高校野球
2023/08/14 21:40

北海・平川監督〝勘〟ピューター冴え3投手の小刻み継投で翻弄【夏の甲子園】2回戦・浜松開誠館戦

小刻みな継投で勝利に貢献した(左から)岡田、長内、熊谷(撮影・小田岳史)

■全国高校野球選手権第9日(8月14日、阪神甲子園球場)
▽2回戦 北海3-2浜松開誠館(静岡)

岡田、長内、熊谷が三位一体

 北海の3投手が三位一体の継投で2試合連続のサヨナラ勝利に貢献した。平川敦監督(52)は先発右腕・岡田彗斗(3年)、左腕・長内陽大(3年)、右腕・熊谷陽輝(3年)の3枚を、相手打線を見ながら小刻みな継投でつないで勝利をたぐり寄せた。

勝利した1回戦後に涙を流していたエースを先発に

 1回戦の明豊戦では熊谷が先発。三回途中から長内→熊谷→岡田→熊谷とつないだ。この日の先発は岡田で始まり、五回途中から長内→岡田→熊谷→長内→熊谷の順。平川監督は先発起用を岡田と長内で迷った結果、「1試合を投げて、その雪辱というか、うまく調整もできたと思いますし、期するものもあったと思うので、岡田にかけて先発にしました」。明豊戦は3人目で登板し、2回⅓で6失点(自責5)。試合後は涙を流していたエースにリベンジの機会を与えた。

 その岡田はしっかりと指揮官の思いに応えた。一回から4イニング連続で先頭に安打を許したが、この日最速146キロの直球を武器に4回⅓を投げて8奪三振をマーク。七回にも投げたが失点は四回の1点だけに抑え、エースの面目躍如だ。
 

先発から4回⅓を投げたところで8奪三振、1失点と好投した北海のエース・岡田

 

熊谷は八回と九回に投げ1失点

 明豊戦では先発から計3度マウンドに上がった熊谷。この日は1-1の八回に一塁から救援登板し、⅔を投げ1失点。「途中から入るのは、気持ちの部分ですごい難しい。一塁にいる時からしっかり、気迫や気持ちを整理した状態でマウンドに上がると、明豊戦の時のように良い投球ができた。一塁にいるときも、マウンドにいるような気持ちでずっと立ってます」とスクランブル登板に備える。
 

九回1死、浜松開誠館・近藤(右)から三振を奪い、ガッツポーズを見せる北海・熊谷

 

平川監督「展開や相性などを感じながら、考えるというか、ある種、勘で」

 南北海道大会までは、これほどの小刻みな継投はなかった。平川監督は「予想はしていないが、そのときの展開や相性などを感じながら、考えるというか、ある種、勘でやっているところもある。それに選手が本当によく応えてくれた」と3人の投手陣をねぎらった。

今春に右肘を痛めた熊谷のケガの功名

 昨秋は、熊谷が絶対的なエースとして、道大会5試合中3試合で完投。しかし今春に右肘を痛めた影響で、岡田や長内の出番が必然的に増え、その責任感も芽生えた。タイプの違う3投手にメドが立ったおかげで、相手の出方を見ながら、細かい投手起用が可能になった、まさにケガの功名がなせる技だろう。

 今年のチームに絶対的なエースはいない。打撃でも2戦連続2桁安打はマークしたが長打は合計で3本のみ。「派手さはないですけど、辛抱して辛抱してという形で、3年間やってきたことをしっかりゲームで、野球で返してくれているのかな」と指揮官。一つ一つのプレーをコツコツ積み重ね、その先にある栄冠に一歩ずつ近づいていく。

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