アマスポーツ
2022/12/28 20:15

札幌山の手 11年ぶり3度目V逃すも森岡が3冠達成 ウインターカップ女子決勝

敗れはしたものの、札幌山の手の森岡(中央)は決勝でも存在感を見せつけた(撮影・富田茂樹)

■ウインターカップ全国高校バスケットボール選手権 第6日(28日、東京体育館)
▽決勝 札幌山の手 81-99京都精華学園

インターハイ女王に完敗も 最後まで〝らしさ〟貫いた

 11年ぶり3度目の決勝に挑んだ札幌山の手は81―99でインターハイ女王の京都精華学園に完敗した。序盤から、相手の長身留学生に苦しめられ、リバウンド争いで主導権を握られた。大差をつけられながらも、U18日本代表PG森岡ほのか(3年)がチーム最多の31得点をマークして優秀選手賞と部門別3冠を受賞した。森岡は卒業後、Wリーグの日立ハイテククーガーズ入りが決まっている。憧れの東京五輪日本代表PG町田瑠唯(29)の背中を追いかけ、次なるステージでの成長を誓った。

 最後まで札幌山の手らしさを貫いた。試合残り2.8秒。タイムアウトを取った上島正光コーチ(79)は「とにかくノーマークになったら打て」と選手へ指示した。自陣エンドラインから、郷六→谷口→野原とつなぎ、最後はゴール付近に上がってきた森岡へ。新チームの中心として期待される谷口は「このチームを引っ張ってきてくれたのはホノさん。最後はやっぱホノさんに決めてほしかった」。エースは「逆転は、ほぼ難しい状態だったんですけど、最後まで諦めない姿を後輩とかに見せられたらと。ここまでの成果をあと2秒ぐらい、もうちょっと頑張ろうと思った」。高校ラストショットは決まらなかった。試合終了直後には涙を流した。だが、最後はすっきりとした笑顔で高校バスケに別れを告げた。

頼れるキャプテン森岡 堂々の3冠達成 

 2年前の自分を超えた。森岡は1年時の総体後、同校初の1年生主将に指名された。初めてのウインターカップ(2020年)では、3×3のU23日本代表C舘山萌菜(白鷗大2年)との2枚看板で躍動。4試合で計121得点をマークし、9年ぶりの4強入りに貢献した。
 最上級生になった今年。U18日本代表入りするなどし、チームを離れることがあったが、トレードマークの笑顔を絶やさず、強いキャプテンシーでチームをけん引してきた。今大会は、1回戦で3点シュートを9本成功させるなど、6試合で計165点。初の得点女王に輝いた(集計は2006年以降)。さらにアシスト38本、3点シュート成功数20本で、主要3部門を制覇。敗れてなお、大きな存在感を全国のバスケファンの脳裏に刻みこんだ。

憧れのOG町田を追う 上島コーチ「得点力は森岡の方がある」 

 追いかける大きな背中が、あくなき向上心を支えている。OGで2010年に高校3冠を達成し、昨年の東京五輪で銀メダルを獲得した町田瑠唯(29、富士通)に心から憧れている。今年9月には上島コーチが、WNBAのワシントン・ミスティクス挑戦から帰国した町田と再会。その際にプレゼントされたユニホームは部室に大切に飾ってあるという。チーム事情でセンターもスコアラーもこなすオールラウンダーだった森岡は「ポイントガードができるのが私の武器。町田瑠唯選手みたいな早い展開に持ち込むオフェンスだったり、スリーポイントを打たせてあげるアシストだったりができたらいい」。プロでは町田と同じくPGで勝負する決意だ。

 町田を育てた名伯楽も、森岡の潜在能力に期待を寄せる一人だ。試合後の会見で「視野の広さは変わらない。得点力は森岡の方が町田よりある」と評価した。さらに「身長もあるし、今、彼女に求められるのはスピードかな。それさえつけば、かなり良いガードに育っていってくれるんじゃないかな」と目を細める。森岡の身長は、町田より12センチ高い174センチ。WリーグのPGでも最長タイとなる高さだ。

さらなる高みへ 「この経験を無駄にしたくはない」

 Wリーグには来年1月6日からアーリーエントリーでの出場が可能となる。同21、22日に行われるトヨタ自動車戦(札幌・北海きたえーる)での凱旋出場が期待される。「この経験を無駄にしたくはない。みんなで頑張ってきたこの成果を、しっかり自分の成長につなげて、きょうみたいに楽しく戦いたいなって思ってます」。長く険しい道が待ち受けるこれからの競技人生。トレードマークの笑顔を絶やさず、森岡らしく自分のペースで歩みを進めていく。

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