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2026/09/20 07:00 NEW

【額縁秘聞】~知られざる一面~vol.01 画家・堺真皐【無料記事】

展示してある作品の前に立つ画家・堺真皐=撮影・小田岳史

アーティストの素顔を深掘り

 道新スポーツデジタルでは「額縁秘聞」(がくぶちひぶん)と題し、北海道や全国で活動するアーティストを紹介する不定期連載をスタートする。札幌中央区のカフェギャラリー「TO OV(ト・オン)」で展示会を行うアーティストを中心に紹介し、あまり知られていない一面や、日頃どのような発見をして、どのように制作に繋げているのか、その創作活動の一端を紐解き、人となりも深掘りしていく。また、最後に人生で最も影響を受けた「心の中の三選」として、書籍や作品、起きた出来事などを取り上げる。第1回となるvol.01は、札幌を拠点に活動する画家の堺真皐(しんいち)だ。


TO OV cafe/gallery

■所在地 〒064-0809 北海道札幌市中央区南9条西3丁目2-1 マジソンハイツ 1階
     (地下鉄南北線・中島公園駅より徒歩1.5分)

■営業時間 日・火・水・木 10:30~19:30
      金・土     10:30~20:30
      ※月曜定休日

■問い合わせ 011-299-6380


堺真皐個展「Landscape of Echoes」

■開催期間 9月15日(火)~9月27日(日)

普段は見過ごしてしまいがちな見慣れた景観の中に溶け込む自然の営み

「Landscape of Echoes」の展示

 

■プロフィール 堺 真皐(さかい・しんいち) 1999年生まれ、札幌市出身。制作には油絵を用い、「誰もが見ていたはずなのに、誰も見たことのない風景」を創作テーマに据えて札幌市内で活動する。


個展開催のきっかけ

 「以前、俳優・アーティストの柴田智之さんが企画した〝惑星エンガエン展〟というグループ展に参加したとき、会場がト・オン・カフェでした。そのときから素敵な空間だなぁ…と思っており。昨年、自分から『展示をさせてください』と相談して実現しました」

アート作品への入り口

 「もともと絵は趣味程度でした。美術の道に進もうと思ったのは、高校生の頃です。その頃はマネとかモネとかも知らず、なんとかゴッホは知っているくらいで(笑)。ある日、親にスマートフォンを買ってもらい、画像検索をして楽しんでいたところ、ダリの〝燃えるキリン〟という絵が目にとまりました。この絵はなぜこのタイトルなのだ? なぜこの絵を描いたのか? どう描かれた? と、頭の中に沢山の発見と疑問がフツフツと湧きました。その興奮が冷めやらぬまま、翌日に高校の美術部に入りました」

展示作品(左から)「公衆電話」「木漏れ日」「4~5人」

 

アーティスト誕生の道のり

 「美術部に入ってみると、最初はずっと美術史や画集を読んでいました。各々の部員の活動はけっこう自由で、部活の縛りみたいなのはあまりなく、分からないことがあれば質問もできました。絵を自由に描いていい場所、絵のことをゆっくり考えていい場所だったので、僕には合っている環境でした。高校在学中は絵のコンペなどにも出したことがあるのですが、卒業してからは就職をしたので、僕にとって絵の存在は少し変化しました。絵を描くということが、思考であったり、論理であったり、ある種、精神統一に近いものになりました。その頃から、自分の描いた絵を世に出したいという願望も芽生えましたね」

作品を展示すること

 「もともと人に絵を見せるということに最初は興味なかったです。ただ、同世代の作家の活躍を目にするようになり、展示を通して他の作家や鑑賞者との交流もあるんだなぁ。展示の仕方によって絵の見え方も変わる、ある種の実験欲求を満たす感覚もある。これは面白い! と思い、創作活動へのギアが上がりました。制作には絵のサイズは関係なく、筆が乗ったときは1日、2日で完成するときもありますが、時間をかけて数カ月かかるときもあります。日頃の思考整理には散歩やお風呂が僕には合っています。全く絵と関係ないことでも、脳内が整うと、点と点のつながりを見いだして線となり、新たな絵へのひらめきになることもありますね」

展示作品(左から)「果樹」「果実」「葉叢:壁」の前に立つ堺真皐

 

これから思い描く目標と活動

 「キャンバスの50号が僕が今まで描いた最大のサイズで、それより大きい号数に描いてみたいです。そして良い絵を描いて、良い空間を作って、自分自身のルーティンや感覚をブラッシュアップしたいです。見に来てくださる皆さんの記憶に残るよう、脳にノックをできるようにしたい。僕の絵を見る人が、自身の内側で何か彷彿させる、想起させる、浮かび上がらせてくれる。そう思わせられることを目標としたいです」


<心の中の三選>

現代世界の美術(ルオー)
 「これは就職して初任給で買った画集です。以前、〝ブリヂストン美術館展〟に行ったときにルオーの〝郊外のキリスト〟という絵がありまして、衝撃を受けました。僕には展示の中で一番、光輝いて見えて。でも決してテンションが上がるような明るい絵ではなく、陰と陽の印象で言うと陰の絵です。本当に好きで、会期中は数回ほど見に行って、初回は約2時間も見入ってしまい、館内スタッフに心配されちゃいました」

現代世界の美術(ルオー)を紹介する堺真皐

 

・モランディ画集
 「この画集には、8:2の比率で発見と共感がありました。『こういう画家がいるんだ、こういう描き方をしていいんだ』という発見と、『僕と似た考え方をしている人がいるんだな』という共感です。この画集を読んでから物の配置や構図をより考えられるようになって、隣で話を聞いてくれるような感じ。例えるなら一人で飲みに行って初対面の方と楽しく意気投合したみたいな(笑)。作品からも影響を受けていて、絵は薄塗りなのに存在感がありまして、僕の作品でも輪郭線をぼかして描いてみたり、新しい試みができました」

モランディ画集(左)、現代世界の美術(右上)、十二支考(右下)

 

・十二支考(南方熊楠)
 「この本は十二支にまつわる神話的側面や生物的側面、言語学などが、それらと密接に絡み合ったり、跳ねたり、沈んだりと縦横無尽に理論が語られています。そういう自由さが読んでいて楽しくて、感情の発火剤にもなりました。僕の活動は、『真面目に進めていかなければ。道を踏み外してはいけない』と思っていたところもあったのですが、この本を読んでいると道を踏み外すどころか、飛ぶ、潜る、掘る…、何をしてもいいのでは? と、影響と感銘を受けました」

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