冬季スポーツ
2023/02/19 19:20

男子500でベテラン村上が3勝目「自分で目指すべきところを決めて、覚悟を決めた」スピードスケートW杯

ベテラン村上右磨(中央)が男子500メートルで優勝した(AP=共同)

 ■W杯【トマショフマゾウィエツキ(ポーランド)共同】

 スピードスケートのワールドカップ(W杯)最終戦第2日は18日、ポーランドのトマショフマゾウィエツキで行われ、男子500メートルで村上右磨(高堂建設)が34秒69で優勝した。今季2勝目、通算3勝目。北京冬季五輪銅メダルで2連勝が懸かった森重航(専大、別海上風連中出)は34秒84で4位だった。

 女子1500メートルで北京五輪銀メダルの高木美帆(日体大職、帯広南商業高出)は1分57秒59で3位。既に2季連続の種目別総合優勝を決めていた。佐藤綾乃(ANA、釧路北陽高出)は6位で、ラグネ・ビクルント(ノルウェー)が制した。

 爆発的なスタートから一気に押し切る。男子500メートルで村上が真骨頂を見せた。前週に第5戦を制した森重との最終組。ゴールで優勝を確認すると拳を握り、手を叩いた。「自分のレースをしようと思って、集中して挑めた」と胸を張った。

 腰高で3位だった第5戦の反省を生かし、「低く滑ることだけを意識しながらやった」。躍動感あふれる滑りで、最初の100メートルは全体1位の9秒45で森重に0秒28の差をつけた。バックストレートでもぴったりと相手の後ろにつき、前に出た最後の直線も粘った。

 W杯で昨季までわずか1勝だった30歳のベテランが、今季だけで2勝。種目別総合でも2位に入る大活躍の背景には、心の充実がある。今季は日本スケート連盟のナショナルチーム(NT)を抜け「自分で目指すべきところを決めて、覚悟を決めた」と言い切る。

 毎日の練習内容を自ら考え、年明けは1人で沖縄へ自転車合宿にも行った。NTで与えられたものをこなすことが多かった男に自主性が生まれ、精神的にたくましくなった。次は今季の総決算となる3月の世界選手権(ヘーレンフェイン=オランダ)。「いいスケーティングをして、優勝したい」と強い決意で臨む。


森重航は冷静に敗因分析 〇…昨年の北京冬季五輪銅メダルの森重は男子500メートルで2連勝を狙ったが、最終組で同走の村上の鋭い出足に屈した。「不安に思っていた(最初の)100メートルで思いっ切り差をつけられてしまった。そこだけの差」と冷静に敗因を分析した。種目別総合で3位に入りながら「昨季に比べて安定感がちょっとない」と満足していない。最初の100メートルを今後の課題に挙げ、3月の世界選手権(ヘーレンフェイン=オランダ)へ「仕上げていきたい」と気合を入れ直した。


◆男子500メートル9位の新濱立也(高崎健康福祉大職、釧路商業高出) 「 第1コーナーで不安定さが出て、バックストレートで伸ばせなかったところが残念。自分の今のベストは出し切れた」


高木美帆「改善できていない」 〇…高木はもどかしいレースが続いている。女子1500メートルは最初の4戦で3勝したが、この2戦はいずれも3位止まり。伸びが足りない滑りの見直しが急務だが「課題が分かっていても改善できていないのが現状」と表情は険しい。日本スケート連盟のナショナルチームを離れて個別活動で強化する今季は、やりがいと難しさの両方を感じる日々だ。「今シーズン、いいレースができていないことが多い」と自覚するエース。終盤戦に真価が問われている。


◆女子1500メートル6位の佐藤綾乃 「ちょっと悔いが残ってしまった。一歩でも自分の理想の滑りに近づけられるように、(3月の世界選手権へ向け)頑張って準備していきたい」

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