Vリーグ
2022/04/05 23:20

《ヴォレアスV1昇格へのキーマン①》越川 現役ラス闘 魂込める

今季で引退するOH越川優(37)

優勝を決めた3月27日のシーズン最終戦で頼もしい姿を見せた越川。入れ替え戦も最後の勇姿を後輩に示し、V1昇格に導く

 V2男子で道内クラブ初の優勝を果たしたヴォレアス北海道が、9、10日に神奈川・小田原アリーナで行われるVC長野(V1最下位)との入れ替え戦に臨む。2020年の入れ替え戦はコロナ禍で中止。昨季は1勝1敗ながらポイント差で涙をのんだ。3年越しの挑戦となる大一番へ、V1昇格の鍵を握るキーマン3人に意気込みを聞いた。第1回は、今季限りで引退するアウトサイドヒッター(OH)越川優(37)。競技人生の最終戦に気合をみなぎらせた。

生きざまを若手に伝承

 いよいよ現役生活最後の戦いだ。「ある意味特別な試合ですけど、やれることなんて限られているし、できることは今以上の事はない」と、普段通りを強調。全員が100%の力を結集することが勝利への最短距離であり、格上を破ってV1に昇格する必須条件だと語った。

 チーム最年長、37歳のベテランは昨年12月に引退を決意した。3月27日のセレモニーでは「自分のイメージするプレーが出来なくなってきた」とユニホームを脱ぐ理由を語ったが、代名詞でもある強烈なジャンプサーブはいまなお健在だ。当初は選手ではなくスタッフとして加入を打診したが、最終的に選手での加入が決まった。北海道で過ごした2シーズンを振り返り、「選手をやらせてもらったからこそ、こうやって優勝もありましたし、V1昇格を目指せる。自分のバレー人生の最後に結果を残せて感謝しています」と、思い残すことなくラストマッチに全力を傾ける。

 越川の加入はチームにとってただの補強ではない。2002年、史上最年少の17歳でパンパシフィック大会に初選出され優勝。08年夏季北京五輪、2度の世界選手権、イタリアセリエA挑戦。Vリーグでは3度の日本一、2度のMVPと、その功績は枚挙にいとまがない。望んでも経験することが容易ではない貴重なキャリアは、チームに取って何にも代え難い財産だ。今季はコーチも兼任。「僕が何かを伝えるというより、エド(監督)が言ったことに対しての理解度を高めるためアドバイスをするだけ」。コート上で見本を示すことが、若手にとって何よりのお手本だという。

 チーム15人中、プロ契約は9人とまだまだ発展途上。「バレーボールで飯を食っていく。そういう環境がここにはある。バレーボール一本で食べていくのが第一の目標。それをしていく中で、V1であったり、日本代表、海外にも目がいく」。自らが歩んできた道を後輩達にも追いかけてもらいたい。その生き様を若手に伝承することこそが、越川からチームへの最大の置き土産となるはずだ。

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