コンサドーレ
2024/03/11 16:30

《元赤黒戦士の現在地・上原慎也前編》FC琉球スタッフとして地域・企業との関係づくりに尽力

現在はFC琉球のスタッフとして活躍する上原慎也さん=撮影・工藤友揮

2009年から17年まで9年在籍

 かつて北海道コンサドーレ札幌で活躍した選手に現在の活動や、札幌在籍時の逸話を語ってもらう「元赤黒戦士の現在地」。今回は2009年から17年まで9シーズンに渡って在籍し、186センチの長身でスピード、跳躍力などといった優れた身体能力を武器に、数々の劇的ゴールでチームを勝利に導いた上原慎也さん(37)を紹介する。前編ではプロ生活最後の在籍チームとなった地元・FC琉球でプレーした現役晩年や、クラブコミュニケーター(CC)として活動する現在についての話を中心にお届けする。(以下、敬称略)

2017年5月24日のルヴァン杯仙台戦でゴールを決め喜ぶ上原(上)

 

ホーム戦では場内を歩き回ってサポーターとの交流も

 22年シーズンをもって14年間に渡るプロ生活にピリオドを打った上原は、翌23年から琉球のフロントスタッフとなり、CCという役職が与えられた。「チームと地域やパートナー企業をつなぐ役割をしています。元選手ということで知ってもらえているので、パートナー企業と会社の間に入って話をする役割をしたり、地域であれば僕が選手だったときはファン、サポーターと選手の距離というか、(選手が)なかなか近づけない存在というのがあったと思うので、それをより近づける関係にしようと。ホーム戦で僕が競技場外でマイクで話したりするんですけど、それ以外にも場内を歩き回っているときに気楽に話しかけてもらったりと、近い存在になれたかなと思いますね」。

琉球のことをもっと広めていければ

 ホームタウン活動の一環で小学校を訪問して朝のあいさつ運動やサッカー選手としての講話といった活動を行ったり、日本全国で放送されているサッカー番組の沖縄版「KICK OFF! OKINAWA」(琉球放送で毎週土曜日午後1時15分から放送)やラジオ番組に出演したりと、ピッチ外で話す機会は多くなったという。「選手のときにはなかなか体験できなかったようなことを去年やらせてもらえて。それプラス、今年はもうちょっと会社の仕事もやって、琉球のことをもっともっと広めていければなと思っています」と今後の展望を思い描く。

J2昇格を決めた年に

 17年シーズン限りで札幌を退団し、翌18年にJ2愛媛でプレーしていたころの上原は、J3で快進撃を続ける生まれ故郷・沖縄の琉球の動向を気にかけていた。最終的に20勝6分6敗という圧倒的な成績で優勝し、翌年のJ2昇格を決めた年だ。「僕はそのとき愛媛にいたんですけど、ケガもしてなかなか試合にも出られない中で、契約満了というのも頭の中にちらついていて。その中で琉球のJ3優勝が見えてきた中で、僕も(翌年)33歳になる年だったので、『僕はもう沖縄に帰りたいです』って代理人に伝えて。そこからですね、どんどん琉球に行く方に話が進んでいったのは」。

監督が交代も快く受け入れてもらえた

 当時琉球を率いていた札幌OB(1996年在籍)の金鍾成監督(59、現在再び琉球を指揮)からも好感触を示されていたというが、事態は突然思わぬ展開を迎える。「(金監督が19年に)鹿児島に移籍することになって。僕の中で移籍の話がフラットになってしまって、『あれ、これどうするんだろう?』となってしまって」。順調に進んでいた故郷への凱旋が一転暗礁に乗り上げてしまったが、幸い後任として就任した樋口靖洋監督(62)も快く迎え入れてくれたこともあって、無事19年シーズンからの琉球加入が決定した。

「同じタイミングで沖縄に帰れたら面白いね」

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