冬季スポーツ
2022/04/12 23:40

スキージャンプ小林陵侑 将来はW杯通算最多勝、個人総合V「4」更新も視野

北海道庁で小玉副知事(右)から栄誉賞を受け取り、金メダルをアピールする小林(撮影・中川明紀)

今季は「だいたい100点」 道が「栄誉賞」贈呈

 北京五輪ジャンプ男子ノーマルヒルで金、ラージヒルで銀を獲得し、さらにW杯で2度目の個人総合優勝に輝いた小林陵侑(25、土屋ホーム)が12日、同社で報告会を行い、その後に札幌市役所と道庁を表敬訪問。道からは「栄誉賞」を贈られた。今季の出来を「だいたい100点」と評価。今後の目標は、W杯通算勝利数「53」の世界記録更新、さらに個人総合優勝最多「4」の更新も挑戦すると誓った。

 W杯初勝利から小林はわずか4シーズンで27勝を挙げた。最多勝の世界記録更新には、「半分まできているので、あまり考えすぎずに、また1勝ずつ積み重ねていければ」と、30歳ぐらいまでにオーストリアのグレゴア・シュリーレンツァウアー(32)の持つ53勝超えを視野に入れる。さらに、個人総合優勝2度は現在4位タイ。最多の4度は、フィンランドの〝鳥人〟マッチ・ニッカネン(故人)とポーランドのアダム・マリシュ(44)が達成している。小林は「挑戦するには良い目標」と、ジャンプ界に歴史を刻むレジェンドたちの背中を追う。

 3年前、初めてのW杯総合優勝の時は、「栄誉をたたえて」の受賞だった。今回、初めて「栄誉賞」を受賞した小林は「普段の活動を頑張ってきたので、認めていただいてうれしいです」とはにかんだ。土屋ホーム本社で行われたシーズン報告会では、今季を「だいたい100点」と振り返った。ただ、金、銀メダルを手にした五輪後、「調子が上がらず、それが気持ちからくる部分か、疲れからくる部分なのか。ちょっとモチベーションが落ちていた」と不調に陥った。

 そんなまな弟子の状態に真っ先に気づいたのは葛西紀明監督(49)。「目標がなさそうだったので、W杯最多勝を目指したり、(自分で)モチベーションを上げた方がいいんじゃない?」と助言。最近では「少し顔つきが変わってきた」とうなずいた。小林も「これまでやってこれたのは、このチームだからこそ。この師匠、監督だったからこそ、こういう道のりで来られた」と感謝する。

 コロナ禍で今年のW杯札幌大会が中止となり、海外遠征からは約半年ぶりに帰国。その後は、大好きなすしを食べに行ったり、葛西監督から約26万円の高級ワインを振る舞われたりと、つかの間のオフを満喫している。野球好きで、10日に札幌ドームで行われた日本ハム対楽天戦では3年ぶり2度目の始球式を務めた。さらに同日、同郷の岩手県出身でロッテの佐々木朗希投手(20)が完全試合を達成し、「岩手県出身じゃなくても、完全、すごい」と興奮気味。自身も「頑張ります」と刺激になった様子で、今後、誰も寄せ付けないビッグジャンプでの〝完全試合〟が飛び出すかもしれない。

 5月中旬にはチーム恒例の宮古島合宿へ出発し、また新たなシーズンへと準備を進める。現時点で世界最強の25歳が、さらなる偉業を目指して進化の道を歩む。

葛西「4年後、8年後も一緒にメダル獲りたい」

 レジェンド葛西は現役を続行し、4年後の五輪出場をあらためて誓った。北京五輪に出られず、五輪は8大会連続出場で記録は途切れたが、「今季(国内で)1勝して少しずつ調子も上がってきている。4年後、8年後、(小林と)一緒にメダルを獲りたい。チーム内で刺激し合っていきたい」と意気込んだ。小林の活躍には「五輪のメダルは何個あってもいいもの。最終的には国民栄誉賞」と期待した。

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