《平川弘のCool Eye》鹿島の堅守支えた岩政新監督はどう攻守のバランスを取るのか
ミシャ式継承とJ1昇格の両立は至難の業
来季の札幌の指揮官は岩政監督ということになった。7年間ペトロヴィッチ監督が札幌を率いて植え付けた攻撃的サッカーを、どう引き継ぐのか? おまけにJ2での厳しい戦いを経てJ1昇格を果たさなければならない。誰がやっても来季札幌の監督は大変である。
武闘派かつクレバーな守備見せた鹿島時代
岩政監督はご存じの通り、現役時代は鹿島で活躍した代表歴もあるセンターバックである。鹿島のセンターバックと言えば武闘派が多く、現在ではDF植田がそのカテゴリーに入る。岩政も鹿島のセンターバックとして堅固な守備を見せたが、学芸大卒ということもあってクレバーさが加わっていたという印象だ。
鹿島と言えば4-4-2システムで4バック。センターバックの2枚はセンターフォワードをマンマークするストッパーとカバーリングするスイーパーの両方の役割をこなし、なおかつDFラインをコントロールできないと務まらない。マンツーマンのマークで相手に付きながらも、どこで受け渡してカバーリングするのか等、岩政監督は身にしみついているはず。オールコートマンツーマンだった札幌が、来季どういうディフェンスをするのか興味深い。
守備が弱いチームは優勝できない
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4バックか3バックか、システムは重要ではなく、それが最初に来てはいけないと、岩政監督はコメントしている。そこは3-4-2-1に当てはめるペトロヴィッチ監督とは違うところで、私もそう思う。札幌は攻撃サッカーの看板を掲げてきたが、J2で結果を出すには失点を減らし、ある程度手堅いサッカーをすることは避けられない。守備と攻撃は表裏一体で、分けて考えるのはナンセンスであるが、守備が弱いチームは優勝できない。J2では少なくとも、大量失点して負けるというゲームはあってはならない。
将来性ある近藤が「遠回りした」とならないように…
心配される他チームへの選手の流出だが、MF近藤が来季残留の意思を表明したらしい。今季右サイドで攻撃の生命線とも言える突破力で後半戦の巻き返しを牽引した。他チームへの移籍も可能だった状況で、来季J2の札幌を選んだ男気はすごい。自分だったらできるだろうか? 選手は代表やキャリアアップを目指して上のカテゴリーをどうしても選択する。将来性のある近藤が「遠回りした」とならないようなチームになってほしい。FW菅は神戸と広島の争奪戦になっているらしい。DF岡村は町田とか…。そういう報道を目にすると羨ましく思うだろうが、どこでプレーしようが最後は自分次第。どこでも成長できる。