《元赤黒戦士の現在地・岡田佑樹前編》プロデビューの地でカフェを営む右サイドのスペシャリスト
引退後、こだわりの詰まったカフェを営む岡田佑樹さん=撮影・小田岳史
地元ではなく札幌で開店したワケも
かつて北海道コンサドーレ札幌で活躍したOBの現在と過去に迫る『元赤黒戦士の現在地』。今回は2003年から07年まで5年間在籍し、右サイドのスペシャリストとしてファン・サポーターを沸かせた岡田佑樹さん(42)を紹介する。前編は、プロデビューの地でカフェを営んでいるセカンドキャリアについて話を聞いた。(以下、敬称略)
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JR琴似駅から歩いて5分ほど、桑園・発寒通に面したマンションの1階にある『C2cafe』(シーツーカフェ、札幌市西区琴似1条2丁目6-1)。店内に入ると、引退してから長い月日が流れたにもかかわらず、現役当時とほぼ変わらない姿の岡田が出迎えてくれた。
「サッカーが好きでやっていて、楽しかったので。引退してから、そのときより楽しくない人生は嫌だなと思って、同じぐらい好きなことを仕事にして、楽しんでやっていきたいなと。それがカフェであったり、食事を作ること、お酒を提供することであったり、ということになって。サッカーのときと同じぐらい、負けないぐらい、楽しく今後も生きていきたいなと」。そう語るカフェ経営をスタートさせて、今年で12年が経過しようとしている。

専門店に負けないパスタ、コーヒー、洋酒を
岡田の思いは、自家焙煎のコーヒーや自ら調理するパスタなど、提供されている数々のメニューにも色濃く反映されている。「イタリアンだったらイタリアン専門店の方がおいしくて、コーヒーもコーヒー専門店の方がおいしくて、みたいなのが普通だと思うんですけれど、そこに負けないぐらいのを。イタリアンに負けないようなパスタを作って、コーヒー専門店に負けないようなコーヒーを出して、バーに負けないぐらいのお酒を置いて、みたいなカフェをやってる感じですね」。
同店は23年に西区山の手から琴似に移転した。「前は純粋なカフェがメインだったんですけど、(移転した)今はお酒も出していて。夜カフェとしても使ってくれているし、昼間も使ってくれているし。逆にいろいろやりすぎていて、何が本職なんだろうと(笑)。僕の好きなことをやっている感じですね」。移転を機に、営業時間を深夜12時まで延長。カウンターの背後にある棚には、自らこだわって集めたウイスキーのボトルが数多く並んでいる。

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当時JFLの藤枝で引退した際の心境は…
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藤枝(当時JFL)でプレーした13年シーズンをもって、11年間のプロ生活にピリオドを打った。30歳となった当時に抱いていた心境は複雑だった。「引退するときもまだまだ楽しくて、まだ伸びると思っていて」と思う一方、「早く引退したい気持ちもあって」。相反する思いを胸に抱えながら「言っても大して成功はしてこなかったので、このまま続けてもいっぱい稼げるわけでもないし。あとは30(歳)とかでいきなりフリーターになるじゃないですか。そこの焦りはあったかな。別にカフェって、いつ始めてもいいと思うんですけど、そのときは早く次の仕事のスタートに立ちたいと。サッカー(を続けたい)という気持ちもあったけれど、次のことをやりたい気持ちもあって」

コーヒー店で焙煎技術を学ぶなど準備を重ね
選手時代からカフェ巡りが趣味だった。セカンドキャリアへの意識が次第に大きくなる中で、水戸時代には時間が許せば妻が営むカフェの厨房に立つこともあった。そして現役生活最後の1年となった藤枝時代には、地元のコーヒー店から焙煎技術を教わるなど、自身が営むカフェを開くための学びを蓄積させていった。
そして14年、ついにC2cafeをオープンさせた。出店地として選んだのは、プロとしての第一歩を踏み出した札幌だった。「純粋に札幌の街はすごく好きですね。最終的に地元かこちらか迷ったんですけど、札幌に住んで(カフェを)やりたいなと。程良く都会であったり、雪が結構好きなので」と、決断の理由を語る。
現役時代から人気選手だったこともあり、オープン時にはファン・サポーターの間で大きな話題になった。「最初はサポーターの人が結構来てくれて。当時から来てくれている人も何割かいますね」。一方、現役を退いてから時間が経過するにつれて「サッカー選手だって知っているお客さんも減ってきたと思いますね」。長く営業を続けてきて、純粋に店の味や雰囲気を好んで来店する人も多くなってきているそう。

オリジナルのラテアートを丁寧に手作業で施す岡田さん
元サッカー選手を感じさせないのはナゼ?
店内を見回しても、経営者が元プロサッカー選手だと気づかされる要素は、全くと言っていいほどない。「サッカーに頼るんだったら、スポーツバーみたいにしたり、もっとユニホームを飾ったりした方が、もちろんサポーターが集まる場所になるのかなと思うんですけど、あまり頼らずに自分の力でやってみたかったのもあるし。(サッカーは)本当にやることしか興味がないので、今のコンサどう?みたいなことを言われても、よく分からないけど、みたいな感じになってしまうので(苦笑)。コーヒーの話とかウイスキーの話をする人とは、僕めっちゃ喋ります(笑)」

札幌OBの誇り忘れず「名前を汚さないように」
とはいえ、プロキャリアをスタートさせたチームのホームタウンで生活を営んでいることもあって、札幌のOBという意識は今でも自身の中に強く生きている。「そういう肩書きもあるので、コンサドーレの名前を汚さないように気をつけて、下手な店をやっていたくないなと思いますね。ちゃんとこの人、真面目にやっているな、良い店を作っているな、と思われたいですね」

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今後の展望については「楽しくやる感じかな。もちろんね、(店を)やっている以上、儲けなければいけないとは思うんですけど、あまりそこを第一にせずに、楽しく長く続けていきたいなと思いますね。良い店にしたいなと思います」と語る岡田。後編では札幌でプレーした5年間を中心に、プロサッカー選手時代を振り返っていく。
■プロフィール 岡田 佑樹(おかだ・ゆうき) 1983年10月4日生まれ、静岡県出身。藤枝東高卒業後、東海1部に所属していた中央防犯藤枝を経て、2003年に札幌入り。同6月14日湘南戦(札幌厚別)で後半28分から途中出場しプロデビュー。同7月2日大宮戦(札幌ドーム)の後半3分に初ゴールをマークするなど、リーグ戦16試合1得点の成績でプロ1年目を終える。翌04年からは背番号2を背負い、同年は26試合出場、翌05年には38試合2得点と、右ウイングバックや右サイドバックの位置でチームを支えた。07年シーズン終了後に札幌を退団し、08年からは当時JFLの栃木SCに加入。主力としてチームのJ2昇格に貢献する。11年から当時J2の水戸、そして13年は当時JFLの藤枝でプレーし、同年限りで現役を引退。14年から札幌市内で『C2cafe』を経営している。札幌での5年間のリーグ戦通算成績は80試合3得点。Jリーグ通算成績は173試合7得点、JFL通算37試合出場。現役時代のポジションはMF、DF。