コンサドーレ
2024/02/11 17:20

《元赤黒戦士の現在地・上里一将前編》 沖縄で育成年代の指導に奮闘する日々「19年プロでやってきた経験を幅広く教えたい」

2004年から10年以上にわたって主力選手として北海道コンサドーレ札幌に貢献してきた上里一将さん=撮影・工藤友揮

2004年からのべ11年札幌在籍

 唯一無二の強力な左足を武器に、高卒新人として加入した2004年から10年以上にわたって主力選手として北海道コンサドーレ札幌に貢献し続けてきた上里一将さん(37)。22年シーズン限りでプロ生活にピリオドを打ち、現在は最後の所属チームとなったFC琉球のアカデミーロールモデルコーチを務める。現在の活動ぶり、そして札幌時代の思い出を全3回に分けて公開する。(以下、敬称略)

故郷・沖縄で小中高生とプレーしながら指導

 「小中高のカテゴリーを回って、一緒にプレーしながら指導をしたりしている感じですね」と、ロールモデルコーチの仕事の内容について説明する。「カテゴリーによって監督が違って、その人の考え方とかメニューの落とし込み方とかは全然違うので、事前に練習メニューを聞いて、こういった現象を出させたいというのを聞いた上で練習に入って。できるだけその現象が出るようにしたら子供たちも理解しやすいので、そういったことはトライしていますね」と、プロ生活で培った技術と経験をボールを蹴り合うことで未来のプロサッカー選手たちに伝えようと日々奮闘を続ける。

「ピッチを外から見たときの景色が違う」

 22年シーズン限りでプロキャリアを終え、指導者の道を歩み始めてから約1年が経過した。プレーする立場から指導する立場に変わったことについて「元々そういうのが好きだったんですよね。試合中でも『こうやったらいい』とかしゃべりながらやっていたので、それは現役と変わらないです。ピッチを外から見たときの景色が違うので、そこの伝え方はちょっと難しいなとは思うんですけど、結局は自分がピッチに立っている状態で考えてしゃべるので、まあ楽しいですよ」と、充実の日々を送る。

古巣との練習試合でプレーするMF上里(手前)

 

「1時間でも成長を見られるから楽しい」

 以前はプロチームの指導者を志していたが、育成年代の選手たちと触れ合う中で心境に変化が訪れたそうで、「今はどっちかというと育成の方が合っているんじゃないかなと感じていて。1時間(の練習)でも成長したところを見られるから、教えていて楽しいですね」と口にする。「いろんな人と触れ合って、どういった接し方をすればこの子が成長するのかとかも関わってくるので、そこはいろいろ試行錯誤しながらやっていますけど、19年プロでやってきたので、その経験を幅広く教えたいなというのもあって。沖縄からあまりプロが出ていないので、沖縄全体に関われることができればなと思って、今いろいろとやらせてもらっている感じです」。上里の指導を受けて成長した沖縄出身の選手がプロサッカー選手として活躍する日を心待ちにしたい。

23年の練習試合、札幌-町田戦で助っ人に

 今年の札幌の沖縄キャンプでは、アマチュア選手で所属するFCセリオーレの一員として練習試合で古巣と直接対決したり、助っ人として札幌の試合に出場するなど、今でもプロキャリアをスタートさせた古巣との強い結びつきを持ち続けている。実は23年にも札幌の初実戦となった町田との練習試合に古巣の一員として45分間プレーしていた。「もう引退するのは決まっていて、報告を兼ねてでした。他のチームに行くよりも、琉球で引退する覚悟ができたので。で、札幌にケガ人が多くてそういう(試合参加の)話があったので、知り合いもいっぱいいたので引退する報告しながら行こうかなと思って。お世話になったクラブだし、感謝も込めて」。

味方にパスの出しどころを指示するMF上里(中央手前)

 

即サポーターに見つかりSNS投稿

 だが『さすが上里』と言うべきか、練習試合を見学していた札幌サポーターが上里の存在に気づいてSNS上で報告すると、一気に情報拡散。一部からは獲得希望の声が上がるほど大きな盛り上がりを見せた。「SNSに取り上げられちゃって。俺もびっくりしました。なんか騒がれてましたね(笑)」。もちろん本人には不快感などは一切無く、逆にそういった反応があったことを喜んでいたそう。それだけ多くの札幌サポーターから愛されていた証拠とも言えるだろう。

次回は入団秘話や背番号について

 次回からは多くの声援を背に受けて戦い続けた、札幌での足跡について振り返っていく。


■プロフィール 上里 一将(うえさと・かずまさ) 1986年3月13日生まれ、沖縄県出身。宮古高から2004年に当時J2の札幌に加入。正確かつ強力な左足のキックを武器に、ルーキーイヤーからリーグ戦17試合に出場するなど主力選手として長く札幌に貢献し、09年にはキャプテンも務めた。11年にFC東京、12年に徳島への期限付き移籍を経験。16年限りで札幌を契約満了となり、以降は熊本、琉球でプレーし、22年シーズン限りで現役を引退した。登録ポジションはMFで、主にボランチとしてプレーしたほか、トップ下や左サイドバックでの出場も経験。札幌には合計11シーズン在籍し、リーグ戦258試合に出場、19得点。J1・J2通算488試合出場31得点。

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