プロ野球
2023/05/02 12:00

士別・中村勝監督、圧倒Vで「全国で戦っていけるチームを」 5月7日、北海道フロンティアリーグ開幕戦

投手陣に話をする中村勝監督(中央)(撮影・十島功)

監督兼投手兼GMの三刀流、開幕投手も

 圧倒して優勝する―。北海道フロンティアリーグ(HFL)が5月7日のKAMIKAWA・士別サムライブレイズVS石狩レッドフェニックス(士別市ふどう野球場)を皮切りに開幕する。昨年覇者の士別は今季から元日本ハムの中村勝(31)が新監督に就任し、GMと投手も兼務する。1日には開幕投手を務めることも発表された。異例の〝三刀流〟として挑戦する中村監督がシーズン前に意気込みを語った。

 4月19日の練習で、中村監督がマウンドに上がった。ライブBPに登板し、今年初めて打者と対峙した。空振り三振を奪うなど、順調な調整ぶり。「(ライブBP前の)ブルペンでバチバチに投げちゃったんで、ちょっとガス欠感があった」と苦笑いしたものの、最速143キロを計測し「ちょっと安心かな」と胸をなでおろした。

「人に教えるのは違った難しさがある」

 4月1日から全体練習がスタートし、指揮官としての一歩目を踏み出した。投手は中村監督、野手は小野真悟ヘッドコーチ(38)と、役割を分けて指導。「自分でやるのと、人に教えるのは違った難しさがある。すごく大変だなというのを身に染みて感じてます」。

 また、若い選手とのコミュニケーションも大事な要素となる。「情報が簡単に取れる時代。その情報が合っている、合っていないは別として、最初から否定しちゃったら、こっちの話も聞いてもらえなくなってしまう。まずは選手の話を聞いて理解することを意識してます」と信頼関係を構築することが重要だ。

GWに室蘭シャークス、JR北海道とOP戦

 元F戦士とのつながりも大きい。日本ハムでチームメートだった日本製鉄室蘭シャークスの瀬川隼郎投手コーチ(36)、JR北海道の立田将太投手(26)を通じて、ゴールデン・ウイークに両チームとオープン戦を組むことができた。「すごくいい力試しの機会。僕自身も久しぶりに会えるのは楽しみですね」と再会を心待ちにした。

 中村監督もシーズン前の現在はプロモーション活動にも積極的に参加。「今まではプレーヤーだけだったので、そういう点ではすごい(周囲の)思いを感じる。すごい事業」。開幕戦は1000人動員が目標。キッチンカーなども多く配置し、お祭り感のある雰囲気にする予定だ。「プラスアルファの準備がしっかり進められているので、ちょっと遊びに行こうと思ってほしい」。

 選手たちと同様に、士別で生活しながらシーズンを戦う。最寄りのコンビニまで車で15分ほど要するなど不便なこともあるが「みんなここにチャンスがあったりとか、ここに来て挑戦できることがあるから集まっている。僕自身も挑戦のために場所を活用している」と強い覚悟をにじませた。監督として、選手を見極めていく作業にも入っている。「(使う選手の)想像はできているんですけど、試合に入らないとまだ分からない。選択肢が多くて、いい悩み」と笑みを浮かべた。

グランドCSで火の国、高知に惨敗

 昨季はHFLで優勝を果たしたが、グランドチャンピオンシップで火の国(熊本)と高知に惨敗した。チームのレベルを向上させることが一つの大きな使命。チームスローガンでもある「圧倒」してのリーグ制覇を目指す。まずは自身が開幕のマウンドに立って勢いを付ける。「普通の優勝じゃ同じような結果になってしまう。(リーグは)圧倒して、全国で戦っていけるチームを作っていきたい。僕個人もいろんな初めての経験が出来ているので、失敗を恐れずにどんどんいろんな分野にチャレンジしていきたい」。NPB、豪州、メキシコの3カ国で培った経験を、日本最北のプロ野球チームに還元する。


■プロフィール 中村勝(なかむら・まさる) 1991年12年11日、埼玉・春日部市生まれ。2009年に春日部共栄高から投手としてドラフト1位で日本ハムに入団。19年まで在籍し、60試合に登板。通算15勝17敗、防御率4.07の成績を残した。退団後はオーストラリア、メキシコの海外リーグでプレー。2022年はオリックスの春季キャンプにテスト生で参加し、育成選手として入団。3年ぶりにNPB復帰を果たし7月に支配下登録、3試合に登板し0勝1敗、防御率8.53。シーズンオフに戦力外通告を受けた。185センチ、83キロ。右投げ右打ち。

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