高校野球
2024/03/14 16:30

【北海14度目の春】③1995年 平川敦コーチに届けた聖地初アーチの柴田慎司さん

1995年大会1回戦の報徳学園(兵庫)戦で本塁打を放った柴田さん=撮影・西川薫

 第96回 選抜高校野球大会が3月18日に阪神甲子園球場で開幕する。北海道から昨秋の全道王者・北海と21世紀枠で別海が初出場する。北海は1963年大会で北海道勢最高成績の準優勝を収めるなど、道勢最多14度目の出場を誇る。歴代OBから甲子園開業100周年の節目に出場する後輩たちへのエールを紹介する。

「ずっとバッピをやってくれた平川さんのおかげ」

 1995年大会1回戦の報徳学園(兵庫)戦で、五回に甲子園初本塁打を放った柴田慎司三塁手(46)。前年に夏8強入りと国体優勝を経験した主力2年生4人の1人で、チームは優勝候補にも挙げられていた。当時、平川敦監督(52)はコーチだったが、同年4月からの就職が決まっていたために最後の大会だった。3-4で逆転負けしたが「ずっとバッピをやってくれた平川さんのおかげです。甲子園では変わらず真面目に1勝を追い求めてほしい。勝って北海道民を幸せに、楽しませてほしい」。監督として3度目の春の大舞台を戦う恩師の健闘に期待した。

平川コーチは仕事の都合で甲子園では見れず

 平川監督は、北海学園大1年時から母校で大西昌美監督(67)の右腕として打撃投手や外野ノックなどを担当。大阪入り後「宿舎でもみんな練習やってましたけど、平川さんが見に来ると和むんですよね。雑談じゃないけど『調子どうだ?』って声かけてくれた」。当初は3月30日に試合が予定されていたが、悪天候で31日に順延。平川コーチは仕事の都合で30日に帰札しなければならず、チームを離れる際に「絶対勝てよ、お前。打てよ」と気合いを入れられ「絶対打ちます」と互いに涙ぐみながらがっちり握手を交わし約束した。「本当は平川さんの前で打ちたかった」。2年間お世話になった兄貴分への惜別の一発だった。

1995年3月30日の1回戦が雨天順延になり、チームを離れる平川コーチ(右端)と握手する柴田さん(右から2人目)

 

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