やっぱり去年、新庄さんからそうやって、たかが野球と言われて考えたときに、ホンマに肩の荷が下りた。すごいプレッシャーを無駄に自分自身で感じていたので、そういうのは全部なくなって。純粋に目の前の野球、打たれたら悔しいし、抑えたら楽しいしという、もう小学生、少年野球みたいな、そんな感覚で今はやっています」
―プロ初勝利も母の日に近かった
「11日ですね、確か。丈夫な体に産んでくれた母親に感謝しましょう。母の日もそうですし、自分の初勝利もそうですけど、自分の嫁の誕生日も11日なので、そういう意味では、いいあれになったかなとは思いますけど」
ヒーローパレードでファンに手を振る宮西(右)と万波