高校野球
2023/08/14 21:00

北海5番・関辰之助が九回サヨナラ打 2戦連続の逆転劇で16強進出【夏の甲子園】2回戦・浜松開誠館戦

九回1死二塁、北海・関(中央)がサヨナラ打を放ち、ガッツポーズを見せる(撮影・宮永春希)

■全国高校野球選手権第9日(8月14日、阪神甲子園球場)
▽2回戦 北海3-2浜松開誠館(静岡)

九回1死二塁 「真っすぐで勝負してくる、と思い切り振った」

 北海が2試合連続の逆転サヨナラ勝ちで7年ぶりの16強入りを果たした。1点ビハインドの八回1死二塁で、2試合連続途中出場の小保内貴堂左翼手(3年)が左前適時打を放って同点に追い付くと、最後は九回1死二塁から5番・関辰之助三塁手(3年)が左越えのサヨナラ打。これで南北海道勢春夏通算100勝に王手をかけた。北海は17日の第4試合で、神村学園(鹿児島)と対戦する。

高校生活で初めてのサヨナラ打

 同点で迎えた九回1死二塁。カウントは2-2。関は「真っすぐを続けてきたので、真っすぐで勝負してくる、と思い切り振った」。打球が左翼手の頭上を越えるのを確認すると、一塁ベース手前で右手を高く突き上げ、本塁付近で待ち構える仲間の輪に加わった。「めっちゃ気持ち良いです。ホッとしています。打った瞬間、抜けると思った。高校生活で初めて」と、興奮気味に決勝打を振り返った。
 

九回1死二塁、サヨナラ打を放った北海・関(背番号5)をチームメートが笑顔で迎える

 

幌村の負傷で5番に抜擢

 これまで打順は主に下位だった。それが明豊戦後の11日、5番・幌村魅影遊撃手(2年)が練習中に利き手の右手中指を負傷したことで翌12日にミーティングが行われ、平川敦監督(52)から「幌村は出れないだろうということで、何とか幌村を他の19人でしっかりカバーできるように」と話があり、主軸での出番が巡ってきた。

 守備では幌村に代わって谷川凌駕(2年)が遊撃で先発。長谷川駿太(2年)が左翼で公式戦初出場を果たした。打順も10日の1回戦から9人中6人を入れ替えた。投手陣は明豊戦同様、岡田彗斗(3年)、長内陽大(3年)、熊谷陽輝(3年)の3人で継投。総力戦で主軸の不在を補った。

4度の出塁で勝利に貢献 「次もこの流れで勝ちたい」

 関は5打席に立ってサヨナラ打を含む2安打1打点に2四球。この試合チーム最多タイの4度出塁し、平川監督の起用に結果で応えた。関は「後半勝負だと思って粘り強く戦えた。ギリギリの勝負でした。2試合連続のサヨナラ勝ちでチームは乗ってきている。次もこの流れで勝ちたい」と、中2日で迎える17日の神村学園戦を見据えた。
 

九回1死二塁、北海・関がサヨナラ打を放つ

 

小保内が1回戦に続き またも同点打

 常に先攻を許す苦しい試合展開だったが、サヨナラ劇の裏にはまたも小保内の存在があった。同点から1点勝ち越された直後の八回1死二塁。中前に抜ける同点打で試合を振り出しに戻した。1回戦の明豊戦でも4点ビハインドの七回に反撃の2点本塁打を放ち、タイブレークの延長十回にも同点打と存在感は日に日に増している。

「ヒーローは遅れてやってくる」

 途中出場は悔しさもあるが、発想を転換した。「練習してきた勝負強さを自分が発揮できたのが全て。それが良い形で回ってきた。1点ぐらいなら自分がいれば大丈夫」と胸を張る。続けて「試合前から『ヒーローは遅れてやってくる』とチームメートにも言っていた。もうスタメンは期待せず、それをモットーにやっていきます」。次の試合でも、マンガの主人公のように、勝負どころで名前が呼ばれるのをベンチで待つ。
 

八回1死二塁、北海・小保内が同点の中前適時打を放つ

 

秋冬の厳しい鍛錬でメンタル強化

 終盤に驚異の粘りを発揮して2試合連続逆転勝ち。昨秋の全道決勝は七回に先制するも、直後に追い付かれ、延長十回には失策で沈むなどもろさがあった。「秋、冬の練習を乗り越えたのが生きている。メンタルを鍛えられた。体育館の練習がかなりきつかった」と関。ボールを使わないメニューを全員で乗り越えることで、少しずつ粘り強さが身についていった。

南北海道勢の通算100勝に王手

 これで南北海道勢の甲子園春夏通算99勝とし、節目となる勝利まであと1勝となった。初勝利も1922年夏の北海中(現北海)だ。小保内は「やっぱ1勝目と100勝目っていう、大事な1勝がかかっている。数字は意識せずに、優勝だけ目指して、それが結果的に100勝になってくれればいい。次のまず1戦、しっかり戦いたい」。節目の勝利も通過点と捉え、頂点を目指して突き進む。

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