スノボ・ハーフパイプで初五輪狙う道産子JK・工藤璃星の素顔に迫る「推しは…」
女子ハーフパイプで五輪初出場を目指す、16歳の工藤璃星=本人提供
昨季W杯最高5位、世界選手権4位
スノーボード女子ハーフパイプで、来年2月のミラノ・コルティナ五輪への初出場を目指す札幌出身の工藤璃星(16、TOKIOインカラミ)が、12月12日に中国で開催されるW杯でシーズンインする。初参戦の昨季は3試合に出場して最高は5位。3月の世界選手権では表彰台にあと一歩の4位と実力は世界トップクラス。五輪ロード本番に挑む16歳の素顔に迫った。
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楽しく滑った方が結果につながる
ナショナルチームの欧州合宿から今月11日に帰国。12月1日の出発まで、地元での束の間のオフを過ごしている。日本女子の出場枠は4枠の見込みで、工藤は現在4番手。全日本スキー連盟が指定する来年1月19日の基準日までに、W杯でポイントを積み上げる必要がある。「成績をちゃんと残して、確実にオリンピックに出場できるようにしなきゃいけない。でもオリンピック、オリンピックってなるよりは、気楽に楽しくやっていた方が結構、結果につながると思っている。自分のやりたいことをやれればいいなって」。肩の力を入れすぎず、自らの滑りを追求したその先に夢の舞台が待ち構える。
いろんなことに挑戦できた1年
初めての海外転戦となった昨季、W杯や世界選手権の表彰台こそ逃したが、すべて決勝トーナメントに進出するなど安定した成績を残した。「狙っていたのはもっと上ですけど、世界で戦う難しさを知った。例えば全部の大会で同じルーティンをするのではなくて、ちょっとトゥフェイキーから入ってみたり、スイッチバックから入ってみたりとか、いろんなことに挑戦しながらできた年でもあるので、結果はそんなに満足してないけど、予選落ちはしなかったですし、そこに対してはすごい良かったんじゃないかな」と自らの成績に及第点を与えた。

今年7月に平野歩夢と同じ企業と契約
16歳のれっきとした〝JK〟だ。今年3月に札幌の中学を卒業すると、競技に集中するために新潟の通信制・開志創造に進学した。実際に学校へ行くのは年に2度ほどだが「課題がめっちゃ大変」と、遠征先にパソコンを持ちこんで学業と両立させている。さらに7月には、北京五輪男子ハーフパイプ金メダルの平野歩夢(26)と同じ、ヘアケア商品などを展開する企業と所属先の契約を結んだ。「遠征に行くときとかも、結構ちっちゃいボトルがあって(持ち運びしやすく)、遠征中に使い切れる感じ。量的にも良くて、すごい助かってます」とアピールし、〝愛社精神〟も忘れなかった。
爆音で聞いちゃう箱推しのアイドル
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忙しい合間を縫っての推し活は、韓国アイドルグループ「BLACKPINK(ブラックピンク)」を箱推しする。「ガチオタクではないけど、ずっと小っちゃい頃から好きで。日本でライブがあって友達と行った。ブラックピンクもワールドツアーでもあんまり日本に来ないから、なかなか行ける時は少ないけど、みんなソロで活動できるようになったので、ソロの曲も。最近(滑っているときに)イヤホンで一番大きい音で聴いているんですよ。そっちの方がテンションが上がるから。でもめっちゃ音漏れしてるっぽくて、『音漏れしてるよ』ってめっちゃ言われる(笑)」と、高校生らしい素顔をのぞかせた。
バレーボール男子の石川祐希に共感
昨年のパリ五輪を見て、バレーボールにもはまった。「ボードの友達がめっちゃ好きで、見たらめっちゃ好きになっちゃった。男子も女子も好きだけど、男子の方が好き」。お気に入りは日本代表の主将を務めた石川祐希(29)。「ずっとキャプテンをやってる感じとか、みんなを引っ張ってる感じとか、すごいなって。(自分は)団体競技じゃないから、どれだけ失敗しても自分にしか責任がないから。もし団体競技で自分がミスしてしまった時に、どんな気持ちになるんだろうって想像したりとかできて、大変なんだろうなって思えることがすごいある」。この夏、国立スポーツ科学センターへメディカルチェックに行った際には、代表合宿で汗を流す石川を遠くから目撃。いまではライブ配信もチェックする。
自分スタイルで独自のルーティンを
勝負のシーズンへ、自分だけのオリジナルルーティンの開発を目指す。こだわりは、空中に飛び出して回転せずに逆足で着地する、基本のトゥフェイキー。「例えばセブン(720)からキャブテン(1080)やるより、トゥフェイキーからキャブテンやる方が少ないから、写真映えとか動画とかで残すときもよくなるし、あんまりやる人もいない。おしゃれなルーティンになるし、そこはこだわってる。スピンしない、でもめちゃめちゃぶっ飛んで、バーンって決めてからキャブテンとかやったら、点数も出ると思う」と、自らのスタイルを貫く。
工藤璃星の滑り(本人提供)
母のためにも
初めての五輪の記憶は18年の平昌五輪。当時はまだ9歳だったが、平野歩夢とショーンホワイトの激戦が目に焼き付いている。自らが五輪に出場する姿を一番見せたい人は「やっぱお母さんですね」。母の真美さん(39)は「悩んでることがあったとして、ママは結構、面白く吹っ飛ばすタイプ。そういうのに救われたりした時が、今考えれば結構あるなって。やっぱりお母さんに一番感謝。嬉しい報告とかも、お母さんに一番最初に伝える」。母の喜ぶ顔を見るためにも、イタリア行きの切符をつかんでみせる。
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■プロフィール 工藤璃星(くどう・りせ) 2009年8月28日、札幌市生まれ。北京五輪男子ハーフパイプ金メダリストの平野歩夢らを指導していた父・佳人さん(55)の影響で、3歳で板に乗る。20-21年シーズン、女子最年少の11歳で高校生以下のナショナルチームに選ばれる。23年の札幌北白石中1年時に全日本選手権に初出場して初優勝。24年ユース五輪では、史上最年少優勝を達成。24-25年シーズンにW杯出場が解禁になると3試合に出場して最高は5位。25年3月の世界選手権では日本勢3番手の4位。スポンサーはFLUXなど。スタンスはレギュラー。家族は両親と妹。