【一問一答】福谷浩司 日本ハムで感じた中日との「文化の違い」とは
契約更改を終え、会見する福谷=撮影・松本奈央
プロ13年目で初めて味わった感覚とは
日本ハムの福谷浩司投手(34)が28日、エスコンフィールドで契約更改交渉を行い、2000万円増の年俸4500万円でサインした(金額は推定)。一問一答は以下の通り。
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―複数年契約だが、サインは
「しました」
―球団からどのような話があったか
「まずこの1年どうでしたか、ということを聞いていただいて、シンプルに優勝できなかったこと、日本一になれなかったことが、自分の結果以上に悔しいです、とお伝えしました。後半はファームにいたんですけど、その時の取り組みだったり、上を向こうとする姿勢を球団は評価しているし、素晴らしいものがあると聞いている、と言っていただきました」
―どのような取り組みが評価されたのか
「後半、6月以降はファームでの暮らしが続いて、CS(クライマックスシリーズ)も(メンバーに)入ることができなかったんですけど、2軍の施設でアナリストの方と連携して、自分は何ができるか、やっていくか、チームと協力して一丸となってやっている。しかも、立場的にも腐りたくなる時期もあったかもしれないけれど、それをプラスに捉えてやってくれているところを評価した、という話でした」
―ファイターズでの1年目はどんなシーズンだったか
「優勝できなかったこと、これが全てじゃないかなと思います。来季は優勝して日本一になる、それしか考えていないです」

―1軍でのピッチングはどう振り返るか
「もちろん良かったところもありますし、最終的には打たれてしまって2軍に落ちてしまったわけですが、選手としてまだまだ足りない部分がある。ファイターズというチームで1軍でリリーフとしては勝ちパターンにどうやって入っていくか、何が足りないか、何が得意か。そういったことをドラゴンズにいた時とは違う目線で見られたのはポジティブなことかなと思います」
―印象深いシーンは
「1軍で言うと、オリックス戦で打球を当てながら最後に投げた、というところをYouTubeなどで取り上げていただいて、すごく反響があった。そういった反響はここ何年かなかったので個人的にもビックリしました。注目いていただいている中で投げていることを久しぶりに体験することができました」
―選手冥利(みょうり)に尽きる部分か
「そういう試合を1試合でも増やしたいというのが本音ですし、そういったプレーを増やすことが、チームの勝利、優勝につながると信じていますので、毎日、頑張るだけですね」
―2軍で若い選手から感じたことは
「おそらくファイターズは2位が2年続いて育成もうまくいっていて、キラキラした部分が取り上げられると思うんですけど、その中ですごくもがき苦しんでいる選手が若手の中にもたくさんいましたし、僕らの世代にもいました。そういったところには、なかなか目を向けられないですけど、そういった選手を見てきた分、来年以降は僕も含めて頑張れたらいいなとすごく思います」
―CSはどんな思いで見ていたか
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「宮崎のホテルから見させてもらっていたんですけど。特に最終戦なんて、本当に見ていて悔しかったですし、終わった後、何もしていないはずなのにすごい脱力感に襲われて、10分くらい立てなかったり。あんな思いをしたのはプロに入って初めて。これまでプレーしてきて自分が2軍にいる時に、これだけチームの勝利を応援できたことがあまりなかったかもしれない。なんでそうなったかは分からないですけど、そういった経験をできたことが僕にとってうれしかったですし、今度はその場に自分が、というのは思っています」

―チームへの愛着が深くなった1年だったか
「この移籍を決断した時から、チームの日本一に貢献したいという思いがありますし。たとえ自分が貢献しきれなかったとしても、とにかく日本一になってほしい。どんどん上に向かっていってほしい、成長してほしい。そのためにできることはなんでもやる。その思いで来ているので。その思いは変わらない。このオフもできることは自分のトレーニングを含めてやるし。来年、シーズンが始まってからもできることは全てやろうかなと思っています」
―家族の理解もあって移籍してきたが
「これだけ子どもと会えないのはなかなかないですし、その分、会える時のうれしさ、別れる時の寂しさを感じました。それだけの思いを持ってここに来ているので、来年はその分もプラスしてやりたい」
―オフはどのように過ごすか
「体をしっかり鍛え直す。それはたびたび言っていますけど、もう一度、ファイターズの1軍でリリーフ陣に入っていく。なんなら先発をするかもしれない。どうなるか分からない上で、もうイチ回、体をつくり直したいと思うので、そこに向かってやるだけです」
―イメージしている数字、役割は
「なんでも嫌がらずにやるのが、僕の長所の一つなので。数字を持たないというか、チームでこういうところがほしいよな、こういう人がいたらうれしいよな、というところを含めて、なんでもやる。だから数字を言わないんですけど、そのための準備をこのオフにしっかりしたい」
―ファンへ
「もう来年は優勝します、それだけです」

―1年戦って、セ・パの違いは感じたか
「いや、特にないですよ。セ・リーグだから、パ・リーグだからというのは、細かいところはあるかもしれないですけど、ざっくりした部分はそんなにないかなと思っています」
―なんでもやると話していたが、与えられた場所でということか
「基本はそれですよね。それがないんだったら、もちろんリリーフとして勝ちパターンとかそういうのを狙っていくのは当然のことだし、でもそれがチーム状況だったり、いろいろ変わった中で、こういう役割がと言うんだったら、喜んでなんでもやるし、そういったスタイルで考えています」
―中継ぎの調整をしながら、先発をするのは難しさがあるか
「やったことはないですけど、だからこそワクワクするし、やったことがある人が少ないんだったら、じゃあその例を僕がつくればいいじゃないかと。そういったことに対してはすごく僕は前向きなので、むしろそういう課題が出れば、うれしく思いますけどね」
―そのための体づくりか
「いろんなことができるように。1イニング投げられればいいとかそういう話でもないし、1イニングを投げるんだったら、もう6連投でも10連投でもできるように準備はしていきたい。それをした上で、じゃあ来年どうなるか。準備はしっかりやりますよ」
―どんな体づくりか
「もちろん、まずはスピードを上げていく準備はします。10連投できると言ったけど、10連投するわけじゃないじゃないですか。だから、スピードも上げられるような準備をして、実際に試合で上げるかどうかはまた別問題。でも上げられる余地があるのは大事なことだと思っているので、そういったイメージで練習するし、投げる方もその技術を磨いていきたいなと」
―スピードを上げるためには
「もう若い選手、高校から入って1、2年目の子たちが体づくりのためにこれだけはやろうねというところが、自分自身がまだ何もできなかったことが多くて。できなかったけど今、この年で150キロが出る。じゃあそれができるようになった時にどうなるんだろうというところのワクワク感はあるし、まずはそこをやりつつ、でも自分ならではの得意な部分もあるので、それを生かし、殺さないように練習したいなと思います」
―重点的に鍛えれば伸びそうな部位は見えてきているか
「バイメカ(バイオメカニクス)を6月以降のファームで、毎月のように測って、3、4回測らせてもらったんですけど、それをやって、ほかの選手の結果を見ることも増えて、見た結果、自分はバイメカ的にはそれなりにできているという認識。だから若い子がガーンとやっているトレーニングができなくても、ある程度の速い球が投げられる。じゃあ今、バイメカを突き詰めるのも、ちょっとなと。伸びしろがある方をまずは選択して、このオフは過ごそうかな。で、鍛える部分を今、選択しているという感じですね」

―移籍して、足りない部分を違う目線で見られたとは、どういう部分か
「セ・リーグ、パ・リーグという話がありましたけど、チームによって結構、違うことはあるんですよね。ドラゴンズでこういうピッチャーが求められるとか、こういうピッチャーが足りないなというのは客観的にあった。でもドラゴンズではこれが求められていたけど、ファイターズではそれはいらない。いらないとは言わないけど、そこまで価値が高くないと。逆に、ドラゴンズではなかなかレアで、それはちょっとどうなのと疑問視されることが、ファイターズでは当たり前になっているとか。そういった文化の違いは若干、ピッチャーだけでもあったので、それを特に最初は感じましたね。5月ぐらいまでは」
―ドラゴンズではレアで、ファイターズでは当たり前だったのはどんなことか
「みんな球速のことを言いますけど、そういったことが当たり前に。球速だとか、データを中心に、そういったボールをつくっていこう、投げよう、トレーニングしようというのって、ドラゴンズでも最近は入れられていますけど、昔はそういうことはあんまりなかった。球が速くても、コントロールが良くないとか、アウトコースにしっかり投げられるとか、そういった部分の方が強いチームではあった。今は分からないですけど。だから、そういったところのギャップはあるし、特に育成対象ですよね。若い子に対して、チーム、球団、コーチの見る目が、特に違うなというのは感じましたよね」
―自身が求めるものとは違うか
「でもその要素を、なぜファイターズが、ドラゴンズが、若い子たちに求めるかって、それができる人が1軍で活躍するし、長くやれると思っているからじゃないですか。ということは、別にそれが30を超えていようが、基本ベースは一緒だと思うんですよね。それはあるので、じゃあ僕も若い子に対してやっているものを一回、やってみるかと。そこは年齢はあんまり関係なく、ファイターズとしてやっていることなんだったら、やってみようねというつもりで、春先からやっていました」

―刺激になった部分が多かったか
「そうですね。最初は特に、こんなのでいいの?って思うぐらい、例えばコントロールに対しての精度の求められ方がドラゴンスに比べると甘い部分があったり、その力でしっかり押していくとか、そういったものを感じましたし、ただ新庄さんはタイミングはしっかり外そうねとか、投げ方をいろいろ(工夫しよう)ねということも言ってくださいますし。そういったものがいろいろ良い意味でごちゃごちゃしているチームだなと思いましたね。ファイターズの場合」
―現時点での体の手応えは
「どうですかね。一番、トレーニングって手応えはある。重量が上がったりスピードが上がったり、筋量が上がったり、それは効果としてバリバリ出ているんですけど、実際それが投げる方にというのは、まだ分からないところなので。そこは正直、効果は感じつつも、まだ怖い部分ではあります」
―トレーニングの数値は
「もう順調に上がってきています」