山県秀 どん底の試合を乗り越え、つかんだ開幕1軍切符 その裏にあった支えてくれた人たちの存在「母と姉ですね」
打撃練習の合間に笑顔を見せる山県=撮影・松本奈央
苦しんだ分だけさらに成長
日本ハムの山県秀(23)が、プロ2年目で自身初の開幕1軍スタートを決めた。
華麗な守備が持ち味の背番号54は、オープン戦で打率.167と苦しんだ。「どん底。何もうまくいかない。1個も自分らしいプレーができなかった」という18日のDeNA戦(エスコン)を乗り越え、また一つ成長してシーズン開幕を迎える。
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オープン戦最終戦となった22日のヤクルト戦(エスコン)。二回無死一、二塁でバントを成功させた山県は、心の底からホッとしていた。「ちょうど横尾(打撃)コーチと話していて、バントだなって話もあったので。ショートの動きも見えちゃって、いろいろわちゃわちゃしたことはあったんですけど、何がなんでもっていう気持ちで1個決まったのは良かったかなって感じです」
22日のヤクルト戦、二回無死一、二塁で犠打を決めた山県
攻守で精彩を欠いた一戦
18日の試合で、同じシチュエーションがあった。五回無死一、二塁の場面で、今季初めて実戦でバントのサインが出たが、失敗。その後、気持ちの切り替えができず、らしくないプレーが続いた。八回にはグラブをはじいて遊撃内野安打となり「自分の中ではエラーです」と反省。とことん落ち込んだが、励ましてくれる人たちがいた。
心に染みた数々の声 「ボスもそうですし」
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「自分の中でこれが一番下の日だなって。いい切り替えをさせてもらったというか、いろんな人に声をかけてもらって。ボス(新庄監督)もそうですし、(内野守備走塁コーチの)谷内さん。結構マイナスな方に気持ちが行っていたので、谷内さんにいろいろプラスの方向に持っていけるように。あと、母と姉ですね」
谷内コーチとは、その日の試合前にちょうどこんな話をしていた。「まだ2年目ですけど、周りの期待度とか注目度に自分の実力が追い付いていない、その劣等感というか。背伸びして、その期待とか注目に対して野球をしようとすると、自分を見失う。ファイターズは良くも悪くもすごく注目されるじゃないですか。その注目に対して、自分のやっていることを見失わないように。今、自分が何をできるか考えながらと、谷内コーチと話した日にあのプレーだった。本当、谷内コーチに言われた通りだなって」
新庄監督(左)に声をかけられ、笑顔を見せる山県
心強い〝メンタルコーチ〟の存在
毎日のように連絡を取り合い、様子を気にかけてくれる母は、そんな息子の変化にすぐ気付いてくれた。翌19日、「電話できる?」とメッセージが届いた。「電話は言葉を選べない。LINEの方がいいな」と返信すると「肩に力入っていて、顔が引きつっていて、野球楽しそうじゃないよ」と指摘された。「自分も感じていたんですよ。弱音じゃないですけど、こういうふうになっているってメンタルの状態を話して、そのメンタル状況をお母さんがお姉ちゃんに言ってくれたんだと思います」
その後「野球のことを話すのは初めて」という姉から、LINEで連絡が来た。生後半年のおいっ子を例に出し「おいっ子は今までできていたものが急にできなくなって、2カ月できなかったのが、急にまたできるようになったらしいんですよ。うつぶせのとか。人ってできない期間に成長するんだって話をお姉ちゃんにされて。できないことがないと成長しない。お姉ちゃんに言われて、自分はなんのために野球やっているのって話をもう一回、あらためて考えさせられた。メンタルコーチです(笑)」。その言葉がグッと心に刺さった。
母と姉の気遣いに「家族パワーです」と感謝。「そこで全部自分の中で出し切って、次の日(20日)からパッと切り替えられた。次の日、練習で谷内さんに、きょうの練習良かったねと言われた。悔しいくらい(気持ちが)いろいろバレますね(笑)。いいところももちろん、自分の悪いところも見てくれる。自分の場合は、自分でマイナスに持っていく。全然周りは気にしていないのに、自分が一番気にしてるみたいなことが結構、多いので。もともとネガティブ。一回、あの日に(悪いものは)バッと出たと今は思い込んでいます」
居残りでバント練習をする山県(右)
さあ準備万端!
気持ちが前向きになって迎えたヤクルト3連戦は結果も出た。「3連戦は技術、体は置いておいて、いいメンタルだったので、そこは良かったかなと思います」。21、22日と先発起用され、2試合連続安打をマーク。谷内コーチとは、こんなやりとりもあった。「おととい(21日)のヒットの時は一塁に着く前に笑っていたんですよ。それを指摘されたので、きのうのライト前はキリッとした顔で行って、(一塁ベースに)着いてから笑い始めました。谷内さんに、きょう顔良かったねと言われました」
試練を乗り切って、開幕1軍切符をつかんだ。「ようやくスタートラインに立てた気がしている。もちろん楽しみとか不安もありますけど、今はずっとソワソワしている感じなので。プロに入る時は、こんな経験させていただけると思っていなかった。オープン戦で結果が出なくて、また一個火がついた。自分の中でいい切り替えの期間だったと思うので、開幕からいいスタートを切れるように準備していきます」。周囲の人たちに支えられ、山県に笑顔が戻っていた。
22日のヤクルト戦、四回2死一塁で右前打を放った山県(左)と谷内コーチ
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