大相撲
2021/11/24 14:42

一山本 勝ち越し決定 再入幕へ前進

勝ち越しを決めた一山本。再入幕に向け、さらに勝ち星を積み重ねる

 大相撲九州場所10日目は23日、福岡国際センターで行われ、西十両4枚目の一山本(28、岩内出身=二所ノ関)が東7枚目の王鵬(21、大嶽)を押し出しで下し、8勝2敗と勝ち越しを決めた。東十両10枚目の矢後(27、芽室出身=尾車)は東13枚目の朝乃若(26、高砂)に上手投げで敗れて3勝7敗。西十両9枚目の旭大星(32、旭川出身=友綱)は西13枚目の平戸海(21、境川)に押し出され、負け越しが決まった。

十両Vも視野に

  会心の白星だ。勝負はわずか4秒で決した。7勝2敗で勝ち越しを懸けた一番に臨んだ一山本は、十両でただ一人無敗をキープしていた王鵬を圧倒。低く勢いのある立ち合いで相手を押し込むと、そのまま突っ張って一気に押し出した。
 取り組み後は「立ち合いでしっかり当たれて手が伸びた。落ち着いて前に出られた」と振り返り、自然と笑みがこぼれた。
 10日目で8勝を挙げ、1場所での再入幕を射程圏内に捉えた。他の力士の成績にも左右されるが、残り5番で2勝以上を挙げれば、来場所の幕内返り咲きが濃厚だ。それでも謙虚な28歳は「こればっかりは終わってみないと分からない。1、2場所かけてでもしっかり戻れるように、努力できたら」と雑念を振り払った。
 今年7月の名古屋場所で新入幕を果たすと、いきなり8勝7敗と勝ち越した。東前頭15枚目で迎えた9月の秋場所では4勝11敗と大きく負け越し、十両に陥落。苦汁をなめたが、幕内力士として戦った2場所の経験が大きな財産となった。
 「(今場所は)思い描いていた手を伸ばして前に出る立ち合いで相撲が取れているので、今の成績につながっている」と手応えをつかんでいる。
 十両の優勝争いにも踏みとどまった。9勝1敗の王鵬、荒篤山の後ろに8勝2敗でピタリとつけ、初の栄冠を十分に狙える位置だ。「優勝は意識していないですけど、自分の中でいい相撲が取れるように、一つでも多くの白星を積み重ねていきたい」。15日間、目の前の一番に集中し、最高の結果を手にしてみせる。(近藤裕介)

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