ファイターズ
2024/03/01 16:15

《ハム番24時》3月1日

 北海道に戻り、胸にグッとくる光景を目撃した。エスコンフィールド北海道でチーム練習が行われた前日29日の出来事だ。ウオーミングアップの直前。選手やスタッフもまばらなグラウンドの上で、打撃投手の谷元さんがポツリと言った。「ちょっと、夢をかなえてくるわ」

 谷元さんがエスコンフィールド北海道に足を運ぶのは、この日が初めて。一塁側カメラマン席付近から歩み出すと、向かった先はマウンドだった。フィールドの一番高い場所にほんの数秒立ち、少しだけ周辺を見渡すと、何事もなかったかのようにマウンドを後にした。

 投げる姿を期待していた記者が「シャドーピッチングぐらい、やっても良かったのでは?」と尋ねると「それはおこがましいでしょ。目立たないように、そっとね」と照れくさそうに笑った。周囲への心配りを忘れない行動に、スタッフとしての矜持(きょうじ)があった。

 ただ、直後には「本当に投げたかったなぁ~。開業した去年までは現役だったから。まあ、こういうものだよね」と本音も漏らした。タッチの差で逃した夢の舞台には、さまざまな思いが詰まっている。

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