《荒木大輔のズバリ解投》シーズン回顧2024 ~投手編~ 伊藤の成長で思い出したノムさんの言葉
経験豊富なソフトバンクに屈した日本ハム
CS(クライマックスシリーズ)ファイナルステージでソフトバンクに3連敗を喫し、日本ハムの2024年シーズンが終わった。CSを見ていて感じた。やはり、経験は大事だ。ファイターズの主力は若い。悪いことではない。勢いに乗った時は手が付けられない。
ホークスのようなチームになることは可能
ただ、ソフトバンクにはCSの常連ともいうべきベテランがおり、そこに若い選手、新戦力がうまく融合している。勢いだけでは勝たせてくれない。ファイターズの選手たちも今回、経験を積むことができた。ソフトバンクのようなチームになっていくことは十分に可能。この悔しさをバネにしてもらいたい。
投手陣をけん引した伊藤
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とはいえ、ペナントレースで貯金を「15」つくり、リーグ2位の成績を残した。目標の優勝、日本一には届かなかったが、チーム力は確実に上がっている。投手陣に限ると、やはり伊藤の存在が大きかった。14勝5敗で最多勝を獲得した。彼がしっかり軸として機能したことで、安定した戦いができた。
エースと4番は育てられるものじゃない
技術的な向上は当然ある。それ以上に精神的な成長が大きいだろう。昨季までは、いい投球をしていても突然、どこかのタイミングで崩れてしまうことがあった。今季はそれがない。ピンチを迎えても我慢することができていた。開幕投手を任されたことで、強い責任感も芽生えたはず。シーズンを通してエースの働きを見せてくれた。野村(克也)さんもよく言っていた。エースと4番は育てられるものじゃない、と。持って生まれた素質と自覚。その自覚が伊藤に備わってきたということだろう。
クローザーは最も難しい役どころ
中継ぎは12球団トップクラスの充実ぶりを誇った。最優秀中継ぎのタイトルを手にした河野をはじめ、池田や山本拓ら。ベテランの宮西も存在感を示した。課題はクローザーだ。これはどの球団にとっても永遠のテーマなのだ。長くこのポジションを務めたピッチャーは数えるほど。岩瀬や高津、大魔神(佐々木主浩)、来季から阪神を率いる藤川球児らの名が挙がるが、決し多くはない。それだけ難しい役どころというわけだ。
意地を見せてもらいたい田中正
今も昔も助っ人外国人に頼る球団は多い。ただ、現時点でその座に最も近いのは田中正で間違いない。今季、悔しい思いもした。一時、柳川にその座を奪われた。来季に向け、首脳陣の中にある程度の予定はあるだろう。田中正には意地を見せてもらいたい。
福島のさらなる成長に期待
新戦力の台頭もあった。育成から支配下を勝ち取った2投手。福島は一時、先発ローテーション入りし、2勝(3敗)を挙げた。柳川は田中正に代わって守護神を務め、8セーブを記録した。1軍で戦う準備はできた。この経験を来季に生かさなくてはいけない。特に福島。ストレートの力強さは大きな武器。彼がシーズンを通して先発ローテに加わってくれば、大きな戦力となる。
達はフェニックスリーグで圧倒的な成績を
福島、柳川と同期の達はペナントレース終盤に先発の機会を与えられた。ロッテを相手に5回無失点と好投し、プロ初勝利を飾った。ただ、ファームで圧倒的なパフォーマンスを披露し、先発の機会を勝ち取ったとは言えない。CSという超短期決戦の真剣勝負の場では登板機会が訪れなかった。現在、行われているフェニックスリーグで他を圧倒する結果を残し、胸を張って春季キャンプで1軍入りしてもらいたい。新戦力はどんどん現れる。上原や根本は来季、文字通り勝負の年になるだろう。