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2023/04/26 20:30

【松木純】悼む 元道産子プロテニスプレーヤー・鈴木貴男氏から悲しい知らせ

記者時代に懇意にしてもらった父・勝彦氏が病で急逝

 4月20日の朝、出社途中で携帯電話が鳴った。テニスの元日本ナンバーワン選手で、現在はコーチや解説者などで活躍する鈴木貴男氏(46)からだった。「父(勝彦氏)が亡くなりました」。悲しい知らせだった。23日にお別れ会をするという連絡。病での急逝だったことを気丈な声で話していただいた。79歳だった。

 お父様には大変お世話になった。初めて貴男氏を取材したのは、彼が中学2年生の時。貴男氏の自宅がわが家と同じ区だったこともあり、そのころから勝彦氏に懇意にしていただいた。

 貴男氏は堀越高校卒業後にプロ入り。その後、海外を拠点に活動する時期もあり、近況なども勝彦氏から伺い、時には酒も酌み交わした。道新スポーツでは「トーナメント通信」と題して月1連載を10年以上続け、貴男氏の「今」を紙面で伝えた。また、自身の父の葬儀に参列していただいたことも忘れらない。

 2003年10月1日付で貴男氏の婚約報道をスクープ。この日はジャパンオープンの試合もあり、貴男氏が初戦快勝すると、試合後に松岡修造氏がセンターコートでファンに報告。大きな話題にもなった。これも勝彦氏を通じての情報で、貴男氏と妻となった敦子さんの了解をもらい、道新スポーツの終面カラーで展開した。全ては勝彦氏の気遣いがなければ実現できなかった報道だった。

亡き父は息子の活躍を後押しする最高の理解者で「最高のマネジャー」

 23日のお別れ会。会場には多くの弔問客が訪れ、現役時代にダブルスパートナーとして活躍した岩渕聡氏ら関係者からも多くの献花が届けられていた。これも、勝彦氏の人柄を物語っていた。また、斎場入り口には、貴男氏の双子の娘姉妹の「じいじ」に向けた愛のメッセージも写真とともに飾られ、涙を誘った。

 焼香で「ありがとうございました」と心で最後のお別れを告げ、貴男氏に挨拶した。父である勝彦氏は、息子の活躍を後押しする最高の理解者だった。私自身もそんな思いがあり「最高のマネジャーでもあったね」と伝えると、柔和な笑顔を見せてくれた。

 貴男氏は火葬場に向かう際、斎場で参列者に向けて最後に挨拶を行った。その時、それまで気丈に振る舞っていた貴男氏の表情がゆがみ、声が震えた。親子の今生の別れはつらく悲しい…。

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