〝不屈の男〟深井一希が勝負の4連戦へ照準「1年のターニングポイント。自分の力を出せるように…」
前節の藤枝戦で昨年10月5日のJ1G大阪戦以来197日ぶりのリーグ戦出場を果たした深井=撮影・宮西雄太郎
■4月23日、札幌・宮の沢白い恋人サッカー場
北海道コンサドーレ札幌は23日、札幌市内で第11節・大宮戦(25日、NACK5スタジアム)へ向けて全体練習を行った。前節の藤枝戦で今季初出場を果たしたMF深井一希(30)は、久々の試合の反動もなくフルメニューを消化。度重なるケガに苦しめられた不屈の男は、札幌のため次戦も死力を尽くす覚悟だ。
誰もが待ち望んだカムバック
カムバックの日を誰もが待ち望んでいた。20日に行われた藤枝戦の後半37分。深井の投入がアナウンスされると、プレドに詰めかけた観衆から、その日一番の歓声が巻き起こった。
「アップの時から大きな声援で後押ししてもらえてありがたかったし、力になりました」
4月20日藤枝戦、後半途中から出場したMF深井(手前)
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ピッチに立つと本職ではないCBを務め、ピンチを招くことなく逃げ切りに成功。2ー1のリードを守り抜いた舞台の上では、豊富な経験に裏打ちされた一瞬の判断があった。
「拓馬くんと話しながら、僕が…た方がいいと判断した」
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「西野が足をつっていたので(荒野)拓馬くんと話しながら、僕が後ろに入った方がいいと即興で判断した。練習でもCBに入ることはある。みんなで声を掛け合って、助け合えばどんな状況でも乗り切れる。そこまで不安はなかったです」
逆境に立ち向かう男の姿は、いつだって見る者の胸を打つ。過去に両膝の前十字靱帯だけで5度の手術を経験。何度も逆風にさらされながら、苦しいリハビリを乗り越えて、鮮やかな復活劇を遂げてきた。
数ある苦境のなかでも今回の復帰戦は特別
サポーターからは、敬意を込めて不屈の男と呼ばれる。そんな深井にとっても今回の復帰戦は特別で、さまざまな思いが去来したという。
「去年の途中にケガをしてから、ずっと痛みが取れなかった。原因も分からず自分の中でしんどかった。今までの中で1番厳しい1年になると思っていたので本当に感慨深かったし、前向きにやってきて良かったなって気持ちになれた。自分でも本当によく頑張ったなって思っています」

指揮官も感極まった背番号8の復活劇
藤枝戦後、岩政監督は背番号8の復帰を感極まる様子で振り返った。映像を見た深井は「監督とは(新体制が)始動してから何度も話をした。すごく寄り添っていただいて、僕がサッカーをできるように色々考えてくれてありがたい。普段は柔軟に物事を見ているけど、いざとなったらバッと来てくれる。お父さんというより、兄貴的な感じです」。短期間で紡いだ絆が、原動力の1つになっている。
今季のJ2は珍しいほどの混戦で、現在は10位から8チームが勝ち点12で肩を並べる。団子状態で迎える25日・大宮戦からの4試合は、シーズンの行方を占う大事な連戦となる。
「ここで勝ち点をどれだけ取れるか」
「ここで勝ち点をどれだけ取れるかが今年1年のターニングポイント。奪ったボールを確実に1つ繋げられたらチームとして落ち着くことができる。自分はそこを1番意識したい。力をしっかり出せるように頑張ります」
常々、口にするフレーズは「もう、自分のことは優先しない」。言葉の裏には、支えてくれる周囲の人々への深い感謝の念がある。強さと優しさを兼ね備える男が、17位からの大逆襲をけん引する。
