アマ野球
2022/12/12 06:00

小樽商大・山保が独立L高知入りへ「このタイミングでしかチャレンジできない」

独立リーグ四国IL・高知に進む山保

月給10万円の生活も「楽しみです」

 野球で燃え尽きたい―。小樽商大の山保健太郎内野手(22)が独立リーグ四国IL(アイランドリーグ)・高知に進み、野球を続けていく。10月に行われたNPBのドラフト会議ではプロ志望届を提出したが、吉報は訪れなかった。しかし、高知から声が掛かり、胸の中で沸き上がっていた〝野球漬け〟の生活に飛び込んでいくことを決めた。

 悩むことはなかった。ドラフトで指名の掛からなかった山保は「ちょっと諦めついてなかった部分があった。だから、このタイミングでしかチャレンジできない」と高知入りを即断した。月給は10万円ほどで生活も厳しくなり「逃げ場がない」茨の道であることは百も承知。「今まではそこまで教えてもらってない。あまり下地がない状態なんで、楽しみです」と目を輝かせた。

 旭川明成高の特進コースから国立の小樽商大に進んだ山保。これまでは勉学にも重きを置く環境で、自ずと練習時間を確保できない時もあった。しかし残り1年となった大学3年冬、後悔のないよう自分を追い込むことを決めた。

野球中心の生活に切り替え飛躍「まだ伸びしろある」

 「何となくこのまま野球やめて就職してっていうのが(腑に落ちなかった)。大学も高校の時も野球部に入っていたけど、一回も突き詰めたことがなくて、もっと自分のレベルアップしないとなって思った時に、理論とちゃんとした練習方法を勉強した」

 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を駆使して情報を取捨選択。食生活もそれまでは思いのまま食事を取っていたが、栄養士の人と連絡を取りながら、献立を考えるなど、根本から意識を変え、野球中心の生活に切り替えた。

 すると、効果はすぐに表れた。大学3年時まで公式戦での本塁打はなかったが、最後のシーズンとなった今年は、春と秋のリーグ戦でそれぞれ3本ずつ放ち、飛躍的な成長を遂げた。「高校も(通算)33本打ってて、大学で落ちたイメージがあった。まだ伸びしろあるんじゃないかなって」と自身の可能性に手応えをつかむことができた。

弟・亮太の甲子園での活躍も刺激

 来春から国学院大に進学する弟・亮太(旭川大学高3年)の存在も大きい。今夏、亮太が出場した甲子園の試合を観戦した。「甲子園を見たことも大きな刺激になった。こういう大舞台でプレーしたいと思った」と、野球にのめり込むには十分すぎる景色を見ることができた。「弟の方が野球の知識はあるので、アップとかトレーニング法の話をいろいろ聞いています」

 現在は旭川の実家に戻り、練習に励んでいる。来月10日前後には高知入りする予定で、3月の卒業式も欠席する見込みだ。「もう3月下旬には開幕。(小樽に)戻るとなると、(周囲に)置いていかれちゃう」と強い覚悟を示した。目標は高知経由でのNPB入り。「1年でNPBの支配下契約を目指す」。195センチと魅力たっぷりの大型遊撃手が、人生を懸けたミッションに挑む。