高校野球
2023/03/25 19:30

【選抜甲子園】クラーク初戦敗退も2年コンビが躍動 山田&鈴木ともに3安打

共に3安打を放った山田(左)と鈴木(撮影・桜田史宏)

■第95回記念選抜高校野球大会7日目(25日、阪神甲子園球場)
▽2回戦 沖縄尚学3-1クラーク

 2年連続2度目のクラークは、1-3で沖縄尚学に敗れたが、八回に2年生コンビがチーム唯一の得点を演出した。2番・山田陽紫右翼手が先頭で出塁すると、24日の前日練習で左肩を脱臼した坂本劣陽左翼手(3年)に代わって、スタメンに抜擢された6番・鈴木凰介左翼手が1死満塁から一ゴロで1点を返し、ともに3安打と期待に応えた。

正左翼手負傷で「6番左翼」抜擢の鈴木が唯一の打点

 鈴木は試合前夜、負傷した坂本から「いつでも俺が出られるから自信持っていけ」と背中を押され、試合に臨んだ。八回の打席では、2ストライクと追い込まれてからの3球目スライダーを一、二塁間へ放ち、三走・山田が本塁生還。「ヒットが出なかった、やっぱり1点しか入んなかったので、あそこでもう1点取れるようなバッターになれるように頑張りたい」と悔しさを糧にさらなる成長を誓った。

 2022年11月の明治神宮大会では、中堅と三塁で出場も2打数無安打。「神宮大会は先輩たちに頼りっぱなしだった。今大会は2年生で盛り上げてこうと、山田や(高橋)歩希(いぶき)と話してました」と有言実行で先輩たちを後押し。七回の左翼守備では、左中間の大飛球をフェンスにぶつかりながら好捕した。

 美唄東中時代にプレーした岩見沢リトルシニアの監督は、佐々木啓司監督(67)の駒大岩見沢高時代の教え子。〝ヒグマ打線〟を作りあげた同高伝統の鉄バットで打撃を磨いてきた。「1年間で一番成長できたのが打撃」と胸を張る。

 同シニアの2学年先輩には、前チームの2枚看板の辻田旭飛投手(亜細亜大1年)が在籍。沖縄尚学戦で「9番二塁」で先発した高木馴平(3年)らも同シニアの先輩だ。高校の進路を決める際には「北海道で一番甲子園に近いのがクラーク記念国際だと思った。先輩が結構行ってて、その影響もあります」と迷わず決意。昨春の九州国際大付戦は携帯で応援。1年後、自らの足で憧れの甲子園の土を踏んだ。


コロナで甲子園に出られなかった兄の分も頑張った山田

 鈴木に負けじと山田も快音を連発した。一回の第1打席から2打席連続安打。八回には先頭で右前へ3安打目をマーク。「甲子園で打つのは、本当に幼い頃からの夢だったので、その夢が叶えられて嬉しかったです」と納得の表情を浮かべた。

 東京出身。兄の晴陽さん(東京駿河台大2年)は、2020年独自大会の北大会を制したクラークで2年生ながらメンバー入りした。「兄からもオレの分まで頑張ってって言われていた。(甲子園に)出られるのに出られない悔しい思いがあったと思うけど、そういう兄の分まで頑張りたい夢があって、全力で戦いました」と応援に駆けつけた兄の前で躍動した。

 下級生の突き上げはチームの選手層を厚くする。前チームでも「(新岡)歩輝さんや、麻原(草太)さんが活躍した時は、すごい勝率も高かった。やっぱ下の代が頑張んないといけないのは、入った時から思っていた。きょうは新2年が活躍できたので良かった。あと3回全部甲子園に出て今度は勝てるように、ここからの練習もしっかり頑張って、勝負強いバッティング、守備ができるように頑張りたい」。今夏の甲子園をかけた北北海道大会の準決勝と決勝は、日本ハムの本拠地、エスコンフィールドで行われる。〝初代〟王座へ、リスタートする。

あわせて読みたい